会社設立における電子定款の作成・認証方法は?税理士などの専門家に依頼する場合についても解説
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公開日:2024年5月
更新日:2024年11月23日
会社設立のプロセスにおいて、電子定款の作成と認証は必須かつ重要なステップです。この記事では、電子定款の意義、メリット、デメリットから、その具体的な作成と認証の手順について詳しく解説します。さらに、税理士やその他の専門家に依頼する場合の具体的な流れやポイントもご紹介し、自分で手続きを行う場合と専門家に依頼する場合の違いを明確にします。会社設立を検討している起業家や事業者が、スムーズに設立手続きを進められるように、役立つ情報を提供いたします。
おすすめ参考記事:電子定款の作成・認証を自分で行う流れは?メリットや提出方法を解説
目次
電子定款とは
そもそも定款とは、会社設立時に発起人全員の同意のもとで定める企業の根本原則が記載された書類であり、会社設立時に必ず作成しなければならない書類です。この定款を電子ファイル形式で作成したものが電子定款です。
会社設立においては、株式会社も合同会社も定款を作成しますが、株式会社の場合のみ公証役場で電子定款の認証が必要です。電子定款の認証とは、正当な手続きに従って電子定款が作成されたことを、公の機関である公証役場(公証人)に証明してもらうための手続きです。認証された電子定款は法的な効力を持ちます。電子定款を用いることで、会社設立の手続きが効率化されるため、多くの起業家が電子定款を選択しています。
電子定款に関するおすすめ記事:電子定款の作成・認証方法を徹底解説!紙よりも手間とコストを省くには?
電子定款のメリット
電子定款のメリット①:印紙税4万円が不要
電子定款を採用する最大のメリットは、会社設立時に印紙税4万円を節約できることです。紙の定款を作成する場合、印紙税法上の課税文書と見なされるため、4万円の印紙税を支払う必要があります。しかし、電子定款の場合、印紙税法上の課税文書に該当しないため、この4万円を支払う必要がありません。
ここがポイント!
定款を作成した時点で、一度公証役場や法務局にチェックしてもらうことをおすすめします。専門家に、定款に誤りなどがないかをチェックしてもらうと良いと思います。
おすすめ参考記事:電子定款の作り方・認証の流れを徹底解説
電子定款のメリット②:オンライン申請が可能で手間が少ない
現代ではペーパーレス化が進み、オンライン申請やPC上での管理が可能な電子定款が注目されています。
オンライン申請後のやり取りもメールや電話が基本です。会社設立の申請手続きでは、公証役場へ複数回出向く必要がなくなります(ただし、1回は対面で本人確認のため公証役場への訪問が必要です)。また、紙の定款の場合、発起人全員の署名が必要ですが、電子定款では代表者のみが電子署名を行えば申請が可能です。
発起人が複数いる場合でも、電子定款の場合は、全員分の印鑑証明を用意する必要がなくなります。電子定款を利用することで、会社設立手続きがよりスムーズに進行し、手間と時間の節約が可能となります。
電子定款のメリットに関するおすすめ記事:電子定款とは?メリット・デメリット、作成・認証方法を解説
電子定款のデメリット
電子定款のデメリット①:専用のソフトウェアや関連機器が必要
電子定款を作成するには、パソコンや文書作成ソフトだけでなく、電子署名ソフトやカードリーダーなどの周辺機器も必要です。定款はデータ形式で送信されるため、適切な通信環境やセキュリティも整える必要があります。
周辺機器を一から揃える場合、PDF変換用ソフトやICカードリーダライターだけでも約4万円の購入費用がかかります。この負担は、印紙税の節約分と同程度ですが、手間も含めて考えると、場合によってはそれ以上の負担となりかねません。電子定款の導入には、十分な準備とコストの把握が必要です。
電子定款のデメリット②:申請後にデータの訂正や変更ができない
株式会社を設立するにあたって、まずは定款を作成し、その後公証役場に提出して認証を受ける必要があります。定款に誤りや不備があった場合、紙の定款では窓口で指摘を受け、手書きで訂正を行うことができます。しかし、電子定款の場合はデータの変更が容易ではありません。
申請後にデータを修正したい場合、修正した定款に再度電子署名をし、オンラインで申請をやり直す必要があります。定款を提出する際には完璧な状態であることが求められますが、訂正が必要なケースは珍しくありません。そのため、申請前に定款を細心の注意を払って確認することが重要です。
電子定款のデメリットに関するおすすめ記事:電子定款のメリットデメリット
電子定款の作成から認証までの流れ
会社設立手続きにおいて重要な電子定款の作成方法から株式会社の認証手続きまでの手順を詳しく説明します。なお、合同会社を設立する場合は、公証役場での認証が必要なく、電子定款の作成後には出資金(資本金)の支払いと法人登記の手続きに移行します。
電子定款の認証までの流れ①:電子定款の原本を作成する
まずは、電子定款に含まれる商号(社名)、事業目的、本店所在地、発行株式総数、決算月などの重要事項を定め、文書作成ソフトなどを使用して定款の草案を作成します。
定款の作成は、会社設立プロセスにおいて時間を要する作業のひとつです。特に株式会社の場合、資本金額や株主構成、役員報酬額、決算月などは、会社の設立後に納税額に影響を与える重要な要素です。税金に関する知識が不十分なままこれらの事項を決定すると、会社設立後に思わぬ税金負担が発生する可能性があります。
定款の作成に迷った場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。会社設立前に税理士と相談することで、事業内容や売上予測、資金繰りの見通しを踏まえて、資本金額や役員報酬額、決算月などを適切に決定するアドバイスを受けることができます。
また、定款の認証後に内容を修正すると追加費用が発生するため、認証前に税理士などの専門家や公証役場に内容をチェックしてもらうことをおすすめします。なお、公証役場での面談は原則として予約が必要ですので、事前にご注意ください。
定款に関するおすすめ記事:定款とは?会社(法人)設立時に必要な定款の書き方・作成方法
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電子定款の認証までの流れ②:公証役場に面談の予約をする
株式会社を設立する際には、公証役場で電子定款の認証手続きが必要です。まずは認証を申請する公証役場に、電話またはFAXで面談の予約を行います。
公証役場での定款認証を行う際は、日本公証人連合会のWebサイト「公証役場一覧」を参照して、公証役場の連絡先を確認しましょう。
電子定款の認証までの流れ③:電子署名を付与する
公証役場の面談で内容に問題がなければ、電子定款をPDFファイルに変換し、電子署名を付与します。電子署名を付与するためには、会社設立を行う代表者のマイナンバーカードやマイナンバーカード対応のスマートフォン、パソコンで作業する場合はICカードリーダー/ライターなどが必要です。
自分で作成を行う場合は、電子署名に必要な機器やソフトを揃えましょう。税理士などの専門家に作成を依頼したり、クラウドサービスを活用したりする場合は、専用の機器やソフトは不要になります。
電子定款の認証までの流れ④:オンライン申請する
電子定款のオンライン申請は、「登記・供託オンライン申請システム」またはデジタル庁のマイナポータル「法人設立ワンストップサービス」から行います。それぞれの手順はWebサイトで確認できます。事前に申請者情報登録を行ったり、必要な機器やソフトを準備したりして、手順に沿って進めましょう。
電子定款の認証までの流れ⑤:認証済みの電子定款を受け取る
認証が終わると、公証役場から連絡が届くので、電子定款を受け取りに行きます。電子定款を受け取れば、認証手続きは完了です。その後、出資金(資本金)の払い込みや法人登記を進めます。
なお、インターネットを経由して受け取ることはできませんのでご注意ください。公証役場からの連絡を受けたら、直接受け取りに向かいましょう。電子定款の受け取り後は、会社設立の手続きをさらに進めることができます。
電子定款の作成から認証までの流れに関するおすすめ記事:電子定款のメリットや自分で作成する方法、認証方法を解説
会社設立や電子定款作成を専門家に依頼する場合は?
会社設立のために必要な手続きを調べていると、自分だけでは難しいと感じる方もいるかもしれません。ここでは、税理士、司法書士、行政書士などの会社設立に関連する専門家について比較・説明します。
会社設立に関連する士業とは?税理士・司法書士・行政書士の役割を比較
会社設立に関連する代表的な士業には、税理士、司法書士、行政書士があります。それぞれが異なる専門領域を持っており、特徴や報酬相場も異なります。それぞれの士業の特徴と報酬相場を以下の通りです。
報酬相場 | 得意領域 | 不得意領域 | |
税理士 | 5万円程度 | 税務・決算 | 登記業務・許可申請 |
司法書士 | 10-15万円程度 | 登記業務 | 税務・決算・許可申請 |
行政書士 | 10万円程度 | 行政書類作成・許可申請 | 登記業務・税務・決算 |
会社設立の登記手続きを代行できるのは主に司法書士であり、税理士や行政書士は主に電子定款などの書類作成を行います。ただし、税理士法人や行政書士法人でも、司法書士法人と連携しており、登記手続きの代行を行っている場合があります。
会社設立における税理士の役割
税理士は、税務や決算についての専門家です。会社設立に関連する登記手続きや事業の許認可についての専門家ではないため、登記手続きに関しては書類作成のサポートを行うだけであり、許認可に関して詳しくない場合は申請に時間がかかることもあります。
ただし、会社設立後の決算業務や税務申告に関連するため、税理士は顧問契約を条件に、設立手続きのサポートを無料もしくは比較的低料金で引き受けているケースもあります。顧問税理士との契約を検討している場合は、会社設立の手続きから税理士のサポートを受けるのがいいでしょう。
会社設立における司法書士の役割
登記手続きの代理を行えるのは司法書士のみであり、税理士や行政書士に依頼しても登記の代行はできません。そのため、最初は税理士や行政書士に依頼した場合でも、実際には司法書士が関わることが一般的です。
しかし、司法書士には税務知識などがないため、税理士とは違い、会社設立に関連する税務処理や会計処理などの具体的な相談はできません。会社設立の登記手続きだけが面倒だと感じる場合は、司法書士に依頼することが最適かもしれません。
会社設立における行政書士の役割
行政書士に依頼できる業務は、主に「権利義務または事実証明に関する書類作成」と「行政機関への書類提出」の2つに分類されます。そのため、会社設立に関連する登記手続きの代行は行えませんが、許認可手続きの書類作成を依頼できるメリットがあります。
ただし、行政書士は税務知識が不足しており、登記の専門家ではないため、細かな登記規定に関する設立登記に時間がかかる可能性があります。
会社設立における税理士の役割に関するおすすめ記事:【比較】税理士に頼む?司法書士に頼む? 会社設立に関わる士業について解説
会社設立の手続きは自分でやる?専門家に任せる?会社設立の主な4パターン
会社設立を検討し始めると、「会社設立の手続きを自分でやるべきか?それとも税理士などの専門家に依頼したほうが得か?」で迷うかもしれません。会社設立時の手続きのポイントは「どこまでを自分でやるのか?」です。
今回は王道パターンといわれる4つの会社設立の手続き方法を解説しながら、税理士などの専門家に依頼する場合と自分で行う場合について説明していきます。
会社設立の主なパターン①:自分で電子定款作成・会社設立手続きを行う
会社設立における全ての手続きを自分で行う方法であるため、依頼する費用は発生しません。
ただし、会社設立手続きは煩雑で、特に電子定款の準備には多くの時間がかかります。会社設立時は本業を軌道に乗せるための重要な時期ですので、手続きに時間を取られると本末転倒です。しかし、自分で会社設立を行うことで会社法の知識や税務について学べる利点もあります。
会社設立の主なパターン②:自分で会社設立手続きを行い、電子定款を専門家に依頼する
電子定款を自分で作成するのは手間がかかります。自分で作成する場合、ICカードリーダライタの準備や電子証明書の取得に時間や費用もかかるため、電子定款だけを依頼する会社もあります。
「電子定款代行」と検索すると代行業者が見つかります。費用相場は約10,000円前後です。
会社設立の主なパターン③:自分で電子定款を行い、専門家に会社設立手続きを依頼する
電子定款の依頼費用は10,000円程度ですが、会社設立手続きの依頼費用相場は50,000円程度になります。会社設立手続きを専門家に依頼しても、自分で電子定款ではなく、紙の定款を作成した場合であれば、費用差はわずか14,000円程度です。
煩雑な申請書類などを自分で調べて作成し、誤りを犯すリスクを負うよりも、専門家に依頼する方が手間がかかりません。上手に税理士などの専門家に頼りながら会社設立の手続きを進めていくのもおすすめです。
会社設立の主なパターン④:専門家に電子定款・会社設立手続きを依頼する
手続きの全てを税理士に依頼する方法であるため、一見すると最も代行費用がかかりそうですが、会社設立後に税理士と顧問契約を結ぶ場合は、依頼費用が0円になることもあります。
ただし、「会社設立手続きを無料で行うので税理士顧問も依頼する」というのはわかりやすいですが、起業後の状況を考慮し、税理士との顧問契約が本当に必要かを判断した上で依頼しないと、本末転倒になることもあります。
まずは自分の状況を整理し、全て自分でやるのか、依頼する場合はどの専門家に何を依頼するのが最適かを検討することをおすすめします。
会社設立の主な方法に関するおすすめ記事:会社設立を自分でやるか?専門家に依頼するか?代行費用を0円にする方法
会社設立の手続きを税理士に相談するメリット
会社設立の手続きにおいては、専門知識が求められるため、税理士のサポートを受けることも選択肢のひとつです。税理士に依頼することで、以下の2つのメリットがあります。
会社設立の手続きを税理士に依頼するメリット①:会社設立の手続きの手間を減らすことができる
電子定款を含む必要書類の作成や会社設立に関する手続きの負担が軽減されます。税理士に依頼すれば、正確な登記申請が行われ、税務面での最適な判断のもと、スムーズに会社設立が進められます。
また、手元に電子定款に必要な電子署名ソフトやカードリーダーなどの周辺機器がなくとも、税理士に依頼することで、準備の手間や費用を浮かすこともできます。
会社設立の手続きを税理士に依頼するメリット②:電子定款や登記事項の内容を相談できる
会社設立時に決めるべきことは、電子定款の内容と登記事項です。電子定款を変更するには、臨時株主総会の決議が必要です。一方、登記事項を変更する場合は法務局での登記変更が必要です。例えば、会社名などを変更する場合、登録免許税が3万円かかります。後々変更することで無駄な費用が発生しないよう、会社設立時には税理士に相談しながら慎重に決めることが大切です。
会社設立の手続きを税理士に依頼するメリットに関するおすすめ記事:自分で電子定款を作成するための5ステップと認証までの流れを解説!
まとめ
今回は、電子定款を自分で作成する方法や会社設立の手続きを税理士などの専門家に依頼する場合について解説しました。電子定款は紙定款に比べて印紙代がかからないメリットがありますが、専用の機材やソフトのダウンロードが必要です。
手続きに不安がある方や、会社設立の事務手続きを専門家に任せて事業に集中したい方は、部分的に税理士などの専門家に手続きを依頼する方法もあります。また、顧問税理士を依頼する場合であれば、会社設立の手続きをすべて専門家に依頼するのも選択肢のひとつです。
自分の状況を整理した上で、「費用」と「時間」を比較しながら、自分に合った会社設立の手続きや電子定款の作成・認証の方法を選ぶようにしましょう。
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