帳簿の付け方を分かりやすく解説!帳簿の種類や自分で帳簿付けするときのポイントも紹介します
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公開日:2025年5月
更新日:2025年5月13日
個人事業主として事業を行ううえで欠かせないのが、帳簿の作成と記帳の習慣です。帳簿は、収入や支出など日々の取引を記録し、事業の状況を正確に把握するために欠かせない存在です。
しかし、帳簿の付け方には種類があり、青色申告か白色申告かによっても求められる内容が異なります。帳簿の付け方を正しく理解していないと、確定申告時に苦労するだけでなく、税務調査で不利益を被る可能性もあります。
本記事では、個人事業主に必要な帳簿の基本から、付け方の種類、申告区分ごとの違い、実務上のポイント、そしてよくあるミスまでを分かりやすく解説します。
そもそも帳簿とは

帳簿とは、事業におけるすべての取引や金銭の流れを記録する帳面や台帳のことを指します。帳簿の付け方は、法人だけでなく、個人事業主やフリーランスにも重要であり、1年間に行われたすべての取引を正確に記載した帳簿を作成し、法律に基づいて一定期間保存する義務があります。
帳簿作成の目的
帳簿を付けることは、商法第19条により、法人・個人を問わず全ての事業者に義務付けられています。帳簿の作成義務を果たすことで、法律遵守だけでなく、日々の収支状況や経営の健全性を把握しやすくなり、事業の継続や成長のための判断材料としても活用できます。帳簿の正しい付け方を習得することは、経営の土台を支える重要な要素です。
帳簿の付け方に関するおすすめ記事
帳簿を付ける際に知っておきたい基本用語

SoVa税理士お探しガイド編集部
帳簿の付け方を理解するうえで、以下の基本用語を押さえておくとスムーズに作成できます。
用語 | 意味 |
---|---|
帳簿 | 取引やお金の流れを記録する帳面や台帳 |
簿記 | 帳簿に取引を記録し、決算書などを作成する会計手法 |
複式簿記/簡易簿記 | 取引を2つ以上の勘定科目に分けて記録する方法/簡易的な記帳方法 |
記帳 | 帳簿へ取引を記載する行為 |
仕訳 | 取引内容を勘定科目ごとに分類して帳簿に記録する処理 |
勘定科目 | 売上や仕入れ、経費などの取引内容を分類するための項目 |
帳簿の付け方の種類

帳簿の付け方には「単式簿記(簡易簿記)」と「複式簿記」の2種類があります。どちらの帳簿付け方を選ぶかによって、帳簿の記録内容や税務上の控除額に影響が出るため、特徴を理解して適切に帳簿を作成することが重要です。
単式簿記(簡易簿記)の帳簿の付け方
単式簿記とは、1つの取引につき1つの記録を行う帳簿の付け方です。主に白色申告者や青色申告のうち10万円控除を受ける人が採用する帳簿付け方として使われています。
単式簿記の帳簿は、家計簿のように収入と支出の動きを時系列で記録するスタイルです。複雑な勘定科目の知識が不要で、現金の出入りや残高の管理が簡単にできます。
帳簿の付け方に関するおすすめ記事:【初心者向け】帳簿の付け方は?エクセル・複式簿記も解説
単式簿記の帳簿記入例:現金出納帳
日付 | 摘要 | 収入 | 支出 | 残高 |
---|---|---|---|---|
10月1日 | 繰越 | 100,000 | ||
10月3日 | 売上 | 40,000 | 140,000 | |
10月4日 | 支出 | 50,000 | 90,000 | |
10月7日 | 普通預金 | 60,000 | 30,000 |

SoVa税理士ガイド編集部
帳簿の付け方について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
このように、単式簿記による帳簿の付け方はシンプルで初心者にも取り組みやすいのが特徴ですが、記録できる内容は限られます。収入・支出と残高はわかりますが、資産や負債の内訳などの詳細までは把握できません。また、青色申告特別控除の金額も最大10万円にとどまります。
複式簿記の帳簿の付け方
複式簿記とは、取引を「原因」と「結果」の両面から記録する帳簿の付け方です。
帳簿の付け方の種類はここがポイント!

主に青色申告で最大65万円の特別控除を受ける場合に求められる記帳方式であり、企業や事業規模が大きい個人事業主も多く採用しています。
複式簿記では、すべての取引を「借方」と「貸方」の2方向に記録し、帳簿に「仕訳」として記載します。勘定科目の知識が求められるため、正確な帳簿付け方を身につけることが必要です。
複式簿記の仕訳例:ノートパソコンを現金で販売した場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|---|
現金 | 70,000円 | 売上 | 70,000円 | ノートパソコン |
このように、複式簿記による帳簿の付け方では、取引の詳細や財務状況を正確に記録できます。帳簿からは、資産・負債・資本・収益・費用のバランスを把握できるため、経営管理にも有効です。
ただし、帳簿を複式簿記で正確に付けるためには、簿記の基礎知識と勘定科目の理解が必要です。初心者の場合は、会計ソフトを利用するなどの工夫で帳簿の付け方を学ぶのがよいでしょう。
青色申告と白色申告の違い

個人事業主は、所得に対して青色申告または白色申告のいずれかで確定申告を行う必要があります。選択する申告方法によって、帳簿の付け方や求められる帳簿の種類、控除額などに大きな違いがあります。
青色申告の帳簿の付け方・特徴
青色申告では、複式簿記で帳簿を付けることで最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。青色事業専従者給与の経費計上や、純損失の繰越控除、貸倒引当金の設定など、節税面で多くの優遇措置があります。
青色申告における帳簿の付け方で気をつけておきたい注意点

ただし、青色申告をするためには、事前に税務署へ「青色申告承認申請書」を提出し、正規の帳簿の付け方で記帳・保存する必要があります。
白色申告の帳簿の付け方・特徴
白色申告では、帳簿の付け方は単式簿記で構いません。提出書類も少なく、手軽に申告できるメリットがありますが、青色申告のような控除は受けられず、節税効果は限定的です。なお、2014年以降は白色申告者も帳簿の記帳と保存が義務化されています。
青色申告と白色申告の帳簿の違い
申告方法 | 帳簿の付け方 | 作成・保存が必要な帳簿 | 控除額 |
---|---|---|---|
青色申告(65万円控除) | 複式簿記 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳など | 最大65万円 |
青色申告(10万円控除) | 単式簿記 | 現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳など | 最大10万円 |
白色申告 | 単式簿記 | 収支内訳書、法定帳簿、任意帳簿など | なし |
帳簿の付け方によって必要な保存期間も異なる
帳簿は記帳するだけでなく、法律で定められた期間の保存義務があります。申告方法や帳簿の種類によって保存期間が異なるため、以下の基準に従って帳簿を管理しましょう。
青色申告の帳簿・書類の保存期間
種類 | 保存期間 |
---|---|
仕訳帳、総勘定元帳、経費帳などの帳簿 | 7年(※所得300万円以下なら5年) |
決算書類(損益計算書・貸借対照表など) | 7年 |
領収書・通帳・請求書などの証憑書類 | 5〜7年 |
白色申告の帳簿・書類の保存期間
種類 | 保存期間 |
---|---|
法定帳簿(収入・経費の記録) | 7年 |
任意帳簿・棚卸表・請求書など | 5年 |
帳簿の付け方に関するおすすめ記事
帳簿の付け方を正しく理解し、申告方法に応じた帳簿作成と保存を行うことで、税務上のトラブルを避け、適切な節税対策にもつながります。初めての方でも、自分に合った帳簿の付け方を選び、早めに記帳・整理を始めましょう。
帳簿の付け方のポイント

日々の取引は意外と多く、帳簿の付け方に一定のルールを設けておかないと、記録が煩雑になり管理が困難になります。帳簿を正確に付けるためには、いくつかのコツと工夫が必要です。ここでは、帳簿の付け方を効率化・正確化するために意識したいポイントを解説します。
帳簿の付け方のポイント①:正確に帳簿を付ける
帳簿を作成する際の基本は「漏れなく・正確に記帳する」ことです。帳簿の付け方として、領収書や請求書などの証憑(しょうひょう)をしっかり確認し、金額や日付、取引内容を正しく転記することが求められます。
特に、桁数の多い数値や似たような取引が続く場合、帳簿の記載ミスが発生しやすいため注意が必要です。記帳ミスがあると、帳簿全体の信頼性が損なわれ、税務署から不正経理を疑われるリスクもあります。

SoVa税理士お探しガイド編集部
帳簿の付け方についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
帳簿の正確性を担保するためには、ダブルチェック体制を整えたり、定期的に帳簿の内容を見直したりすることが有効です。
帳簿の付け方のポイント②:証憑類の整理をする
帳簿の付け方には、証憑類の整理も大切な要素です。
帳簿の付け方はここがポイント!

帳簿に記載する際に使用する領収書やレシートなどは、日付や勘定科目順に並べてファイリングすることで、後からの確認が容易になります。
仕訳帳の順に証憑を並べたり、仕訳伝票の裏に貼り付けて保管する方法もおすすめです。これにより、帳簿と証憑の整合性が取りやすくなり、紛失リスクも低減されます。
また、2024年1月からは電子帳簿保存法の本格運用が始まっており、帳簿に関する書類もPDF化し、タイムスタンプを付与して保存する対応が求められています。電子保存は帳簿管理の効率化にもつながるため、今後はデジタルでの帳簿の付け方もスタンダードになっていくでしょう。
帳簿の付け方のポイント③:できれば会計ソフトを活用する
従来は帳簿の付け方といえば手書きが主流でしたが、現在は多くの事業者が会計ソフトを利用して帳簿を付けています。

SoVa税理士お探しガイド編集部
会計ソフトを活用することで、仕訳の入力が自動的に総勘定元帳や試算表に反映されるため、帳簿を効率よく付けることができます。
また、会計ソフトによっては、固定資産台帳や経費精算、給与計算などの関連ソフトと連携しながら、帳簿の記帳作業を一元管理できる機能も備えています。さらに、銀行口座やクレジットカード明細と連動することで、仕訳の自動化や帳簿の精度向上にもつながります。
帳簿の付け方を効率化したい場合や、ミスなく記帳を進めたい場合は、可能な限り会計ソフトを活用するのが現代的な選択肢といえるでしょう。
帳簿の付け方でよくある失敗例

複式簿記に不慣れな場合、帳簿の付け方に関してさまざまなミスが生じやすくなります。ここでは、帳簿を付ける際によくある間違いやその対策について、具体的に解説します。正しい帳簿の付け方を理解し、日々の記帳ミスを防ぐためにぜひ参考にしてください。
帳簿の付け方に関するおすすめ記事
帳簿の付け方における失敗例①:帳簿の記帳を後回しにするとどうなる?
帳簿の付け方で特に多い失敗が「記帳の後回し」です。取引量が少ないからといって帳簿を付ける作業を先延ばしにすると、取引内容を忘れてしまい、記録が曖昧になります。
特に、現金取引や売上の記録はタイミングが重要で、取引直後に帳簿を付ける習慣がないと、現金残高が帳簿と合わなくなるケースが発生します。

SoVa税理士お探しガイド編集部
こうしたミスを防ぐためには、毎日、あるいは最低でも月単位・3か月単位で定期的に帳簿を記入する習慣をつけることが大切です。
帳簿の正確な付け方を身につけることで、集計や確定申告時の作業も大幅に効率化されます。
帳簿の付け方に関するおすすめ記事:白色申告の帳簿の付け方解説|手書きやエクセルは可?記載例も
帳簿の付け方における失敗例②:貸借の逆記載に注意!仕訳ミスが帳簿に与える影響
複式簿記の帳簿を付ける際によくあるもう一つのミスが、「借方」と「貸方」の逆記帳です。帳簿の付け方を正しく理解していないと、仕訳時に左右を逆に記載してしまうことがあり、これが積み重なると財務データ全体にズレが生じます。
帳簿の付け方はここがポイント!

このような帳簿の付け方のミスは、試算表や月次推移表で確認することで発見できる場合があります。帳簿を付けた後は必ず集計結果をチェックし、違和感がないか確認することが重要です。
帳簿の付け方を間違えると、決算書にも影響が出るため、特に複式簿記を導入している事業者は、帳簿記帳後のチェック体制を整えておくことが求められます。
まとめ

帳簿の付け方に関するおすすめ記事
個人事業主にとって、正しい帳簿の付け方を身につけることは、税務対策だけでなく日々の経営管理においても非常に重要です。

SoVa税理士ガイド編集部
帳簿には複式簿記と単式簿記といった付け方の違いがあり、それぞれの特徴や用途を理解したうえで、自分の事業形態や申告方法に合った記帳を行うことが求められます。
また、帳簿の付け方を誤ると、後の修正や確認作業に手間がかかるだけでなく、正確な事業状況の把握も難しくなります。この記事を参考に、帳簿作成を日々の習慣にし、効率的で信頼性の高い経理体制を整えていきましょう。
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