役員報酬は病気によって減額できる?必要な議事録や損金算入の要件についても解説!
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公開日:2025年7月
更新日:2025年7月31日
企業の経営現場では、取締役や代表取締役が病気や入院によって一時的に職務の執行が困難になるケースがあります。そのような場合、会社として検討されるのが役員報酬の減額です。しかし、役員報酬の減額は、従業員の給与のように柔軟には扱えず、病気を理由にした役員報酬の見直しであっても、税務上は明確なルールが存在します。
特に注意したいのが、役員報酬を病気によって減額した際に損金算入が認められるかどうかという点です。適切な手続きや根拠がなければ、たとえ病気による減額であっても、税務署から否認されるリスクがあります。また、役員報酬の減額を正当に行うには、臨時株主総会の開催や議事録の作成といった形式的要件も重要になります。
本記事では、病気や入院による役員報酬の減額がどのような条件で認められるのか、役員報酬を減額する際に必要な議事録の書き方、そして税務上の損金算入のポイントまで、実務で押さえておくべき重要事項をわかりやすく解説します。

「病気や入院で役員報酬を減額」編集部
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目次
病気による役員報酬の減額と再増額は定期同額給与にあたる?
役員報酬の減額は、企業経営においてさまざまな理由で実施されることがありますが、とくに病気による一時的な職務不能が原因となる場合、減額後の対応を誤ると税務上の損金不算入リスクを招くおそれがあります。
病気や入院で役員報酬を減額する場合の注意点

特に法人税法上、「定期同額給与」の要件を満たさなければ、役員報酬としての減額や増額が経費(損金)として認められなくなる可能性があります。
ここでは、病気によって役員報酬を一時的に減額し、回復後に元の金額に増額した場合に、それが定期同額給与として扱われるかどうかを、具体的な事例とあわせて詳しく解説していきます。
病気や入院で役員報酬を減額する場合のおすすめ記事

病気や入院で役員報酬を減額しても損金算入できるのかについては以下の記事も是非参考にしてください。
病気で役員報酬を減額に関する参考記事:「病気や入院で役員報酬の減額はできる?」

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【事例:病気による役員報酬の一時的な減額と増額】

ある企業(3月決算)において、代表取締役が病気により2カ月間の入院を余儀なくされました。入院中は役員としての職務を十分に果たすことができないため、取締役会で役員報酬の減額を決議し、一時的に役員報酬を引き下げました。その後、退院して業務に復帰した際に、役員報酬は元の金額に増額されています。
- X1年8月までの役員報酬:月額60万円(病気発症前)
- X1年9〜10月の役員報酬:月額20万円に減額(入院期間)
- X1年11月以降の役員報酬:月額60万円に増額(職務復帰)
このように、病気を理由に役員報酬を一時的に減額し、回復後に再び役員報酬を増額するケースは、実務でもしばしば見られる対応です。

「病気や入院で役員報酬を減額」編集部
税務上は「定期同額給与」として損金算入が可能かどうかが問題になります。
参考:国税庁「役員給与に関するQ&A」
病気による役員報酬の減額は臨時改定事由に該当
税法上、定期同額給与とは、1ヶ月以下の一定期間ごとに同額で支給される役員報酬のことを指しますが、例外として「臨時改定事由」が認められる場合には、その中途での減額や増額も許容されます。
病気により職務の内容が重大に変更された場合や、職務が一時的に遂行できなくなった場合には、これは「臨時改定事由」に該当します。つまり、病気によって役員報酬を減額することは、定期同額給与のルールに違反しないということです。

「病気や入院で役員報酬を減額」編集部
病気や入院で役員報酬を減額する場合も損金算入できるのかについては以下のサイトも是非ご覧ください。
病気で役員報酬を減額に関する参考記事:「役員が病気のため職務が執行できない場合の税務」
また、回復後に職務へ復帰し、従前の職務内容に戻ることで、役員報酬を病気前の水準に再度増額する行為も、同じく臨時改定事由として認められます。
このように、病気を原因とした役員報酬の減額および増額は、税務上も正当なものとされ、損金算入が可能となるのです。
随時改定事由とは
企業が役員報酬を減額する際には、原則として「定期同額給与」でなければ、損金算入が認められません。しかし、例外的に随時改定(臨時の改定)が認められる場面があります。これがいわゆる「臨時改定事由」です。

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役員報酬の随時改定が正当に認められるためには、「やむを得ない事情」が存在し、事業年度の途中であっても役員報酬の減額や増額が妥当であると判断される必要があります。

「病気や入院で役員報酬を減額」編集部
ここでは、随時改定が可能な代表的な事由をわかりやすく整理しながら、それぞれのケースで役員報酬の減額が適切かどうかを見ていきましょう。
参考:国税庁「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」
【1】役員の職制上の地位に変更があった場合
役員報酬を随時改定する事由として、まず考えられるのが「職制上の地位の変更」です。これは、たとえば社長が会長に退いたり、副社長から常務へ降格したりといったように、役員としての正式な役職が変更されるケースを指します。
役職が変われば、業務内容や責任の範囲が変わるため、それに応じて役員報酬を減額することも自然な対応となります。このような変更は、随時改定の正当な理由とされ、税務上も問題なく損金算入が認められます。
【2】役員の職務内容に重大な変化があった場合
次に、役員報酬の減額を伴う随時改定が認められる典型例として、「職務内容の重大な変更」があります。

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役員が病気やケガにより入院し、一時的に職務が遂行できない場合などが該当します。
また、合併・分社化などの組織再編によって、役員の職務が事業年度当初と大きく変わるケースも含まれます。こうした状況では、元々予定されていた業務と異なる役割に変化していることから、役員報酬の随時改定による減額が認められることになります。
病気や入院で役員報酬を減額する場合の注意点

ここで重要なのは、あくまで「報酬の変更を余儀なくされるほど、職務が大幅に変わった場合」に限られる点です。単なる軽微な業務調整程度では、役員報酬の随時改定としては認められません。

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【3】その他これに類するやむを得ない事情
「その他これに類するやむを得ない事情」も、役員報酬の減額を伴う随時改定が可能なケースとして挙げられます。
たとえば、役員個人や会社が重大な不祥事を起こし、行政処分や社会的制裁を受けた場合、その責任を取る形で役員が一定期間報酬を減額または返上することは、近年多くの企業で慣例となっています。このような減額も、やむを得ない事情に基づいた正当な随時改定として税務上も認められる可能性が高いといえます。

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病気や入院で役員報酬を減額する場合も損金算入できるのかについては以下のサイトも是非ご覧ください。
病気で役員報酬を減額に関する参考記事:「療養中の役員報酬 損金にするための境界線」
税務否認を避けるために注意すべきポイント
病気による役員報酬の減額やその後の増額が定期同額給与に該当するためには、形式的・実質的な証拠が必要です。以下の点を押さえることで、税務調査時にも適切に説明することができます。
- 取締役会で正式に役員報酬の減額を決議し、議事録を作成する
- 病気による職務不能状態を裏付ける医師の診断書などの資料を保存する
- 役員報酬を回復させた理由と時期を明確に記録する
- 増額後も、職務内容が明確に従前通りであることを証明できる体制を整える
役員報酬の減額や増額が税務署から恣意的な利益操作とみなされないよう、書面による証拠を整えておくことが非常に重要です。
病気で一時的に役員報酬を減額した場合でも、その減額が職務の変更や就業困難という実態に基づいたものであれば、「臨時改定事由」に該当し、定期同額給与として損金算入が可能です。

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病気の治癒後に職務へ復帰し、役員報酬を元の水準に戻すことも、同様に臨時改定として扱われます。
つまり、病気を原因とした役員報酬の減額・増額は、適切な手続きを踏めば税務上も認められるということです。重要なのは、「なぜ減額したのか」「なぜ増額したのか」という経緯を明確にし、それを裏付ける記録を残しておくことに尽きます。
病気や入院で役員報酬を減額する場合のおすすめ記事

病気や入院で役員報酬を減額しても損金算入できるのかについては以下の記事も是非参考にしてください。
「Q20【役員報酬】業績悪化や臨時改定事由/一時的な報酬減額はOK?」
今後、同様のケースで役員報酬の金額を見直す場合には、病気による減額と職務復帰による増額のどちらも、必ず社内で正規の手続きを踏んだうえで、税務リスクを避ける対応をしていきましょう。
病気や入院による役員報酬の減額と増額には要注意
役員が病気や入院を理由に経営から一部離れた場合、会社としては役員報酬の減額を検討することがあります。しかしその後、役員報酬を再び増額した際に、税務署から否認されるリスクがあることをご存じでしょうか。実際に、病気や入院によって役員報酬を一度減額し、その後の回復後に増額した事例が税務署に否定されたケースが複数報告されています。

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ある企業では、病気を患った社長が役職を変更し、体調面を考慮して役員報酬を月額100万円から50万円へと減額しました。その後、入退院を繰り返しながらも経営に関与し続けたことで、会社は役員報酬を元の100万円に戻しましたが、税務署はこの増額を否認。理由は、病気療養中の役員報酬を増額する「特段の理由」が確認できなかったためです。

病気を理由とした役員報酬の減額・増額には根拠資料の保存が重要
病気や入院をきっかけとした役員報酬の減額・増額が適切であると認められるためには、その根拠を裏付ける証拠が必要不可欠です。審判所は、役員が療養中であっても経営判断に関与していたかどうかを重視し、最終的にその関与実態が確認できれば、役員報酬の増額を正当と判断することもあります。

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病気や入院で役員報酬を減額する場合も損金算入できるのかについては以下のサイトも是非ご覧ください。
「入院中の役員報酬は支給しても良いか・減額しても良いか|定期同額給与」
たとえば、株主総会への出席や議事録への署名・押印、資金調達に関する書類への関与、経営指示を出していた履歴などが「病気中でも経営に関わっていた証拠」として有効です。病気であっても、役員報酬の増額が合理的であると説明できるだけの実績や行動履歴を残しておくことが、損金算入の可否に大きく影響します。
病気や入院で役員報酬を減額する場合のポイント!

また、他の役員の役員報酬が同時期に増額されていた事実も、「病気から回復し役員報酬を増額したことが不自然ではない」と示す材料になり得ます。
見舞金の支払いも「病気」と「損金算入」の判断に影響する
病気による入院時には、役員に対して見舞金を支払う企業も少なくありませんが、この「見舞金」も損金算入できる金額には上限があるため注意が必要です。過去の事例では、病気による入院を9回繰り返した役員に対して約400万円の見舞金を支給した企業が、その全額を損金にしたことで税務署から指摘を受けました。
病気や入院で役員報酬を減額する場合のおすすめ記事

病気や入院で役員報酬を減額しても損金算入できるのかについては以下の記事も是非参考にしてください。
病気で役員報酬を減額に関する参考記事:「役員報酬を減額するにはどうしたらいい?減額する際の手順や注意点を解説!」
審判所は、病気による入院1回あたり「5万円」が社会通念上の妥当な見舞金額であると判断し、9回分である45万円を超える部分については損金として認められないと結論付けました。
病気や入院で役員報酬を減額する場合の注意点

病気という名目で高額な金額を支給しても、適正額を超えると役員個人の給与所得として課税対象になります。
加えて、病気で入院してからかなり時間が経過してから支払われた見舞金も、形式的に「見舞金」として処理していても、実質的には賞与とみなされてしまう可能性があります。病気や入院に関係する支出を損金とするためには、「金額」「支給時期」「名目」がすべて整合している必要があります。
役員が病気や入院によって役員報酬を減額し、その後増額するというケースは、会社として合理的な判断のように見えます。しかし税務調査では、その役員報酬の増減が病気や入院を前提としたものであっても、納得のいく説明ができなければ損金算入を否認されるリスクが高くなります。

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病気による役員報酬の減額・増額を行う際には、その根拠となる経営関与の証拠や書類をきちんと残し、税務署に説明可能な体制を整えておくことが重要です。また、病気に関連した見舞金の支給においても、過剰な金額や時期のズレには注意が必要です。
病気を理由とした役員報酬の変更は、感情的・人間関係的には自然な対応であっても、税務上は「証拠」と「合理性」が問われる場面です。正しく対処することで、役員報酬にかかわる税務リスクを最小限に抑えましょう。
病気による役員報酬の減額と傷病手当金の受給に関する注意点
役員が病気によって業務を行えない状況になった場合、健康保険から支給される傷病手当金を受給するには、役員報酬の減額が必要不可欠です。病気による就業不能状態では、報酬の支払いが継続していると、支給要件を満たさないと判断されてしまいます。したがって、病気で長期療養を余儀なくされる場合には、役員報酬を実質ゼロにまで減額しなければならないケースもあります。

「病気や入院で役員報酬を減額」編集部
ここでは、病気を理由とした役員報酬の減額後に発生する税金・社会保険料の扱いについて、実務面から詳しく見ていきましょう。
病気や入院で役員報酬を減額する場合のおすすめ記事

病気や入院で役員報酬を減額しても損金算入できるのかについては以下の記事も是非参考にしてください。
病気で役員報酬を減額に関する参考記事:「重篤な病気の役員に対する報酬の支払い」
病気で役員報酬を減額しても社会保険料の負担は継続

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病気で役員報酬を大幅に減額したとしても、社会保険の加入資格そのものが失われるわけではありません。そのため、病気による報酬減額中であっても、健康保険料や厚生年金保険料の納付義務は継続します。これは、報酬をゼロに減額した場合でも同様です。
病気や入院で役員報酬を減額する場合のポイント!

病気を理由に役員報酬を減額して傷病手当金を受け取る期間中であっても、減額前の標準報酬月額に基づいた社会保険料を払い続けなければならないのです。
この場合、経理実務では次のような対応が想定されます。
- 病気療養中の役員から社会保険料を毎月徴収する
- 会社が病気期間中の保険料を立て替え、病気が回復して役員報酬を増額改定した後に分割して回収する
役員が病気で働けない期間も、社会保険の納付に関しては報酬減額の有無にかかわらず慎重な対応が求められます。

病気による報酬減額中は所得税は発生しない
役員報酬が病気によってゼロにまで減額されている場合、課税対象となる収入がないため、当然ながら所得税の源泉徴収もゼロになります。
ただし、病気を理由とした報酬減額であっても、月次の給与計算業務としては税額表(月額表)に基づいた確認処理が必要です。病気によって報酬が支給されていないことを記録として残し、減額理由を明確にしておくことが望まれます。
病気で役員報酬を減額しても住民税は発生する
病気により役員報酬を減額しても、住民税の納税義務は残ります。住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、当年に病気で報酬を減額したとしても、前年に高額な報酬があった場合はその金額をベースに課税されることになります。

「病気や入院で役員報酬を減額」編集部
このようなケースでは、以下のような対策が考えられます。
- 病気で報酬がない役員から住民税分を徴収する
- 会社が立て替えておき、病気回復後に報酬を増額した際に相殺・回収する
- 特別徴収から普通徴収に切り替え、役員本人が直接納付するように変更する
病気による役員報酬の減額は税務面だけでなく、住民税の支払い方法にも影響を及ぼしますので、事前に十分な検討が必要です。
病気や入院で役員報酬を減額する場合の注意点

病気が原因で役員報酬を減額し、その結果として傷病手当金の受給を目指す場合、単なる報酬の減額だけでなく、社会保険料の扱いや税金の処理にも注意が必要です。
とくに病気による長期の報酬減額では、社会保険料の継続負担や住民税の支払いが大きな問題になりやすく、会社の経理担当者にとっても慎重な対応が求められます。
病気による役員報酬の減額を適切に実行しつつ、後々のトラブルを防ぐためには、あらかじめ制度全体を把握したうえで、記録や証拠をしっかりと残しておくことが重要です。病気、報酬減額、そしてその後の回復・増額まで、一貫した計画と管理が求められると言えるでしょう。
病気や入院で役員報酬を減額する場合のおすすめ記事

病気や入院で役員報酬を減額しても損金算入できるのかについては以下の記事も是非参考にしてください。
「入院による臨時改定と日割計算の役員給与」
病気による役員報酬減額の臨時株主総会議事録
企業において、役員報酬の見直しは慎重に取り扱うべき重要な事項です。とりわけ、病気などのやむを得ない理由で一時的に職務を遂行できなくなった場合、役員報酬の減額や一時停止を検討するケースがありますが、その際に欠かせないのが臨時株主総会の開催と議事録の作成です。

ここでは、病気による役員報酬の減額や支給停止を行う際の手続きとして重要な臨時株主総会議事録の役割について、詳しく解説します。

「病気や入院で役員報酬を減額」編集部
病気や入院で役員報酬を減額する場合も損金算入できるのかについては以下のサイトも是非ご覧ください。
病気で役員報酬を減額に関する参考記事:「役員報酬を減額するには? 定期同額給与改定と自主返納の基本と注意点」
なぜ病気による役員報酬の減額に議事録が必要なのか?
本来、役員報酬の金額は株主総会の決議によって決定される事項であり、個別の事情に応じて随時変更できるものではありません。したがって、たとえ病気を理由に役員報酬を減額する場合でも、株主総会での正式な承認が不可欠です。

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役員報酬(役員賞与)の株主総会議事録の作成方法とは?記載例も解説!
病気や入院で役員報酬を減額する場合のポイント!

企業が役員報酬を病気の事情に応じて減額したいと考える場合には、その判断が恣意的ではなく、企業の意思決定プロセスに則った正当な措置であることを証明する必要があります。そこで登場するのが、臨時株主総会議事録です。
臨時株主総会議事録で明確にすべき事項
役員報酬の減額を正当なものとするには、臨時株主総会での議論と決議の内容を正確に議事録に残す必要があります。とくに病気による役員報酬の一時停止や大幅な減額を行う場合には、以下の要素を議事録にしっかりと記載しておくことが重要です。
- 役員報酬を減額する理由(病気による職務の制限など)
- 役員報酬の新たな支給額(例:ゼロ円、一時的な減額)
- 役員報酬の減額適用期間
- 全会一致で承認されたことの記載
- 議事録への代表取締役・取締役の署名押印
このように、役員報酬に関する変更が正規の手続きで決定されたことを明文化することにより、税務署に対しても説明責任を果たすことが可能になります。
臨時株主総会議事録の記載例

「病気や入院で役員報酬を減額」編集部
病気や入院が原因で役員報酬を減額する場合の臨時株主総会議事録の雛形は以下のような形式になります。
臨時株主総会議事録(役員報酬停止の決議)
令和〇年〇月〇日 午前11時00分より、当会社本店所在地において臨時株主総会を招集し、会議を開催した。
発行済株式総数 :300株
議決権を有する株主数:3名
議決権総数 :300個
出席株主数(委任状含む):3名
出席株主の議決権数 :300個
定款の定めに基づき、取締役〇〇〇〇が議長に就任した後、議長は、本総会が適法に成立している旨を確認し、直ちに議事に入った。
議案:役員報酬改定に関する件
議長は、当会社の取締役〇〇〇〇が現在病気療養中であり、その治療のため一定期間にわたり業務の執行が困難な状況にあることを説明した。
その上で、職務遂行の実態を踏まえ、該当取締役の役員報酬を一時的に停止することを提案し、総会の承認を求めた。
この提案に対し、出席株主から異議はなく、全会一致により本議案は可決された。
なお、本件にかかる役員報酬の停止措置は令和〇年〇月〇日より適用されるものとする。
以上をもって本臨時株主総会の全議事が終了したため、議長は午前11時20分に閉会を宣言した。
本議事録は、上記議決内容を証明するため作成し、出席取締役がこれに署名・押印する。
令和〇年〇月〇日
株式会社〇〇
臨時株主総会
議長 代表取締役 〇〇〇〇 印
取締役 〇〇〇〇 印
病気や入院で役員報酬を減額する場合のおすすめ記事

病気や入院で役員報酬を減額しても損金算入できるのかについては以下の記事も是非参考にしてください。
病気で役員報酬を減額に関する参考記事:「病気等に伴う役員報酬の減額規定」
税務上も「役員報酬の減額」は正当性が求められる

法人税の取り扱いにおいて、役員報酬を減額する場合には、「定期同額給与」の原則に照らして「臨時改定事由」に該当することが求められます。
病気による職務不能という事情があれば、役員報酬の減額は臨時改定事由として認められる可能性が高いですが、税務調査などで否認されないためには、その根拠を示す臨時株主総会議事録の存在が極めて重要です。

「病気や入院で役員報酬を減額」編集部
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「役員報酬最適化を導入すると、傷病手当金の額が減ってしまうのではないでしょうか?」
実務上も、税理士や会計事務所は、役員報酬の減額に伴う議事録の作成を強く推奨しています。これは、後から「なぜ減額されたのか」が説明できないと、減額した役員報酬が損金として認められないリスクがあるためです。
病気を理由に役員報酬を一時的に減額したい場合は、企業の判断として自然な流れであっても、そのプロセスを臨時株主総会で正式に議決し、議事録として記録に残すことが不可欠です。
まとめ:病気や入院による役員報酬の減額

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役員報酬を減額する場合、その理由がたとえ病気や入院といったやむを得ない事情であっても、税務上は厳密なルールに基づいて判断されます。特に、病気による役員報酬の減額が「定期同額給与」の原則に反していないかどうかが、損金算入の可否を大きく左右します。
税務署に認められるためには、役員報酬の減額が病気による臨時的な改定であることを客観的に証明する必要があり、そのために不可欠なのが、臨時株主総会の開催と議事録の整備です。役員報酬の減額を適切に処理するためには、取締役会の決議だけでなく、株主総会での正式な承認も経て、明確な手続きの記録を残しておくことが求められます。
また、病気によって業務に支障が出ている状態で、職務の一部または全部を遂行できないという実態があれば、それは「職務内容の重大な変更」として認められ、役員報酬の減額が「臨時改定事由」として扱われる可能性が高まります。反対に、書面や決議の整備が不十分なまま役員報酬を病気を理由に減額してしまうと、後の税務調査で否認されるリスクがあります。
したがって、企業は役員報酬の減額を実施する際、病気という事情を正しく文書化し、定期同額給与の例外として認められるだけの証拠や手続きを確保しておくことが不可欠です。
役員報酬の減額に関する手続きが適正であり、病気を理由とする一時的な減額であることを明確にしておけば、損金として処理することが可能になります。
企業にとっては、役員報酬の減額をめぐる税務リスクを最小限に抑えるための準備と記録の整備が、今後ますます重要になるでしょう。

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