ひとり社長の給料はどう決めたらいい?決め方と注意点を解説!

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公開日:2024年11月

更新日:2024年11月29日

税金や社会保険料を抑えるために、従業員を雇わずマイクロ法人を設立して、ひとり社長が経営するケースが増えてきています。

個人事業主の場合、所得が増えると国民健康保険料や所得税、住民税といった負担が重くなり、給料面での悩みが増えることが多いです。その解決策の一つとして、ひとり社長として法人を設立し、給料として法人から役員報酬を受け取ることで、社会保険料や税負担を軽減し、節税のメリットを得る方法があります。

ただし、役員報酬(給料)を法人税法上の経費として認められるには、一定の条件を満たす必要があります。これを怠ると、後々の税務調査で給料としての扱いが否認されるリスクもあるため注意が必要です。

SoVa税理士お探しガイド編集部

本記事では、ひとり社長の給料についての基礎知識やメリット、設定する際の重要なポイントについて詳しく解説します。

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役員報酬を設定すると社会保険手続きを行う必要があり、社会保険の加入手続きの相場は1万円~2万円(1人)ほどかかります。社会保険に会社として初めて加入する場合は、10万円近くかかることもあります。

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ひとり社長のメリット

会社を設立することで、ひとり社長にとって社会的信用の向上や税負担の軽減、給料の取り扱いの柔軟性など、個人事業主にはない多くのメリットを得ることができます。以下では、ひとり社長が会社を設立する際の主なメリットを詳しく解説します。

ひとり社長のメリット①:社会的信用を得やすくなる

会社を設立することで、たとえひとり社長であっても、会社の社会的信用度が高まります。商号や所在地、資本金などを法務局に登記することで、法人としての責任が明確になり、登記内容は公開情報となります。これにより、個人事業主に比べて信用力が向上しやすくなります。

ひとり社長でも、会社を設立することで、これまで契約が難しかった企業との取引が可能になるケースがあります。また、信用度が上がることで金融機関からの融資を受けやすくなる可能性も高まります。

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さらに、合同会社の場合、株式会社と比べて設立費用が抑えられるため、初期コストを軽減したいひとり社長にとって合同会社は現実的な選択肢です。

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ひとり社長のメリット②:税負担を軽減しやすくなる

ひとり社長が会社を設立することで、税負担を軽減する仕組みを活用できるようになります。合同会社では、給料(役員報酬)を法人の経費として計上することが可能で、課税対象となる所得を減らす効果があります。

例えば、個人事業主の場合、所得税率は最大45%に達しますが、合同会社の法人税率は所得800万円以下の場合15%、それを超える部分は23.2%に留まります。これにより、所得が多いひとり社長ほど法人化による節税効果が高くなる仕組みです。ただし、節税効果は事業規模や収益構造によって異なるため、専門家に相談しながら進めることが重要です。

ひとり社長のメリット③:社会保険に加入できる

会社を設立すると、ひとり社長であっても社会保険への加入が義務付けられます。これにより、健康保険や厚生年金に加入することが可能になり、個人事業主時代よりも将来受け取る年金額を増やすことができます。

SoVa税理士ガイド編集部

ただし、社会保険料の事業者負担分が新たに発生するため、経費管理に注意が必要です。

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役員報酬や基本給の変更をすると、『月額変更届』という役所手続きを行うケースが多くあり、給与計算代行をしている税理士でも、5,000円~8,000円程度の別途料金(1人)がかかることがあります。

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ひとり社長のメリット④:倒産時のリスクが軽減される

ひとり社長が会社を設立することで、有限責任を享受でき、倒産時のリスクが軽減されます。個人事業主の場合、無限責任を負うため、経営が悪化した際には借入金や未払い金の支払いを個人で担う必要があります。一方、会社を設立すれば、出資額を超える支払義務が発生しないため、倒産時でも個人資産を保護することができます。これにより、リスクを最小限に抑えることが可能となります。

合同会社はひとり社長にとって、社会的信用の向上や税制面での優遇、経営上のリスク軽減など多くのメリットをもたらす有力な選択肢です。設立にあたっては、自身の経営スタイルや収益構造に合った最適な形を見極めることが大切です。

ひとり社長のデメリット

ひとり社長として会社を運営するには、メリットだけでなくいくつかのデメリットも伴います。

ひとり社長のデメリット①:記帳や税務申告の負担が増大する

ひとり社長として会社を立ち上げると、記帳や仕訳、税務申告の作業が個人事業主の頃よりも複雑になります。個人事業主であれば確定申告だけで済むところを、ひとり社長の場合は法人税や法人住民税、法人事業税など、複数の税金に関する計算と申告が必要になります。

これらの作業は専門的な知識が求められ、かなりの時間を要するため、多くのひとり社長は税理士に依頼することが一般的です。

SoVa税理士お探しガイド編集部

しかし、税理士への依頼内容によっては報酬が数十万円に達することもあり、経費として負担になる場合があります

ひとり社長の給料に関するおすすめ記事:ひとり社長は給料8万円がお好き? ひとり社長の給料は〇〇円がいいの?

ひとり社長のデメリット②:社会保険料の負担が増える

ひとり社長として会社から給料(役員報酬)を受け取る場合、健康保険や厚生年金への加入が義務付けられます。特に厚生年金の保険料は、給料の金額に応じた定率で計算されるため、個人事業主時代の国民年金に比べて負担が大きくなる可能性があります

そのため、ひとり社長としての給料設定によっては、個人事業主の頃に比べて税負担や社会保険料の支払いが重く感じられることがあるかもしれません。こうした負担が「稼ぎづらい」と感じる要因になる場合もあるため、ひとり社長の給料の金額は慎重に設定し、社会保険料や税務負担のバランスを考える必要があります。

ここがポイント!

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ひとり社長としての経営には柔軟性と独立性がある反面、記帳・申告の手間や給料にかかる負担が増えることを認識し、計画的な運営を行うことが求められます。

ひとり社長の給料に関するおすすめ記事:一人会社(ひとり社長)と個人事業主は何が違う?ひとり社長の給料ルールや働き方

ひとり社長の給料を決める際のルール

ひとり社長が会社で給料(役員報酬)を設定する際には、会社法および法人税法に基づいた適切な手続きが求められます。以下に、ひとり社長が給料を決定する際に注意すべきポイントを解説します。

ひとり社長の給料決定に関する会社法のルール

ひとり社長の給料(役員報酬)は、会社法上では定款または株主総会で定めることが義務付けられています。実務では、多くの場合、株主総会で役員報酬の年額上限を決定し、その具体的な金額については取締役会やひとり社長自身に一任する形が取られています。

詳細は以下の記事をご覧ください。

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ひとり社長の給料を損金算入するための法人税法上のルール

法人税法では、ひとり社長が受け取る給料(役員報酬)を損金算入するために、いくつかの条件を満たす必要があります。この条件には以下の3つの種類があります。

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定期同額給与

毎月一定額で支払われる給与で、ひとり社長が給料を損金算入する場合の基本形です。会計年度を通して同額で支給される必要があり、変更は認められません。

事前確定届出給与

あらかじめ確定した金額を特定の時期に支給するもので、ひとり社長がボーナスなどを受け取る場合に活用されます。これは損金算入可能な賞与の形態として利用されます。

利益連動給与

会社の利益に応じて変動する給与ですが、同族会社であるひとり社長の会社では利用が難しい仕組みです。

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ひとり社長の給料を決める際のポイント

会社を運営するひとり社長にとって、給料(役員報酬)の決定は非常に重要です。以下では、ひとり社長が給料を設定する際に考慮すべきポイントを解説します。

ひとり社長の給料の決め方①:社会保険料を抑える

ひとり社長として社会保険料をできるだけ抑えたい場合、報酬月額を6.3万円未満に設定するのが有効です。この金額は最低等級に該当し、社会保険料の負担を大幅に軽減できます。最新の保険料率は全国健康保険協会の情報を確認し、適切な給料設定を行いましょう。

ひとり社長の給料の決め方②:所得税を最小限に抑える

会社を運営するひとり社長が所得税を最小限に抑えたい場合、極端な例として給料(役員報酬)をゼロに設定する方法があります。所得税は給与所得控除の範囲内で計算されるため、収入を抑えれば控除内に収まり、税負担を減らせます。ただし、給料をゼロに設定することで発生するデメリットもあるため、事前に慎重に検討してください。

ひとり社長の給料の決め方③:独立前の給料を参考にする

独立前の給料を参考にして、会社のひとり社長としての給料を設定するのも一つの方法です。生活水準を維持しながら経営を安定させたい場合、サラリーマン時代の給与額を基準に報酬額を決めると良いでしょう。

SoVa税理士お探しガイド編集部

特に、生活費や将来の貯蓄を考慮して適切な金額を選ぶことが重要です。

ひとり社長の給料の決め方④:同業種・同規模のデータを参考にする

他のひとり社長や同業種・同規模の会社の給料(役員報酬)を参考にするのも有効です。国税庁の「民間給与実態統計調査」などの公表データを活用すれば、妥当な報酬額を見つけやすくなります。ただし、報酬を高額に設定しすぎると、資金繰りに支障が出る可能性があるため、会社の規模や収益を考慮してバランスを取ることが大切です。

ひとり社長の給料の決め方⑤:会社の年間計画を基にシミュレーションする

会社のひとり社長が給料を決める際には、年間の売上予測や必要経費をもとにシミュレーションを行い、会社の計画に合った金額を設定することが大切です。最初に現実的な給料を設定しておけば、年度途中で変更する必要が生じるリスクを抑え、会社の財務状況を安定させることができます。

ひとり社長としての給料設定は、会社の成長や個人の生活設計に直結するため、慎重に検討して適切な金額を決定することが重要です。

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ひとり社長の給料を決める際の注意点

ひとり社長が合同会社で給料(役員報酬)を設定する際には、柔軟かつ計画的な対応が求められます。以下に、ひとり社長が給料を決める際の注意点を解説します。

ひとり社長の給料設定の注意点①:報酬の柔軟な調整

ひとり社長として、社会保険料や税負担を軽減するために給料(役員報酬)を低く設定する方法があります。報酬を最低限に抑えることで、社会保険料を削減する効果が期待できます。しかし、給料を低く設定しすぎると、法人の利益が増加し、その分法人税の負担が大きくなる可能性があります。そのため、法人税とのバランスを考慮し、ひとり社長として最適な給料を設定する柔軟性が重要です。

ひとり社長の給料設定の注意点②:報酬額の計画的な決定

合同会社でのひとり社長の給料(役員報酬)は、法人税法により会計期首から3ヶ月以内に決定する必要があります。この時点では、会社の年間利益や法人税額が確定していないため、将来の利益予測に基づいて計画的に給料を設定することが大切です。特に、期末の利益を考慮しておくことで、ひとり社長が税負担を最適化し、安定した運営を行いやすくなります。

ひとり社長の給料設定の注意点③:法人と個人の総合的な視点

ひとり社長にとって、法人の利益確保と個人の年収確保はどちらも重要です。給料(役員報酬)の設定を行う際には、法人と個人の収入全体を見渡し、現金の流れを最適化する必要があります。法人の資金を維持しつつ、ひとり社長個人の生活や将来の資産形成に十分な給料を確保することで、長期的な安定を実現することが目指されます

ひとり社長の給料設定は、会社の成長だけでなく個人のライフプランにも影響を与える重要な要素です。適切な計画とバランスをもって、給料(役員報酬)を決定しましょう。

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まとめ

個人事業主が法人化すると、ひとり社長として給料(役員報酬)を受け取る仕組みを利用できるようになります。ひとり社長が給料を受け取ることで、節税効果を得られる点は法人化の大きなメリットです。

しかし、ひとり社長が給料(役員報酬)の金額を慎重に検討せずに設定すると、想定外に手元に残る資金が少なくなり、ひとり社長として会社の資金繰りに悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため、ひとり社長が給料を設定する際には、法人税や社会保険料の負担、生活費の確保、会社の財務計画など、多角的な視点で検討し、最適な金額を決めることが重要です。

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