役員報酬の未払い計上はできる?役員報酬の未払金計上するときの仕訳も解説!

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公開日:2024年8月

更新日:2024年11月13日

役員報酬は毎月支払うのが基本ですが、経営状況や資金繰りの都合で未払いになることもあります。その際、役員報酬の未払いをどのように仕訳すべきか、適切な会計処理を行うことが非常に重要です。役員報酬を未払金として計上する場合、仕訳が正しく行われていないと、税務処理で問題が発生する可能性があるため、仕訳方法をしっかり理解しておく必要があります。

この記事では、役員報酬の未払い計上がどのように行えるのかを解説し、役員報酬を未払金として仕訳する際の具体的な方法について詳しく紹介します。役員報酬の未払金を適切に仕訳することは、会社の財務状況を正確に反映するだけでなく、経理業務の透明性を保つためにも重要です。

また、役員報酬を仕訳するときの注意点や、仕訳の際に考慮すべきポイントもあわせて説明しますので、役員報酬の仕訳に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。役員報酬の未払い仕訳を正確に行い、経理処理をスムーズに進めましょう。役員報酬の仕訳をマスターし、会社経営を円滑に行うために、この記事を活用してください!

このような状況では、会社の資金が厳しくなった際に、役員報酬を未払いとして計上するケースがよく見られます。しかし、役員報酬を未払い計上した場合、それが費用として認められるかが重要なポイントです。

もし費用として認められない場合、会社に利益が残り、その結果、法人税の負担が増え、さらに資金繰りが厳しくなる恐れがあります。

そこで今回は、役員報酬を未払い金計上にしても費用として扱えるかどうか、またその際の会計処理について詳しく見ていきましょう。

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役員報酬とは

役員報酬とは、会社の「役員」とされる人に対して支払われる報酬を指します。

「役員」とは、従業員のように日常的な業務を行うのではなく、会社の経営に関する意思決定を担う人を意味します。

会社の内外に関わらず、役員に支払われる報酬はすべて「役員報酬」として分類され、たとえ支払いが少なくても役員報酬として扱われます。

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役員報酬とは?給与との違いや金額の決まり方について解説

では、役員報酬の対象となる役員の種類について見ていきましょう。

【役員の種類】

役員報酬の対象となる役員には、以下のような役職が含まれます。

  • 取締役
  • 会計参与
  • 監査役
  • 執行役、または会計監査人
  • 理事
  • 監事など、会社や団体の経営に携わる人

役員報酬の未払い計上に関連するポイント!

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会社法329条では、取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人が役員と定義されています。理事は主に団体で使われる役職で、監事は公益法人や協同組合で監督役を担う役員です。

役員報酬(定期同額給与)を未払いにしても損金算入できる?

役員報酬の定期同額給与において、役員報酬を未払いにして仕訳上で未払い金を計上した場合、損金算入が可能かどうかについて気になる方も多いでしょう。結論として、役員報酬の未払い金は損金に計上することができます。

ただし、役員報酬を未払いとして計上するには、いくつかの重要な条件があります。例えば、資金繰りの悪化などにより役員報酬を全額支給できないという特別な事情があり、将来的に未払いの役員報酬を支給する見通しが立っていることが求められます。これらの条件を満たすことで、未払いの役員報酬が損金として認められる可能性が高くなります。

一方で、役員報酬の改定時期を過ぎてから未払い金を計上し続けると、税務署から「実際に支払う意志がないのではないか」と疑われ、損金算入が認められなくなるリスクも存在します。また、未払い計上が利益調整のためと見なされると、過去の判例のように役員賞与として扱われる可能性もあります。そのため、未払い金を計上する際は慎重に対応する必要があります。

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役員報酬の未払い計上する場合、源泉徴収の処理方法は以下の記事が参考になるでしょう。
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役員報酬や基本給の変更をすると、『月額変更届』という役所手続きを行うケースが多くあり、給与計算代行をしている税理士でも、5,000円~8,000円程度の別途料金(1人)がかかることがあります。

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未払いの役員報酬で損金算入が否認されるケース

役員報酬の未払いに関しては、適切に計上しなければ損金算入が否認される可能性があります。特に役員報酬が未払いである場合、全額が未払い金として計上され、1事業年度を通じて支払われないケースや、毎月の役員報酬の一部を未払い計上し、従業員賞与の時期にまとめて支払うような方法は税務署から損金算入を否認されるリスクが高まります。

さらに、役員報酬を定期同額給与として計上する際には、事前確定届出給与制度との整合性も重要です。実際に支給された金額のみを役員報酬として計上し、事業年度末などに未払い金残高を一括して計上すると、定期同額給与としての条件を満たさず、損金として認められないことがあります。そのため、役員報酬の未払い計上は慎重に行う必要があります。

役員報酬を未払いを計上した場合の仕訳

ここでは役員報酬の未払い計上した際の仕訳について詳しく解説していきます。
未払い金を計上するほかに、源泉徴収の実務上の取り扱いについても解説しているため確認しておきましょう。

通常の役員報酬支払時の仕訳

役員報酬を支払う場合、通常は次のような仕訳を行います(前提条件:役員報酬30万円、源泉徴収額1万円、その他の控除は考慮しない場合)。

借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額
役員報酬 300,000 現預金 290,000
    預り金 10,000

役員報酬を未払い計上したときの仕訳

役員報酬を未払い計上した場合は、本来的には以下の様な仕訳となります。

借方 金額 貸方 金額
役員報酬 300,000 未払金 300,000

定期同額では、役員報酬を実際は未払いであったとしても「役員報酬」勘定も計上は行う必要があります。

未払い金ではなく役員借入金で計上しても問題はありません。

実際に支払ったときの仕訳

借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額
未払い金 300,000 現預金 290,000
未払い金 10,000

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役員報酬を設定すると社会保険手続きを行う必要があり、社会保険の加入手続きの相場は1万円~2万円(1人)ほどかかります。社会保険に会社として初めて加入する場合は、10万円近くかかることもあります。

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実務上の源泉徴収を行う際の仕訳(計上時)

ただし、先に述べたように、役員報酬を未払いで計上する場合でも、実務上は役員報酬を計上時に源泉徴収を行うことが一般的です。そのため、以下のような仕訳が必要になります

通常、役員報酬を支払った時点で「源泉徴収」を行いますが、

  • 管理が複雑になるのを避けたい
  • 税務署に損金算入を認められやすくするため

などの理由で、実務では「未払金」を計上した際に源泉徴収を行うことも一般的です。

借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額
役員報酬 300,000 未払い金 290,000
    預り金 10,000

支払ったときの仕訳

未払い金を取り崩します。

借方 金額 貸方 金額
未払い金 300,000 未払金 300,000

資金繰り悪化は改訂事由に該当する?

法人税法施行令第69条第1項1号-ハでは、経営が著しく悪化した場合に限り、役員報酬の金額を変更できるとされています。ただし、単なる資金繰りの悪化は改訂事由に該当せず、以下のような具体的なケースが対象となります。

1. 株主との関係で、業績や財務状況の悪化に対する役員の責任から、報酬の減額が避けられない場合。
2. 取引銀行との借入金返済の再スケジュール協議で、報酬の減額が必要な場合。
3. 業績や財務状況、資金繰りの悪化により、信用維持のための経営改善計画に役員報酬の減額が含まれている場合。

したがって、特別な事情がない限り、役員報酬は毎月同額を維持して計上するようにしましょう

役員報酬未払い計上解説部

詳細は国税庁ホームページを参照してください。

役員報酬の未払いが長期化する場合は?

役員報酬を未払い計上しても問題はありませんが、これはあくまでも「計上してから短期間で実際に支給する」という条件を満たした場合に限ります。

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役員報酬の未払い計上するときのポイントは以下の記事がおすすめです。
役員報酬が未払い計上のまま・・・費用として認められる?定期同額給与を守るのがポイント!

もし長期間にわたって未払状態が続くと、「最初から役員報酬を支払う意図がなかった」と税務署に判断される可能性があり、その結果、費用として認められなくなるリスクがあります。この点はしっかり意識しておくべきです。

また、未払いが長引いてしまい、報酬を支払うための資金が確保できない場合は、未払金を役員借入金に振り替え、さらに金利(利息)を計上する対応も検討することが適切です。

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事前確定届出給与を未払いにした場合

役員報酬の一種である事前確定届出給与を損金として計上するためには、正確な手続きが不可欠です。まず、役員報酬に関する「事前確定届出給与に関する届出書」を所轄の税務署に提出し、そこでの届出内容に従って、指定された支給日に役員報酬を正確に支払う必要があります。

もし、役員報酬の支給日や支給金額が届出と異なる場合や、そもそも届出を行わなかった場合、その役員報酬は損金として計上することが認められなくなります。

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役員報酬の未払い計上をする際の注意点の他に、この記事では役員報酬額を変更した際に作成が必要となる株主総会議事録の書き方について解説しています。株主総会議事録を残すことで、税務調査の際に提出を求められても、慌てることなく、役員報酬をしっかりと損金に算入することができます。

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役員報酬の1つである事前確定届出給与の未払い計上を理解するうえで、事前確定届出給与の概要を理解しておくことが肝心です。
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役員報酬の支給形態の1つである事前確定届出給与での節税方法などは以下の記事を参考になります。
事前確定届出給与とは?役員賞与を損金算入して節税できる?期限や記載方法は?

事前確定届出給与とは、役員報酬を損金として計上するための制度で、経営者や監査役などの役員に対して特定の時期に一定の額を支給することを事前に税務署に届出するものです。通常、役員賞与はそのままでは損金に計上することができませんが、この制度を利用することで、役員報酬として計上し、損金に含めることが可能です。非常勤の役員に対しても、年に数回の役員報酬の支給を届け出ることによって、その報酬を損金に計上することができます。

損金に計上するためには、株主総会での決議が必要で、その議事録を作成した上で、定められた期日までに届出書を税務署に提出する必要があります。届出書に記載された支給時期や金額が正確に実施されている場合に限り、役員報酬は損金として計上されることが保証されます。この計上手続きは非常に重要であり、税務上のメリットを享受するためには、正確な処理が必要です。

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まとめ

この記事では、役員報酬の未払いをどのように計上すべきか、また未払い役員報酬に対する仕訳方法について詳しく解説しました。役員報酬の未払いは、会社の資金繰りや経理処理に大きく影響を与えるため、適切に未払い役員報酬として仕訳を行うことが求められます。役員報酬の未払いを正しく仕訳し、財務状況を正確に反映させることは、経営管理上の重要なポイントです。

本記事では、役員報酬が未払いの場合にどのような仕訳を行えばよいのか、未払い役員報酬の処理における具体的な仕訳例を交えながら説明しました。役員報酬の未払いを計上する際には、「役員報酬」と「未払い金」の勘定科目を正しく使い分け、仕訳を行うことが必要です。未払い役員報酬の仕訳を適切に行うことで、経理業務を円滑に進め、会社の財務管理をしっかりと行えます。

役員報酬の未払い仕訳は、一般の未払金とは異なる処理が求められるため、この記事で紹介した仕訳方法を参考に、未払い役員報酬の仕訳をしっかりとマスターしてください。役員報酬の未払い仕訳を適切に行うことで、経営の透明性を高め、健全な経営管理を実現しましょう!役員報酬の未払いとその仕訳方法について理解を深め、今後の経理業務に役立ててください。

役員報酬の未払いを計上することは可能ですが、未払い計上が長期化した場合などは、損金算入が認められないこともあるため、役員報酬の未払い計上は可能な限り早期に解消しましょう。

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