株式会社と合同会社の違いは?メリット・デメリットと選び方を解説
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公開日:2024年5月
更新日:2024年8月14日
この記事では、株式会社と合同会社の基本的な違いから、それぞれのメリットとデメリット、選び方について詳細に解説します。事業を始める際の適切な会社形態を選ぶことは、事業の将来に大きな影響を与えます。それぞれの会社形態が持つ特性を理解し、自社のビジネスモデルや成長戦略に合わせた最適な選択をするためのポイントを説明します。
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SoVa税理士ガイド編集部
株式会社と合同会社は、所有と経営の関係に大きな違いがあります。それぞれが持つメリットとデメリットは、会社の規模や事業内容、将来の目標によっても違います。この記事で自分の会社に合う法人格を選ぶようにしましょう。
おすすめ参考記事:株式会社vs合同会社、結局どっちが良いの?【簡単な比較表にしてみた】
目次
株式会社とは
株式会社とは、株式を発行して資金を集めて作られる会社の代表的な形態です。株式会社は、資本の所有者と経営者が分離しており、資本金を提供した人が株主となります。株式会社の経営者は株主による集会である株主総会での選出により決定されます。
このように、出資者と経営者が異なるケースを「所有と経営の分離」と呼び、株式会社の特徴の一つです。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
「所有と経営の分離」は株式会社の中で非常によく出てくるワードです。
株式会社についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事もおすすめです。
株式会社についてもっと知りたい方におすすめの記事:株式会社とは?仕組みやメリットをわかりやすく解説!
合同会社とは
合同会社は、2006年5月1日に施行された会社法によって新しく設けられた会社形態です。合同会社の形態は、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルにして導入されました。
株式会社と違い、合同会社では出資者がそのまま経営者となります。つまり、出資した全てのメンバーが会社の経営に参加し、決定権を持ちます。
合同会社についてもっと知りたい方におすすめの記事
株式会社と合同会社の違いは?
株式会社と合同会社の違い①:会社設立費用
会社設立に関連する費用は、株式会社と合同会社で違います。合同会社の場合、定款の公証人にかかる手数料が不要なため、一般的に費用が抑えられます。
株式会社では出資者と経営者が違い、そのため定款の作成が必要です。出資者が定款を作成し、株式会社の基本的なルールを定めます。その定款によって、経営者が株式会社の経営を行っていくため、後日、公に承認してもらい、紛争防止などの目的のため認証が必要となります。
一方、合同会社は出資者と経営者が同一であるため、定款の認証が不要です。
株式会社と合同会社の会社設立費用の違いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。前述の通り、合同会社として会社設立をする方が会社設立費用を抑えることができますが、どのような点で会社設立費用が異なるのか詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
合わせて読みたい「株式会社と合同会社の設立費用の違い」に関するおすすめ記事
株式会社と合同会社の設立費用の違いは?設立後に必要な費用も解説
株式会社と合同会社の違い②:決算公告義務
株式会社は、利害関係者のためにも毎年の決算書の公告を義務付けられていますが、合同会社の場合は、株式会社と違い、決算公告義務がありません。
もし決算を公告する手間やコストを省きたい場合は、合同会社での設立を選択するのがよいでしょう。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
株式会社と合同会社の違いについては以下の記事もおすすめです。
おすすめ記事:合同会社とは?株式会社との違い、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく徹底比較
株式会社と合同会社の違い③:利益分配と経営の自由度
株式会社の場合、利益の分配や経営上の重要な決定は、基本的に株主によって決定されます。株式会社は、株式の発行を通じて投資家から資金を調達することも可能である一方で、資金を調達するために株主を増やすことで、経営の自由度が制限されることがあります。
一方で、合同会社では株式会社と違い、利益の分配や経営上の決定は経営者同士で話し合うことができるため、自由度が高いと言えます。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
株式会社と合同会社の違いに関しては以下の記事もおすすめです。
おすすめ記事:法人設立で、株式会社と合同会社どちらが良い?違いをわかりやすく解説
株式会社と合同会社の違い④:信用度
合同会社では、決算公告が行われないことや、知名度が低いという違いから、取引や資金調達における信用度が株式会社よりも低くなる傾向があります。
さらに、会社を拡大しようとする際には、株式会社と違い、合同会社は上場させることができないため、その点がデメリットとなります。
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株式会社と合同会社のメリット・デメリット
株式会社と合同会社の違いを理解したら、それぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット | デメリット | |
株式会社 | ・知名度が高い ・資金調達方法が多様 ・上場させられる | ・設立費用やイニシャルコストが高い ・決算公告義務があり手間やコストがかかる ・出資額に応じて利益分配が決まる |
合同会社 | ・設立費用やイニシャルコストが安い ・決算公告義務はなく手間やコストを抑えやすい ・出資者の利益分配の自由度が高い | ・出資者の人間関係が経営に影響する ・知名度が低い ・上場させられない |
株式会社と合同会社のメリット・デメリットに関するおすすめ記事:株式会社と合同会社の違いを比較!メリットもわかりやすく解説
株式会社のメリット
株式会社のメリット(1):合同会社と違い、知名度が高い
株式会社と合同会社の違いとして、知名度の高さが言えます。一部の大手外資系企業は合同会社を採用していますが、合同会社について知識が不足している人もいます。
株式会社のメリット(2):合同会社と違い、資金調達方法が多様
株式会社の大きなメリットの一つは、合同会社と違い、株主を募って資金調達が可能なことです。株主は出資した金額以上の責任を負うことなく、間接有限責任を持ちます。そのため、出資金額以上のリスクを負うことなく、投資しやすいというメリットがあります。
株式会社のメリット(3):合同会社と違い、上場できる
株式会社は上場して更なる事業拡大を目指すことができますが、合同会社の場合は上場できません。上場を目指したり、従業員数を増やしたりして、会社を大きく成長させたい場合は、株式会社が合同会社よりも適していると言えるでしょう。
株式会社のメリットに関するおすすめ記事:株式会社と合同会社の違いは?特徴とメリット・デメリットを解説
株式会社のデメリット
株式会社のデメリット(1):合同会社と違い、設立にかかる費用や手続きが多い
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SoVa税理士お探しガイド編集部
株式会社と合同会社では、会社設立に関連する費用や手続きが違います。
たとえば、登記申請時に支払う登録免許税は、合同会社が「資本金額×0.7%」であり、6万円未満の場合は6万円ですが、株式会社の場合は「資本金額×0.7%」であり、その金額が15万円未満の場合は15万円という違いがあります。
さらに、株式会社は定款の作成後、公証役場で認証を受ける必要があり、この認証手数料は資本金額に応じて3万円から5万円かかります。一方、合同会社は定款の認証が不要なので、公証役場での手続きや手数料は不要です。
おすすめ記事:株式会社と合同会社の違いを解説!それぞれのメリット・デメリットや選び方を紹介
株式会社のデメリット(2):合同会社と違い、決算公告義務があり手間やコストがかかる
決算公告は、企業の業績や財務状況を株主に公開し、取引の透明性を確保するための手続きです。合同会社にはこの義務は課せられていませんが、株式会社は合同会社と違い、毎年必ず決算公告を行わなければなりません。
通常、決算公告は官報に掲載されますが、その際には約7万円ほどの費用がかかります。電子公告であっても、約1万円ほどの費用がかかります。
株式会社のデメリット(3):合同会社と違い、出資額に応じて利益分配が決まる
合同会社が利益を出資者に分配する場合、配分の基準は自由に決めることができます。一方で、株式会社では出資額に応じて利益を分配する必要があります。出資額が少なくても、合同会社と違い、会社への貢献度が高い出資者に多くの利益を配分することはできません。
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合同会社のメリット
合同会社のメリット(1):株式会社と違い、設立費用が安い
一般的に、合同会社の設立費用は株式会社の設立に比べて15万円ほど安く、合同会社のほうがより手頃に会社を設立することが出来ます。
合同会社のメリット(2):株式会社と違い、決算公告義務はなく手間やコストを抑えやすい
決算公告は、会社が事業年度の終了後に作成した貸借対照表を株主総会で承認した後、官報や日韓新聞などに掲載する手続きです。通常、株式会社は決算公告をして株式会社の財務状況を公表する義務があります。一方で、合同会社ではこの手続きは必要ありません。
SoVa税理士ガイド編集部
合同会社を設立するメリットについては以下の記事でも詳しく解説しています。合同会社の設立を検討してる方は、ぜひ以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
参考記事:合同会社を設立するメリットとは?デメリットや株式会社との違いも解説
合同会社のメリット(3):株式会社と違い、出資者の利益分配や意思決定の自由度が高い
合同会社は、通常全ての社員が出資者かつ経営を担当するため、所有と経営が一致しています。このため、合同会社では業務の円滑な遂行を目指し、定款自治が採用されています。定款自治とは、定款による自主的な経営が可能であり、定款の作成や変更によって、合同会社の場合、事業のニーズに合わせた柔軟な経営が可能になります。
一方で、株式会社は所有と経営が通常分離されているため、合同会社と違い、スムーズな意思決定が難しい場合があります。また、合同会社は特定の決定に基づいて、出資比率に関係なく出資者のノウハウなどに応じて、柔軟な利益配分が可能です。
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合同会社のデメリット
合同会社のデメリット(1):株式会社と違い、知名度が低い
合同会社は2006年に導入された制度であり、株式会社と違い、比較的新しい会社形態です。合同会社において、代表者の肩書は通常「代表社員」となりますが、この呼称はまだ広く認知されていません。それ故、株式会社における「代表取締役」という一般的な肩書きが合同会社では使用できないこともあります。
合同会社のデメリット(2):株式会社と違い、出資者の人間関係が経営に影響する
株式会社と違い、「利益の配分を自由に決められる」ということは、一方で誰かが不満を抱くような配分になる可能性も考えられます。さらに、原則として、出資金額にかかわらず全ての出資者には同等の議決権があるため、出資者間での関係が悪化したり、対立が解消できなくなると、合同会社の経営に支障をきたすリスクがあります。
このようなリスクに対処するには、良好な人間関係を維持するための努力が不可欠です。また、場合によっては、議決権や利益の分配に関するルールを定款に明記することも必要です。
合同会社のデメリット(3):株式会社と違い、上場させられない
株式会社は株式市場に上場し、事業を拡大させることが可能ですが、合同会社は上場することができません。将来的に上場を検討している場合は、株式会社を選択することが望ましいでしょう。
合同会社のデメリットに関するおすすめ記事:合同会社と株式会社はどっちがいい?違いを知って、失敗しない法人格選びをしよう
株式会社と合同会社のどちらがいい?会社形態選びのポイント
ここまで、株式会社と合同会社の特性や違いについて詳しく説明してきました。最後に、自身に最適な会社形態を選択するためのポイントを解説します。それぞれのポイントについての比較表は以下の通りです。
比較軸 | 株式会社 | 合同会社 |
事業規模 | 中~大規模にしたい | 小~中規模にしたい |
事業種別 | 商材が主体となる事業を行いたい | 人が主体となる事業を行いたい |
株式上場 | 上場させたい | 上場させるつもりがない |
資金調達 | 多額の資金調達が必要 | 多額の資金調達は不要 |
予算 | 多少の予算は許容できる | とにかく低予算で法人格が欲しい |
顧客 | 法人(BtoB)中心 | 個人(BtoC)中心 |
自分が目指す事業の方向性によって、株式会社と合同会社どちらの会社形態が適しているかは違います。株式会社が適しているケースと合同会社が適しているケースについて、具体的な内容を以下で説明していきます。
株式会社がおすすめの場合
株式会社を設立するのが特に適している場合は、以下のようなケースがあります。
- 株式市場への上場を目指している
- 大規模な資金調達を必要としている
- 主な顧客は法人向けのBtoBビジネスである
- 「代表取締役社長」という肩書きを得たい
「将来的に上場を目指す」、「事業の中心が法人向けのBtoBビジネスである」という場合は、株式会社が最適です。
また、「数億円から数十億円の大規模な資金を研究開発や広告宣伝に投資したい」という場合も、投資会社やベンチャーキャピタルからの資金調達を目指すためには、株式会社が適しています。
「代表取締役の肩書きを手に入れたい」という願望がある場合は、合同会社では「代表社員」としてしか名乗れないため、株式会社を選ぶ方が適切です。
合同会社がおすすめの場合
一方、合同会社を設立するのが特に適している場合は、以下のようなケースがあります。
- 大規模な事業拡大を計画していない
- 個人事業主で、節税のために法人設立を検討中
- 許認可や入札などの手続き上の理由で法人格が必要な場合
- 役員間の関係を対等に保ちたい場合
- 個人顧客を対象とするBtoCビジネスを主体とする
- デザイナーやコンサルタントなど、無形の技術やノウハウが中心の事業を展開する
「自由な経営を行いたい」「将来的には家族経営を続けたい」という場合は、合同会社が最適です。同様に、「節税」「許認可が必要」「法人格が欲しい」といった目的であれば、コストが低くて設立しやすい合同会社を選ぶことが合理的です。
また、「役員同士を対等にしたい」というニーズも、合同会社が適しています。たとえば、「地域住民での町おこしプロジェクト」や「業界内の企業が協力して共同で事業を進めたい」といった場合が該当します。
その他、「主要顧客が法人ではない場合」や「専門知識やスキルを提供することで顧客を獲得できる場合」も、合同会社がおすすめです。顧客が会社形態に拘りにくく、柔軟に取引ができるためです。
株式会社と合同会社の選び方に関するおすすめ記事
株式会社と合同会社は組織変更することも可能
ここまで株式会社と合同会社の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて解説しましたが、自分に合った会社形態を選ぶことはできそうでしょうか?現在の状況と将来どうなりたいかを踏まえて、株式会社か合同会社の設立を検討することをおすすめします。
株式会社や合同会社といった会社形態に関わらず、これから会社設立を行う予定の方に知っておいてもらいたいのは「組織変更することも可能」という点です。適切な手続きや書類の提出を行うことで、「株式会社から合同会社」・「合同会社から株式会社」といった組織変更を行うことが可能です。
株式会社と合同会社それぞれで必要な組織変更の手続きについては、以下の記事で解説しているので会社の組織変更について事前に知っておきたい方は、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
合わせて読みたい「株式会社から合同会社への組織変更」に関するおすすめ記事
株式会社から合同会社の組織変更とは?メリット・デメリットについて解説
SoVa税理士お探しガイド編集部
「合同会社から株式会社への組織変更」については、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:合同会社の作り方とは?合同会社から株式会社への組織変更についても解説
まとめ
株式会社と合同会社は、所有と経営の関係に大きな違いがあります。それぞれが持つメリットとデメリットは、会社の規模や事業内容、将来の目標によっても違います。
会社設立の際には、通常、株式会社か合同会社かを選択することになります。両者の特性や違いを理解し、事業内容や目標に最適な形態を選択しましょう。
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