接待交際費に上限はある?大企業・中小企業・個人事業主のルールの違いについて解説!
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公開日:2025年4月
更新日:2025年4月30日
ビジネスシーンにおいて、取引先との信頼関係を築くために接待を行うことはよくあります。その際に発生する費用は、接待交際費として処理されますが、企業規模によって損金算入できる上限が異なる点に注意が必要です。特に大企業と中小企業、個人事業主では、接待交際費の扱い方や上限ルールに大きな違いがあります。
この記事では、接待交際費とは何かを基本から押さえたうえで、損金算入が可能な上限額、処理できる費用・できない費用、そして適切に損金算入するための注意点まで、わかりやすく解説します。接待交際費の上限ルールを正しく理解し、税務リスクを防ぎながら賢く経費管理を行いましょう。
接待交際費とは

接待交際費とは、得意先や仕入先など、事業に関係する相手に対して行う接待や贈答にかかる費用を処理するための勘定科目です。税法上、法人が支出する接待交際費は「交際費等」として扱われ、一定の上限内で損金算入が認められています。
接待交際費の上限に関するおすすめ記事
国税庁によれば、「交際費等」とは、交際費、接待費、機密費その他これらに類する費用であり、法人が得意先、仕入先その他事業に関連する者に対して行う接待、供応、慰安、贈答などの行為に要する支出を指します。たとえば、得意先への接待を目的とした食事会や、仕入先へのお中元・お歳暮の贈答などが交際費の典型例です。
ただし、接待交際費として認められるのは、事業遂行に必要と認められる接待や贈答に限られます。プライベートな友人との会食や、事業に無関係な相手に対する支出は、たとえ接待行為に見えても交際費としては扱えません。

SoVa税理士お探しガイド編集部
また、法人規模に応じて、接待交際費として損金算入できる金額には上限が設けられているため、上限を超える支出があった場合は注意が必要です。
適切な区分とルールを理解したうえで、接待交際費を正しく処理しましょう。
接待交際費の上限に関するおすすめ記事:交際費の上限額とは?知っておきたい基礎知識から期待の節税効果まで図解で解説!
【企業規模別】損金算入が可能な接待交際費の上限額

接待交際費は、いくらでも自由に損金算入できるわけではありません。
接待交際費として損金算入できる金額には、個人事業主か法人か、また企業規模によって明確な上限が設けられているため、注意が必要です。
企業規模ごとに、損金算入できる接待交際費の上限額は次のように異なります。
企業規模 | 接待交際費の年間上限額 |
---|---|
個人事業主 | 上限なし(法人でないため制限なし) |
資本金1億円以下の中小企業 | 800万円まで全額損金算入または接待交際費の50% |
資本金1億円超の大企業 | 接待交際費の50%のみ損金算入 |
接待交際費の上限で気をつけておきたい注意点

ただし、期末時点で資本金または出資金の額が100億円を超える法人については、支出した交際費等の全額が損金不算入となります。
企業ごとの接待交際費の上限ルールをしっかり理解して、適切に経費処理することが重要です。
個人事業主の場合|接待交際費に上限なし
個人事業主の場合、接待交際費に上限は設定されていません。
そのため、事業に関連する接待交際費であれば、原則として全額を損金算入することが可能です。
注意点として、上限がないからといって、プライベートな飲食費や個人的な贈答費用を接待交際費として計上することはできません。
事業に無関係な支出を交際費に含めた場合、税務署から指摘を受けるリスクがあるため、実態に即した管理が必要です。
資本金1億円以下の中小企業の場合|接待交際費の上限800万円または50%
資本金1億円以下の中小企業では、接待交際費の上限として、次の2パターンのいずれかを選択できます。
- 接待交際費800万円までを全額損金算入
- または、接待交際費のうち50%を損金算入

SoVa税理士ガイド編集部
接待交際費の上限についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
注意点として、800万円または50%を超えた接待交際費については、損金不算入となり、法人税の課税対象になります。
中小企業であっても、上限超過に注意して交際費管理を行う必要があります。
資本金1億円超の大企業の場合|接待交際費の50%が上限
資本金が1億円を超える大企業の場合、接待交際費についてはより厳しいルールが適用されます。
損金算入できるのは、接待交際費のうち50%が上限となっています。
接待交際費の50%を超えた支出分は損金不算入となり、その分だけ法人税が増えることになります。
特に大企業では、接待交際費の上限管理を徹底しないと税負担が重くなるため、注意が必要です。
接待交際費の損金算入は特例措置|今後の変更にも注意
もともと、接待交際費は原則として損金算入できない費用でした。
現在認められている損金算入は、税制改正によって設けられた「特例措置」です。そのため、将来的な税制改正によって接待交際費の損金算入の上限や条件が変更される可能性もあります。
対応ポイントとして、現行ルールでは、上限の範囲内であれば接待交際費を損金算入することが可能です。
また、将来的な制度変更にも備えて、最新の税制情報を常にチェックしておくことも重要です。
企業規模ごとの接待交際費の上限ルールを押さえるだけでなく、次章ではさらに節税に役立つ接待交際費の活用ポイントも解説していきます。
接待交際費の上限に関するおすすめ記事:個人事業主の接待交際費の平均は?いくらまで経費になる?
接待交際費として処理できる費用

接待交際費として損金算入できる費用には、主に以下の3つのケースが挙げられます。
ここでは、それぞれのケースにおける接待交際費の範囲や注意すべき上限について、詳しく解説していきます。
接待交際費として損金算入可能なケース①:クライアントとの会食費
クライアントとの接待に伴う会食費は、基本的に接待交際費として処理できます。
会食が行われる場所は、通常の飲食店だけでなく、クラブやバーなどの接待目的の施設も対象となります。
ただし、接待交際費として損金算入できるのは、あくまで事業関連の接待に限られ、プライベートな飲食費は対象外です。
接待交際費の上限に関するおすすめ記事
また、大企業や中小企業ごとに接待交際費の上限額が定められているため、上限を超える支出については損金不算入となる点にも注意が必要です。
接待交際費として損金算入可能なケース②:クライアントへの贈答(お中元・お歳暮)
クライアントや取引先への贈答品も、接待交際費の対象となります。たとえば、お中元やお歳暮、営業先への菓子折りなどの贈り物は、接待交際費として経費計上が可能です。
ただし、贈答品の費用についても、企業規模による接待交際費の上限を超えた場合は、損金不算入となるため注意が必要です。適正な金額範囲内での接待交際費計上を心がけ、上限管理を徹底することが求められます。
接待交際費として損金算入可能なケース③:ゴルフや旅行への招待費用
特定の取引先をゴルフ場や旅行に招待する場合にかかる費用も、接待交際費として認められるケースが多いです。
ゴルフプレー代、ホテルの宿泊費、懇親を目的とした飲食費、さらには送迎などの交通費も接待交際費の対象に含まれます。
接待交際費の上限で気をつけておきたい注意点

ただし、ゴルフ接待や旅行接待においても、事業関連性が明確でない支出は交際費として認められない場合があります。
また、当然ながら、接待交際費には企業規模別の損金算入の上限が存在するため、上限を超えないよう費用管理を行うことが重要です。
接待交際費として処理できない費用

接待交際費として処理できない費用についても、正しく理解しておくことが重要です。
ここでは、代表的なケースを事例を交えて解説し、どの支出が接待交際費に該当せず、どのように処理すべきかを明確にしていきます。
あわせて、接待交際費における損金算入の上限ルールにも注意しながら整理していきましょう。
接待交際費の上限に関するおすすめ記事:【税理士監修】接待交際費はいくらまで経費になる?具体的な上限額や個人事業主・中小企業・大企業のルール
打ち合わせ時の飲食代|接待交際費ではなく会議費に該当
仕事に関連する打ち合わせの際に発生する飲食代は、原則として接待交際費では処理しません。
この場合、支出は「会議費」として処理し、損金算入することが可能です。
ただし、注意点として、会議費と認められるのは「会議において通常供与される程度」の軽い飲食に限られます。
もしも豪華すぎる食事内容であった場合には、接待交際費として取り扱われ、損金算入できる金額にも上限が関係してきます。

SoVa税理士ガイド編集部
接待交際費の上限についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
会議費に明確な法律上の要件はありませんが、一般常識の範囲内で支出を抑えることが重要です。結果として、接待交際費か会議費かの区分により、損金算入できるか、またその上限がどう適用されるかが変わってきます。
社内イベント費用|接待交際費ではなく福利厚生費に該当
自社の全社員を対象とした社内イベントにかかる費用についても、接待交際費とは区別されます。たとえば、社員慰安のためのお花見、運動会、新人歓迎会での飲食費用などは、接待交際費ではなく「福利厚生費」として処理し、全額を損金算入することが可能です。
福利厚生費には接待交際費のような上限規定はなく、原則自由に設計できますが、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
接待交際費の上限におけるここがポイント!

特に、福利厚生費として認められるためには「全社員が対象」となっている必要があり、役員のみを対象とした会食やイベントの場合は、接待交際費とみなされる可能性があります。
この場合、接待交際費扱いとなることで、企業規模に応じた損金算入の上限が適用されるため注意が必要です。
接待交際費の上限について気を付けるべきポイント

接待交際費を経費として計上する場合には、いくつか重要な注意点があります。
特に、接待交際費は企業規模によって損金算入できる上限が異なり、税務調査でも指摘を受けやすい項目です。
ここでは、接待交際費を適切に処理するための基本ポイントについて解説します。
できるだけ交際費で処理しない工夫が必要
接待交際費は、損金算入できる金額に上限が設けられているため、できる限り「交際費」ではなく「会議費」や「福利厚生費」など、他の勘定科目で処理する工夫が求められます。
特に大企業では、接待交際費に適用される損金算入の上限が厳しく設定されているため、全額損金算入できる「会議費」や「福利厚生費」を活用する節税対策が一般的です。
一方、中小企業では、接待交際費の上限が年間800万円、個人事業主は上限なしで全額損金算入が可能ですが、できるだけ交際費として処理しないことが推奨されています。
接待交際費の上限に関するおすすめ記事
理由は以下の通りです。
- 交際費に関する税制改正は過去にも大きく行われており、今後も変更される可能性がある
- 交際費は税務調査で重点的にチェックされやすい項目であり、リスクが高い

SoVa税理士お探しガイド編集部
不用意に接待交際費として計上を重ねると、将来的に不利な税制改正があった場合や、税務調査時に指摘を受けるリスクが高まります。
できる限り他の費目を使い、交際費扱いを最小限に抑える工夫が重要です。
接待交際費を損金算入するために必要な情報管理
接待交際費を損金算入するには、領収書やレシートだけを保存しておくだけでは不十分です。
社外飲食接待費を交際費として認めてもらうためには、次の情報を正確に記録する必要があります。
- 飲食や接待を行った年月日
- 参加した取引先の氏名とその関係
- 参加人数
- 金額、飲食店の名称・所在地
これらの情報は、領収書に直接書き込むか、別途台紙に貼り付けて記載する、伝票に備考欄で管理するなどの方法で確実に残しておきましょう。
これらの記載がない場合、接待交際費として損金算入できず、認められない可能性が高くなります。
また、「会議費」として処理する場合でも、「1人あたり5,000円以内」であることがわかるように、人数や単価の情報を明示することが求められます。
接待交際費を正しく損金算入するためにも、社内ルールを定め、記載の徹底を図ることが重要です。
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社内飲み会や接待時の交通費は交際費でも損金算入できない
一方で、交際費として処理した場合でも、税法上損金算入が認められないケースも存在します。
以下は、損金算入できない接待交際費の例です。
- 従業員の一部のみを対象にした飲み会
- 取引先とのゴルフ時の飲食代
- 接待時のタクシー代(お車代)
従業員の一部のみを対象とする飲み会は、接待ではなく単なる福利目的にもならないため、交際費としても損金算入できません。
また、ゴルフに伴う飲食費用は「社外飲食接待費」として扱われず、損金算入の対象外となります。
さらに、接待に伴うタクシー代も「飲食費」に該当しないため、交際費であっても損金算入ができません。
接待交際費の対象範囲と、損金算入できる上限ルールを正確に理解し、誤った経費処理を防ぐことが重要です。
まとめ

接待交際費の取り扱いは、大企業、中小企業、個人事業主それぞれでルールが異なり、上限額の設定にも違いがあります。

SoVa税理士ガイド編集部
接待交際費として処理できる費用・できない費用を正しく区別し、上限を超えた支出に注意することが、税務リスクを避けるためには欠かせません。
また、損金算入を確実に行いたい場合は、必要な証憑の保管や明細記録など、基本的なルールを徹底することが重要です。今回紹介した内容を参考に、接待交際費の上限を意識しながら、健全な経費管理と節税対策に取り組んでいきましょう。
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