役員報酬を8万円にするメリットとは?役員報酬の決め方や税金・社会保険料との関係性についても解説

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公開日:2024年8月

更新日:2024年11月1日

「開業1期目の会社の役員報酬を8万円にしたほうが良い」といったことを聞く機会があるかと思います。では、なぜ役員報酬を8万円にした方が良いのでしょうか?「役員報酬を8万円にすると節税できるから…」など、なんとなく知っている人もいるかと思います。
今回は、役員報酬を8万円にすると何故良いのか?に着目して詳しく解説していきます。

SoVa税理士お探しガイド編集部

社会保険の手続きをスポットで社労士に依頼すると社会保険の新規適用届で8万円~、社会保険の加入手続き(1人)が1万円~2万円と、高額になるのが一般的です。

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役員報酬を設定すると社会保険手続きを行う必要があり、社会保険の加入手続きの相場は1万円~2万円(1人)ほどかかります。社会保険に会社として初めて加入する場合は、10万円近くかかることもあります。

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役員報酬とは

役員報酬とは、税務上「役員」に該当する人に支払われる報酬のことです。

役員とは、従業員として日常業務を行うのではなく、経営の意思決定を担う人々を指します。

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役員報酬金額8万円ガイド編集部

社内外問わず、役員に支払われる報酬はすべて「役員報酬」として扱われ、支給頻度が少なくても役員報酬に該当します。

役員報酬を8万円にするメリットに関連するおすすめ記事

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役員報酬を8万円にするか否かの前に、役員報酬の定義についてこちらの記事も参考に確認しておきましょう。
役員報酬とは?給与との違いや金額の決まり方について解説

次に、役員報酬が対象となる役員の種類を確認しましょう。

【役員の種類】

役員報酬の対象となる役員には、以下のような職位が含まれます。

  • 取締役
  • 会計参与
  • 監査役
  • 執行役または会計監査人
  • 理事
  • 監事など法人の経営に携わる者

役員報酬を8万円に関連するポイント!

税理士_依頼_おすすめのポイント

会社法329条では、取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人が役員として規定されています。理事は、主に団体で使用される役職であり、監事は公益法人や協同組合で監督の役割を果たす役員です。

合わせて読みたい「役員報酬と給与の違い」に関するおすすめ記事

役員報酬と給与の違いとは?役員報酬の変更手続きについても解説!

役員報酬を8万円にするメリットの他に、この記事では、役員報酬と給与の違いについて解説しています。役員報酬と給与は、手続きの面や税制の面から大きく異なります。役員報酬と給与の違いについて理解しておくことで、節税にも活かせるため、正しく理解しておきましょう。

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みなし役員に注意!

みなし役員に該当する条件は、次の2つです。

1. 顧問や相談役といった役職ではないが、役員と同じように経営に深く関与していること  
2. 同族会社の従業員で、一定の株式所有割合を満たし、その会社の経営に携わっていること  

同族会社とは、株主が3人以下であり、その株主が家族や配偶者で構成されている会社を指します。また、会社の発行株式や出資金の合計が50%以上を所有している場合も同族会社とされます。こうした同族会社の従業員で経営に関わっている者は、みなし役員とされる可能性があります。

【株式所有割合の要件】

みなし役員として扱われるための株式所有割合の要件は以下の通りです。

  1. 株主グループの上位1〜3位の合計所有割合が50%を超えること。
  2. その使用人が所属する株主グループの所有割合が10%を超えること。
  3. その使用人(配偶者や、その者が所有する割合が50%を超える会社を含む)の株式所有割合が5%を超えること。

ここで「株主グループ」とは、その株主と特別な関係にある個人や法人を含むグループを指します。特に③の「5%超」の要件が該当しやすいです。

例えば、配偶者が株式を所有していなくても、その配偶者の持ち株割合がゼロであっても、合算して条件を満たす場合があります。この点が役員報酬を月額8万円に設定する際の重要なポイントです。

ただし、株式所有割合の要件を満たしていても、必ずしもみなし役員に該当するわけではありません。役員報酬を8万円に設定する際には、これらの要件をしっかりと確認することが重要です。

参考:No.5200 役員の範囲|国税庁

役員報酬を8万円にするメリットに関連するおすすめ記事

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役員報酬を8万円にする場合、そもそも配偶者に役員報酬として支給することができるのでしょうか?
みなし役員の概要は以下の記事がおすすめです。
みなし役員はどう判定する?家族経営にする時は注意しよう

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役員報酬や基本給の変更をすると、『月額変更届』という役所手続きを行うケースが多くあり、給与計算代行をしている税理士でも、5,000円~8,000円程度の別途料金(1人)がかかることがあります。

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役員報酬を8万円にするメリット

ここで役員報酬を8万円にすることによるメリットを解説していきます。役員報酬を8万円にすると、大きく4つのメリットがあります。役員報酬を8万円にすることのメリットを理解し、是非役員報酬の金額を決める際の参考にしましょう。

役員報酬を8万円にするメリットに関連するおすすめ記事

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社長の配偶者の役員報酬を8万円にしたときのメリットについてコンパクトにまとめられている以下の記事も是非参考にしてみましょう。
なぜ社長の家族の給与は月8万円(年収96万円)にすることが多いのか?その理由は5つある

役員報酬を8万円にするメリット① 所得税と住民税が0円になる

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役員報酬を8万円にするメリットの1つ目が、所得税と住民税が0円になる点です。

よく「パート収入が年間103万円以下なら配偶者の扶養に入れる」と言われますが、これは社長の配偶者の役員報酬にも同じことが言えます。

税法上、パート収入と役員報酬はどちらも給与所得として扱われ、同じルールが適用されます。このため、社長の配偶者の役員報酬を月額8万円程度に設定すれば、年間103万円以下となり、配偶者には所得税がかからず、社長も配偶者控除を受けることが可能です。

月額8万円に設定することで、年間収入が103万円以下になるため、所得税が非課税となる一方で、住民税は別途考慮する必要があります。住民税が非課税となるラインは年間100万円以下の収入です。つまり、役員報酬を8万円にすることで、所得税と住民税の負担を最小限に抑えることができます。

このため、役員報酬を8万円に設定することは、税負担の軽減を図る上で有効な手段として推奨されています。

役員報酬を8万円にするメリットに関連するおすすめ記事

税理士_依頼_おすすめの記事

配偶者の役員報酬を8万円にした場合の、税制上のメリットについて詳細は以下の記事も参考にしてみましょう。
社長の配偶者の役員報酬

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顧問税理士に記帳代行業務のみを依頼する場合、1万円~3万円程度が相場です。給与計算の代行も依頼すると4万~5万円程度になることも少なくありません。

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合わせて読みたい「合同会社の役員報酬の決め方」に関するおすすめ記事

合同会社の役員報酬の決め方とは?決め方の注意点や、役員報酬の相場についても解説!

この記事では、合同会社の役員報酬の決め方について解説しています。合同会社の役員報酬を損金算入(経費)にするためには、様々な注意点があります。合同会社の役員報酬の設定の仕方について気になる方は是非ご覧ください。

役員報酬を8万円にするメリット② 社会保険料がかからない

役員報酬を8万円にするメリットの2つ目は、社会保険料がかからない点です。

年間103万円以下であれば配偶者控除が適用されるだけでなく、社会保険の扶養にも入ることができます。扶養に入れば保険料の負担がなくなるため、会社側の負担も軽減できます。

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役員報酬を8万円にする際に気をつけておきたい注意点

税理士
        _依頼_おすすめの注意点

扶養かどうかの判断は1月から12月までの収入合計で行われるので、年の途中で決算を行い役員報酬を変更する場合は、103万円の基準に注意が必要です。

役員報酬を8万円にするメリット③ 税務調査で役員報酬額を指摘されにくい

役員報酬を8万円にするメリットの3つ目は、税務調査で役員報酬を指摘されにくい点が挙げられます。配偶者の役員報酬に限らず、役員報酬は税務調査の対象になりやすいと言われていますが、8万円のように低い金額で設定しておけば金額が少ないため、25万円や30万円で設定されている場合よりも税務調査で指摘がされにくいということが一般的には言われています。

合わせて読みたい「役員報酬の株主総会議事録の作成方法」に関するおすすめ記事

役員報酬の株主総会議事録の作成方法とは?記載例も解説!

役員報酬を8万円にしていたとしても株主総会議事録は必要になります。この記事では役員報酬を8万円にするメリットのほかに、役員報酬額を変更した際に作成が必要となる株主総会議事録の書き方について解説しています。株主総会議事録を残すことで、税務調査の際に提出を求められても、慌てることなく、役員報酬をしっかりと損金に算入することができます。

役員報酬金額8万円ガイド編集部

法人税法第34条第2項では、内国法人が役員に支給する給与のうち、「不相当に高額な部分」については損金として計上できないと定めています。この「不相当に高額かどうか」は、実質基準と形式基準の2つの観点から判断されます。

【実質基準】

実質基準では、次の4つのポイントを基に、役員報酬が適正かどうかが判断されます。

1. 役員の職務内容
2. 会社の収益状況
3. 従業員の給与との差
4. 同規模・同業他社の役員報酬との比較

これらの要素を考慮し、役員が実際にどのような業務を行っているかや、勤務実績が確認されます。特に、役員が業務を行っていないのに報酬を受け取っていないか、また、会社が赤字であるにもかかわらず報酬が過剰に高額でないかが重要な判断ポイントとなります。従業員の給与や同業他社の役員報酬と比較して、極端に高い金額でないかどうかも確認されます。

【形式基準】

形式基準では、役員報酬が株主総会などで定められた金額を超えていないかどうかがチェックされます。

役員報酬を8万円にするメリットに関連するおすすめ記事

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役員報酬を8万円にするか否かを決める際に、税務調査で指摘されない役員報酬額であるかを確認しておく必要があります。税務調査時に役員報酬でチェックされるポイントは以下の記事を参照してください。
役員報酬の相場とは?税務調査で指摘されやすいポイントや注意すべき箇所について解説!

ここで、配偶者の役員報酬を8万円にすることで、基本的には「不相当に高額」とは認識されることはないと言えます。

したがって、税務調査の観点からも役員報酬を8万円にすることは「役員報酬を8万円にするメリット」の1つと言えます。

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役員報酬を8万円にするメリット④ 配偶者控除を受けることができる

配偶者控除を受ける場合の配偶者の所得要件は、配偶者の年収(役員報酬)が103万円以下であること(給与収入のみの場合)が条件となります。

給与収入が103万円以下であれば、配偶者控除の38万円を適用することができます。

役員報酬を8万円にするメリットに関連するおすすめ記事

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役員報酬を8万円にする場合、103万円や38万円など様々な場面で金額を意識する必要があります。
こちらの記事を参考に38万円の配偶者控除についても理解しておきましょう。
配偶者控除の適用が出来る役員報酬の金額はいくらか?

【参考】給与年収が103万円を超えた場合

給与年収が103万円を超えた場合でも、控除が完全になくなるわけではなく、「配偶者特別控除」を受けることが可能です。

役員報酬を8万円にするメリットに関連するおすすめ記事

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103万円の壁や130万円の壁は、役員報酬を8万円とする理由を理解するうえで重要となるため以下の記事も参考に理解を深めましょう。
130万円の壁とは?103万円の壁との違いや超えた場合の扱い、手続きなどを解説

配偶者特別控除は、配偶者の年収に応じて控除額が変動します。配偶者の年収が103万円を超えると、配偶者特別控除の額は38万円から徐々に減少し、年収約201万円を超えると控除はなくなります。控除額は最大で38万円、最低で3万円までとなり、年収150万円以下であれば最大の38万円の配偶者特別控除を受けることができます。

つまり、役員報酬として配偶者に8万円を支給する場合、年収が103万円を超えても150万円以下であれば、38万円の配偶者特別控除を受けることが可能です。役員報酬を月額8万円に設定することで、年間収入が96万円となり、配偶者特別控除の範囲内に収まるため、38万円の控除を受けられる可能性があります。

しかし、社会保険の扶養に関しては、給与年収が130万円未満であることが要件となります。このため、役員報酬を月額8万円に設定し、年間収入が96万円であれば、社会保険の扶養にも入ることができます。

要するに、配偶者控除または配偶者特別控除で38万円の控除を受け、かつ社会保険の扶養にも入るためには、配偶者の役員報酬が月額8万円で年間収入が130万円未満である必要があります。

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まとめ

今回は社長の配偶者の役員報酬を8万円にするメリットについて解説しました。
役員報酬を8万円にすることは、所得税・住民税・社会保険料の金額に大きく影響してきます。したがって、役員報酬の金額を決める際は、まず役員報酬の金額を8万円にするのか否かを検討してみましょう。

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