合同会社は「やめとけ」と言われる理由は?デメリットになる場合を解説
本記事では、合同会社は「やめとけ」と言われる理由や合同会社として会社を設立するデメリットについても解説していきます。もちろん、合同会社は悪いものではなく、自分の状況や今後の方向性を見据えたうえで、合同会社として設立することはおすすめの選択肢の1つです。合同会社として設立することを悩まれている方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
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目次
合同会社は「やめとけ」と言われる理由
合同会社はやめとけと言われるとつい不安になりますよね。今回はなぜ合同会社はやめとけと言われやすいのかについて、主な理由を5つご紹介します。
合同会社はやめとけと言われる理由①:株式会社よりも知名度が低いから
合同会社は、会社法の改正によって新たに誕生した会社形態です。歴史が浅く、設立された数も少ないため、株式会社と比べると認知度が低いです。合同会社はやめとけと言われる主な理由は、この知名度の低さに起因しています。
しかし、実際には有名企業の中にも「実は合同会社だった」という例も増えています。今後、合同会社の数が増えることで、合同会社に対するネガティブなイメージも次第に薄れていくと予想されますが、現時点ではまだ「合同会社はやめとけ」という声が多いのが現状です。
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合同会社はやめとけと言われる理由②:第3者による資金調達ができないから
合同会社はやめとけと言われる理由の一つに、株式会社のように株式を発行して資金を調達することができない点があります。合同会社には株式が存在しないため、株式会社のような大規模な資金調達は不可能です。
特に、会社を設立する前や設立直後の信用がない状態では、資金が必要でもメガバンクからの融資は非常に難しいです。このような資金面での不安は社会的信用度の低さにつながり、その結果「合同会社はやめとけ」と言われてしまいます。
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SoVa税理士ガイド編集部
合同会社の資金調達方法としては、国や自治体の補助金や助成金の活用、融資が中心となります。しかし、これだけでは十分な資金を確保できないことも多く、やめとけという意見が出るのも無理はありません。
おすすめ参考記事:合同会社で資金調達はできる!その手段7つとケース別調達方法を解説
合同会社はやめとけと言われる理由③:意思決定のスピード感が遅いから
合同会社はやめとけと言われる理由の一つに、出資している社員全員に議決権があることが挙げられます。物事を決定する際には多数決が必要となるため、自分一人で決められる株式会社とは異なり、合同会社では意見が割れることがあります。
特に、社員の数が偶数で多数決が半々に分かれると、重要な事項が決定できず、時間だけが無駄に過ぎてしまうケースもあります。合同会社ではこのような状況が続くと、社員同士の対立が生じる可能性もあります。
ここがポイント!
合同会社でトラブルを防ぐためには、最終的な意思決定者を決めておくなどの対策を事前に講じることが重要です。しかし、このような対策をしないと、合同会社はやめとけと言われるリスクが高まります。
おすすめの記事:合同会社の設立で節税はできる?個人事業主との税金の違いや節税以外のメリットも解説!
合同会社はやめとけと言われる理由④:ワンマン経営になる場合もあるから
合同会社は、一人の権限が強いワンマン経営になりやすいと言われています。株式会社でもそのような経営の例はありますが、合同会社は出資者自身が経営に参加する仕組みです。多くの合同会社では設立時に代表者が決定されますが、この代表者は強力な権限を持っており、他の社員に意見を聞かずに独断で決定を下したり、契約を結んだりすることがあります。このような傾向から、合同会社はやめとけと言われることがあります。
たとえば、株式会社では株主総会があり、株主が要求をすることができるため、一人の権限が強い経営が問題視された場合に改善の余地があります。しかし、合同会社では株主や株主総会が存在しないため、このような抑止力が欠けています。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
その結果、一人の権限が強い経営が続くと、合同会社はやめとけというマイナスなイメージを持たれる可能性が高まります。
合同会社はやめとけと言われる理由⑤:所有者の死亡で会社が消失する恐れがあるから
株式会社では、株主が所有者であるため、代表取締役が死亡しても会社は消滅しません。新しい代表取締役を選出することで経営を継続することができます。しかし、合同会社では出資した社員が直接所有者です。合同会社には解散の条件が定められており、全ての社員が退社した場合には合同会社は解散します。
そのため、ひとりの社員で構成された合同会社の場合、その社員が死亡すると会社の存続が困難になります。これが合同会社はやめとけと言われる理由のひとつです。複数人で出資すれば解散を回避できますが、ひとりで経営する場合は定款に持分承継の規定を設けるなどの対策が必要です。合同会社を選ぶ際には、この点をよく考慮する必要があります。
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そもそも合同会社とは?
そもそも合同会社とは、株式会社・合名会社・合資会社と並ぶ日本の会社形態の一つです。「LLC(Limited Liability Company、有限責任会社)」というアメリカの会社形態をモデルにして日本にも導入されました。
合同会社も株式会社と同様に有限責任(倒産時に出資額を限度として責任を負うこと)がありますが、合同会社の場合は会社の所有者と経営者が一致しているという違いがあります。
また、合同会社は株式会社に比べて低いコストで設立でき、経営のランニングコストも低く抑えられるため、法人化する際に合同会社を選択する人もいます。
合同会社は株式会社に比べて知名度があまり高くありませんが、最近では「グーグル合同会社」「Apple JAPAN合同会社」「アマゾンジャパン合同会社」「合同会社ユー・エス・ジェイ」といった有名企業も存在しており、知名度は徐々に上がってきています。それでも、合同会社はやめとけという意見が根強いのは事実です。
おすすめ記事:合同会社はやめとけ?デメリットになるケース徹底解説
合同会社と株式会社の違いは?
では、合同会社は株式会社のどのような違いが「合同会社はやめとけ」と言われる要因になっているのでしょうか。株式会社と合同会社との主な違いは以下の通りです。
合同会社 | 株式会社 | |
意思決定 | 総社員の同意 | 株主総会 |
所有と経営 | 原則同一 | 原則完全分離 |
出資者責任 | 間接有限責任 | 間接有限責任 |
役員の任期 | 任期なし | 最長10年 |
代表者の名称 | 代表社員 | 代表取締役 |
決算公告 | 不要 | 必要 |
定款 | 認証不要 | 認証必要 |
利益配分 | 定款で自由に規定 | 出資比率に応じる |
設立費用 | 約100,000円〜 | 約200,000円〜 |
合同会社と株式会社の違いが分からないという方も多いかと思いますが、基本的な違いは「所有と経営が分離しているかどうか」にあります。
株式会社では、出資者(株主)と経営者が異なるメンバーで構成されており、所有と経営が分離しています。一方、合同会社では、所有と経営が一致しています。
このように、出資者と経営者の関係の違いが、「合同会社はやめとけ」と言われる背景にもなっています。
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【合同会社はやめとけ】株式会社とくらべてのデメリット
合同会社はやめとけ①:社会的信用度が株式会社よりも低い
合同会社には決算公告の義務がありません。意思決定者が外部に存在せず、閉鎖的な会社形態であるため、株式会社と比べると社会的信用度が低いのが現実です。
株式会社が日本に古くから存在する会社形態であるのに対し、合同会社は2006年5月1日の会社法改正により新たに設けられたため、認知度も低いのも合同会社はやめとけと言われる理由のひとつです。
合同会社はやめとけ②:資金調達が株式会社より難しい
株式会社は株式の発行や増資によって資金調達が可能ですが、合同会社は株式による資金調達ができません。資金調達の手段としては、国や自治体からの補助金や助成金、借入(融資)が中心となるため、株式会社に比べて資金調達の方法が限定されています。
合同会社はやめとけ③:株式市場への上場ができない
株式会社は、株式市場への上場を通じてさらなる事業拡大を目指すことができますが、合同会社は上場できません。上場を目指す場合、合同会社は株式会社へ組織変更する必要があるため、やめとけと言われる理由のひとつです。
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【合同会社はやめとけ】個人事業とくらべてのデメリット
個人事業から始めてビジネスが順調に成長してくると、会社設立が視野に入ってきます。この際、お手軽に設立できる合同会社が最適だと思うかもしれません。しかし、合同会社には個人事業に比べて多くのデメリットも存在し、「合同会社はやめとけ」と言われることもあります。その点をしっかり確認し、慎重に検討してください。
合同会社はやめとけ①:設立費用がかかる
個人事業主の場合、税務署に開業届けを提出するだけで、ほぼ0円で開業できます。一方、合同会社を設立するには法人登記の手続きが必要です。
自力で全てを電子申請で行った場合でも、登録免許税として6万円が必要です。ネットの会社設立サービスを利用すれば5,000~8,000円、行政書士や司法書士などの専門家に依頼すると、手数料が5万円から10万円かかります。
ネット申請ではなく紙での申請の場合、さらに収入印紙代として4万円が必要となります。費用の総額は6万円から20万円ほどかかるため、費用面で「やめとけ」と言われるケースも多くあります。
合同会社はやめとけ②:どんぶり勘定が効かない
個人事業主の場合、自分の給料は経費として認められず、事業所得が出るとその約4割が所得税として取られます。そのため、プライベートで使ったお金を経費に計上してしまうことがよくあります。実際、多くの個人事業者がどんぶり勘定で経理を行っています。
ここがポイント!
一方、会社組織にすると、経営者には役員報酬として給与が支給されます。プライベートで使うお金は自分の給与から支出する必要があります。個人事業のやり方に慣れていると、会社組織の厳格さに戸惑うかもしれません。
おすすめ参考記事:合同会社と個人事業主の違い|それぞれの特徴・メリットとデメリットについて解説
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合同会社のやめとけ③:交際接待費に限度がある
飲食店でプライベートに食事をしつつ領収書を求める個人事業主がよく見受けられます。個人事業主は接待交際費に限度がないため、外食の際には領収書を保管し、経費として計上し事業所得を減らすことができます。
しかし、合同会社にすると接待費に限度ができ、個人事業のように自由に接待交際費を使えなくなります。これまで接待交際費を最大限に活用してきた人は、この点で合同会社はやめとけと言われる理由のひとつです。
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合同会社のやめとけ④:個人のお金と会社とのお金に明確な線引きができる
ある個人事業主が合同会社を設立し、資本金を会社の口座に入れましたが、自身の給与を株式や自動車購入に使い、手元に現金がありませんでした。所得税の申告時に個人の口座にお金がないことに気づきましたが、会社の口座から引き出すことはできません。
たとえ自分一人だけの会社でも同じです。現金がない場合、借金をしてでも捻出しなければなりません。個人事業では全て自分のお金として自由に使えますが、合同会社にすると個人のお金と会社のお金に明確な線引きが求められます。この点も合同会社はやめとけと言われる理由です。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
結局、税理士に相談し、個人で買った自動車を会社が購入した形を取り、会社の口座から個人の口座にお金を移して納税をするというケースが多いです。
おすすめ記事:合同会社のデメリットとは?個人事業、株式会社との比較やデメリットの解消法を解説
合同会社のやめとけ⑤:税理士への依頼が必須になる
個人事業では白色申告か青色申告で売上と経費を計上し、年間8,000~16,000円の費用で申告ができます。しかし、合同会社になると記帳が複雑になるため、最低でも申告書の作成を税理士に依頼しなければなりません。
申告代行の相場は10万~20万円で、記帳がさらに複雑になると毎月の顧問契約が必要となり、顧問料の相場は1万~5万円です。この点も合同会社はやめとけと言われる理由です。
合同会社のやめとけ⑥:法人住民税を必ず払う義務がある
個人事業で赤字決算の場合、所得税は0円になります。しかし、合同会社になると赤字でも法人住民税7万円を必ず支払う義務があります。この点も合同会社はやめとけと言われる理由です。
合同会社のやめとけ⑦:社会保険料を払う義務がある
合同会社になると社会保険に加入することが義務化され、厚生年金に加入できることはメリットですが、保険料の半分は会社負担になります。これが経営者にとって負担となります。この点も合同会社はやめとけと言われる理由です。
節税の観点からは、個人事業主から合同会社にするメリットもありますが、事業所得が低い段階での会社化は、周囲からやめとけと言われてしまうケースが多いです。会社化のタイミングは事業所得が1,000万から1,200万円になってからが適切とされているので、参考にしてみるといいでしょう。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
合同会社における法人課税については以下の資料も参考になるかと思います。
合同会社に向いている事業
ここまで「合同会社はやめとけ」と言われる主な理由を中心にご紹介してきましたが、それでも会社をどの形態で設立するべきか決めかねる人もいるでしょう。
その場合、事業規模や内容を基準に判断するのが賢明です。合同会社での設立が向いているとされる事業には以下の2つがあります。
1.個人事業主が法人成りする場合や、友人同士で起業する場合などの小規模な事業
2.一般消費者向けのBtoC事業
一方、以下のような事業には合同会社はやめとけとされるため、慎重に判断すべきです。
1.大規模な事業
2.BtoB事業
3.株式による資金調達が必要な事業
4.社会的な信用度が重要な事業
合同会社での設立が向いているとされる事業であれば、個人事業主や株式会社よりもメリットが大きくなる可能性もあるので、事業内容に合わせて適切な事業形態を選ぶようにしましょう。
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まとめ
合同会社は、その設立と運営の手軽さから、特に小規模事業者やスタートアップにとって魅力的な企業形態です。しかし、合同会社はやめとけという声も多く、社会的信用度の低さや資金調達の難しさなど、様々なデメリットが存在します。
合同会社を選択する際には、これらのメリットとデメリットを総合的に検討し、自身の事業目標や運営スタイルに合った形態を選ぶことが重要です。
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