会社設立する際に知っておきたい定款の書き方について詳しく解説!
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公開日:2024年8月
更新日:2024年8月7日
会社設立に必要な定款とはどういうもの?
定款とは、会社や社団法人の組織や運営に関する基本的なルールを定めた文書です。定款には、会社設立にあたって必要な会社の商号や目的、本店所在地などの基本事項、役員の人数や任期などの組織に関する事項、株主総会や決算期などの運営に関する事項が記載されます。
SoVa税理士ガイド編集部
会社設立のためには、発起人が定款を作成し、全員がこれに署名または記名押印をした上で、公証人による定款の認証を受ける必要があります。
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会社設立の手続きのひとつである定款認証とは、公証人が定款が正当な手続きで作成されたことを証明することを指します。株式会社の場合、所有者(株主)と経営者(取締役)が異なるため、定款内容に関するトラブルを防ぐために、公証人の認証を受けることが法律で義務付けられています。
一方、持株会社(合同会社、合資会社、合名会社)の場合は、定款の認証は不要です。これらの会社設立では所有者と経営者が同一であるため、定款内容に関するトラブルのリスクが少ないからです。
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会社設立時に知っておきたい定款の書き方と記載事項
会社設立時に必要な定款の記載項目の書き方
【定款の書き方】絶対的記載事項のポイント
絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項です。これに漏れがあったり、違法な事業目的が含まれていたりすると、定款は無効となるため書き方には注意が必要です。
以下の項目が株式会社の定款における絶対的記載事項です:
- 商号
- 目的
- 本店所在地
- 設立に際して出資される財産の価額または最低額
- 発起人の氏名または名称および住所
- 発行可能な株式総数
商号
商号は会社の名前のことで、「株式会社◯◯」または「◯◯株式会社」と表記されます。商号を決める際は、同一住所に同じ名前の会社が存在しないか確認が必要です。また、特定の団体や有名企業を連想させる名前や、不正競争防止法に抵触するような書き方は避けましょう。他社が商標登録している名前も避けるべきです。会社設立の際には、前もって確認しておきましょう。
商号の確認には法務省の「オンライン登記情報検索サービス」や国税庁の「法人番号公表サイト」、商標登録の確認には「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」が利用できます。
目的
事業目的は会社設立にあたって事業内容を明示するもので、書き方のポイントとしては現在行っている事業だけでなく、会社設立後将来的に予定している事業も含めて記載しておくと良いでしょう。また、「前各号に附帯又は関連する一切の事業」と付記しておくことで、会社設立後の事業拡大に備えられます。事業目的の変更や追加は定款や登記の変更手続きが必要となり、登録免許税もかかります。記載する目的は営利性を満たす必要があり、許認可が必要な業種の場合は定款の目的と申請内容が一致していることを確認しましょう。
会社設立にあたって事業目的の記載数に制限はありませんが、多すぎると取引先や金融機関からの信頼を損なう可能性があるため、10個程度が定款の書き方のコツです。
気をつけておきたい注意点
また、「金融業」「遊興娯楽事業」「風俗営業業種」などの目的は、融資を受けにくくなる可能性があるので、書き方には注意が必要です。
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会社設立に必要な定款の記載事項をわかりやすく解説!
本店所在地
本店所在地は会社の住所のことで、定款への書き方は最小行政区画(区、市、町、村)までの記載で構いません。同一区画内での移転であれば、会社設立後であっても定款や登記の変更が不要となります。ただし、自宅やレンタルオフィス、バーチャルオフィスを本店所在地とする場合は、同一住所に同じ商号がないことを確認してください。
設立に際して出資される財産の価額または最低額
会社法上、資本金1円でも会社設立は可能ですが、あまりに少ない書き方だと信用度が低下する可能性があります。一般的には、初期費用と半年分の運転資金を資本金として用意すると良いでしょう。会社設立時の金額の書き方に迷った場合は、税理士に相談することをおすすめします。
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発起人の氏名または名称および住所
会社設立にあたって発起人が複数いる場合は、全員の氏名と住所を記載します。発起人は定款の作成や資本金の出資を行う人で、会社設立後は株主となり会社の意思決定に関わります。
発行可能な株式総数
発行可能な株式総数は、会社が新たに発行できる株式の上限を示します。将来の増資や株式分割を考慮して、会社設立時の発行株式数よりも多めに設定しておくのが定款の書き方のコツです。この数を超えて株式を発行する場合は、定款と登記の変更が必要です。
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会社設立する時の「定款の書き方」
【定款の書き方】相対的記載事項のポイント
相対的記載事項とは、定款に記載しなければその効力が発生しない事項のことを指します。これらは社内で決定しただけでは効力を持たないため、書き方のコツを押さえて必ず定款に記載する必要があります。
以下は株式会社における相対的記載事項の具体例です。これらは記載しなくても定款自体は無効になりませんが、該当する事項があれば会社設立時に記載しておくことが望ましいです。
- 取締役会や監査役などの機関設計
- 株式の譲渡制限に関する規定
- 変態設立事項
- 役員の任期の延長
取締役会を設置する場合
取締役会を設置する場合は、定款にその旨を記載する必要があります。特に非公開会社(株式譲渡制限会社)では、取締役会の設置は任意ですが、設置する場合には最低でも取締役3名と監査役1名を置くことが求められます。
株式の譲渡制限の規定
相対的記載事項として、株式の譲渡制限に関する規定を設けることが推奨されます。会社設立後に株主が頻繁に変わることを防ぎ、安定した会社運営を確保するために「株式の譲渡には株主総会の承認が必要」といった内容を定款に記載するのが定款の書き方のコツです。これにより、経営に無関係な人が株主になるのを防ぐことができます。
変態設立事項
変態設立事項とは、金銭以外の現物出資や特定の財産を譲り受ける財産引受のことを指します。これを定款に記載する場合、原則として検査役の調査が必要です。ただし、記載された価額の総額が500万円を超えない場合は、現物出資や財産引受について検査役の調査は不要です。
役員の任期の延長
会社法では取締役の任期は2年、監査役は4年とされていますが、非公開会社の場合は定款に記載することで任期を最長10年まで延長することができます。
これらの事項については、必要に応じて定款に正確に記載し、法的な効力を確保するようにすることが書き方のコツです。
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定款の書き方は?記載事項ごとの書き方のポイントや注意点も解説
【定款の書き方】任意的記載事項のポイント
任意的記載事項とは、定款に記載しなくても社内規定などで定めることができる事項です。法律や公序良俗に反しない限り、会社が任意で決定した事項を定款に記載することができます。ただし、定款に記載した事項を変更する際には定款変更の手続きが必要です。
株式会社の任意的記載事項には、以下の項目が含まれます。
- 事業年度
- 株主総会の議長
- 定時株主総会の招集
事業年度
事業年度は任意的記載事項ですが、株主への利益配当の時期を明確にするために、会社設立時に定款に記載することが一般的です。事業年度とは会社が決算書を作成するための期間であり、最終日が決算日となります。事業年度を設定するには、決算月を決める必要があります。1年を超えない範囲であれば、決算月は自由に設定できます。
株主総会の議長
株主総会の議長を毎回選任することもできますが、会社設立時に議長を定款に記載しておくと、選任の手間を省き、スムーズに運営できます。通常、代表取締役が株主総会の議長を務めます。
定時株主総会の招集
取締役が複数いる場合には、「株主総会は、法令に特段の定めがある場合を除き、代表取締役が招集する」などと定款に記載しておくのも定款の書き方のコツです。株式会社は、決算後一定の期間内に定時株主総会を開催する必要があります。取締役会を設置していない会社では、取締役が株主総会の日時や場所を決定します。
これらの任意的記載事項は、会社設立時に定款に記載しておくことで運営がより円滑になります。尚、記載内容の変更には定款変更の手続きが必要になるので、書き方のコツを押さえて、会社設立後になるべく定款変更がないようにしましょう。
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合同会社における株式会社の定款との書き方の違い
会社設立に必要な定款は、合同会社の定款と株式会社の定款とでは書き方が異なる部分があります。
株式会社では出資者(株主)と経営者が分離されていますが、合同会社では出資者(社員)と経営者が同一です。この特徴により、組織構成や利益配分を自由に定めることができるため、合同会社の定款は株式会社よりも作成が容易です。
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株式会社と合同会社の違いは?メリット・デメリットと選び方を解説
以下に、合同会社の定款と株式会社の定款の書き方の違いを示します。
合同会社における定款の特徴
- 社員(出資者)の情報を記載する必要がある
- 社員が有限責任社員である旨を記載する必要がある
- 社員の出資の目的とその価額を記載する必要がある
- 株主構成や株式の譲渡制限、発行可能株式総数の記載が不要
- 機関設計の記載内容が異なる
社員(出資者)の情報の書き方
合同会社の定款には、社員(出資者)の氏名および住所を記載する必要があります。社員が複数いる場合には、全員分の氏名と住所を記載します。これは、株式会社の定款で発起人の氏名および住所を記載するのと同様です。
社員が有限責任社員である旨
合同会社では、社員全員が会社の債務に対して出資額の範囲で責任を負う「有限責任社員」であることを定款に明記する必要があります。これも、株式会社との大きな書き方の違いです。
社員の出資の目的とその価額
合同会社の定款には、社員の出資の目的とその価額を記載する必要があります。金銭で出資する場合には金額を、現物で出資する場合にはその価格または評価基準額を記載します。これは、株式会社の定款で会社設立時の出資財産の価額や最低額を記載する必要があるのに対して書き方が異なる点です。
株主構成や株式の譲渡制限などの記載が不要
合同会社の定款には、株主構成や株式の譲渡制限、発行可能株式総数の記載が不要です。合同会社には株式の概念が存在しないため、これらの記載は必要がないのも株式会社の定款の書き方との違いです。
機関設計の記載内容の書き方
合同会社の定款では、取締役会や監査役などに関する記載は不要です。合同会社では、すべての社員が会社の代表権と業務執行権を持ち、取締役や監査役といった役職は存在しません。ただし、複数の社員がいる場合には、業務執行権を持つ「業務執行社員」や代表権を行使できる「代表社員」を定款に記載することができます。業務執行社員の中から代表社員を選出する場合は、定款にその旨を記載します。定款に業務執行社員と社員の記載がなければ、すべての社員が業務執行社員となります。
このように、合同会社の定款は株式会社の定款の書き方とは異なる特徴を持ちますが、書き方の違いを押さえて適切に記載することで会社設立後、スムーズな運営が可能となります。
会社設立する際に知っておきたい定款の書き方に関するおすすめ記事:定款とは?会社設立時に必要な定款の書き方・作成方法
定款の書き方における注意点
会社設立にあたって、定款を作成する際には以下項目の書き方に注意しましょう。
定款の書き方における注意点①:住所の正確な記載
発起人の住所の書き方は、ハイフンなどを使用せずに正確に記載する必要があります。
- 正: 東京都〇〇区〇〇1丁目1番地1号
- 誤: 東京都〇〇区〇〇1-1-1
また、発起人の氏名や住所は、印鑑登録証明書と一致していることを確認しましょう。
定款の書き方における注意点②:「または」や「および」の使い方
会社設立時の現物出資は発起人のみに限られ、定款に記載しないと効力が認められません(会社法第28条)。例えば、公告方法は明確かつ断言する必要があり、「電子公告または〇〇新聞」という表記は認められません。
「AおよびB」という表現は、AもBも実行する必要があるため、確約がなければ使用できないので、書き方には注意が必要です。公告方法を例にとると、「電子公告および〇〇新聞」と記載した場合、すべての方法で公告しなければなりません。
定款の書き方における注意点③:事業内容の明確な記載
会社設立時に定款に記載する事業内容は、その会社がどのような業務を行っているかを示すものです。会社設立の登記をすると登記簿謄本に記載され、誰でも閲覧可能になります。取引先が確認する場合もあるため、事業内容は誰が見てもわかりやすい書き方にすることが重要です。
定款の書き方における注意点④:定款作成の費用確認
会社設立時に必要な定款作成には、「定款認証手数料」「収入印紙代」「定款の謄本代」などの費用がかかります。会社の規模や形態によって異なりますが、会社設立にあたって登記までを考えると、最低でも20〜30万円程度は必要です。司法書士などに依頼する場合は、さらに費用がかかります。資金繰りのためにも、定款作成にかかる費用を事前に確認しておきましょう。
定款の書き方における注意点⑤:必要な許認可や届出の確認
会社設立に際しては、定款作成や設立登記以外にも、多くの手続きが必要です。例えば、税務署への設立届や、社会保険の加入手続きなどがあります。また、業種によっては営業許可などの許認可が必要な場合もあります。会社設立後にスムーズに開業するためにも、必要な許認可や届出を事前に確認しておきましょう。
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定款の作り方を簡単に解説!無料テンプレ30種類以上も紹介
定款の作成を手軽に行う方法
会社設立に必要な定款作成を簡単に行いたい場合には、クラウドサービスを利用するのもおすすめです。
最近では、書き方の指示に従って必要事項を入力するだけで、定款などの会社設立に必要な書類を自動生成してくれる無料のクラウドサービスも多く提供されています。各官公庁への提出方法もガイドされるため、書き方に関する事前知識は不要です。さらに、パソコンやスマートフォンからでも書類作成が可能です。ただし、定款認証手数料や登録免許税などの行政機関への支払いは別途必要です。
まとめ
定款は会社設立時に必須の書類です。記載すべき事項を理解し、基本的な書き方を身につけることが重要です。
株式会社や合同会社など、設立形態によって必要な手続きが異なり、それによって手間や費用、書き方も変わってきます。事前にこれらの違いを確認してから作業を進めることが大切です。
適切な定款を準備しておけば、会社設立後に問題が発生した際にもその定款に基づいて対応することができます。後で変更が必要にならないように、内容や書き方に十分注意して作成しましょう。
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