法人で青色申告が取り消しになる要因とは?注意すべきポイントについて解説
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公開日:2024年8月
更新日:2024年8月15日
今回とは青色申告が取り消しになる要因と、青色申告の承認が取り消しされることによるデメリットについて解説しています。さらに、青色申告の承認が取り消しされた後の再申請手続きの概要についても解説していきます。
青色申告について理解を深め、法人の節税効果を最大化しましょう。
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青色申告とは?
そもそも青色申告とはなんでしょうか?
青色申告は、法人が正しい納税のために行う確定申告の方法の一つです。個人事業主と法人の両方が青色申告を利用できます。
個人事業主が青色申告を行う際には、1月1日から12月31日までの1年間の所得金額を計算するために、日々の収入や経費を記録した帳簿が必要です。事前の手続きを済ませ、一定の基準を満たすと、事業や不動産収入から最大65万円の特別控除が受けられます。
さらに、家族への給与を経費(青色事業専従者給与)として計上できたり、赤字を最大3年間繰り越すことができるなどのメリットがあります。
また、多くの法人では白色申告よりも青色申告の方が広く採用されています。なぜなら、青色申告は白色申告に比べて多くの税制上のメリットがあります。そのため、法人が効果的な節税を目指す場合には、青色申告が推奨されているのです。
法人の青色申告取り消し対策室
青色申告や決算申告についても詳細に解説している「法人の青色申告や決算申告ってなに?税理士に依頼するメリットまで解説!」の記事がおすすめです。
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法人が青色申告の承認を取り消しされる要因
法人や個人事業主が青色申告の承認が取り消しになる原因はいくつかあります。ここではその要因を詳しく解説していきます。青色申告の取り消し要因について理解し、法人ができるかぎり青色申告による節税メリットを享受できるようにすることが重要です。
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法人の青色申告の取り消し要因① 帳簿書類の開示を法人が拒否した場合
税務調査で帳簿書類の提示を求められたにもかかわらず、法人が提示しない場合、青色申告の承認が取り消しされる可能性があります。
法人の青色申告が取り消しになる要因に関連して気をつけておきたい注意点
法人が提示しなかった最も古い事業年度から、それ以降のすべての事業年度が青色申告の取り消しの対象となります。
法人の青色申告の取り消し要因② 所得の隠蔽
法人が所得の隠蔽を行った場合も、青色申告と取り消し要因に該当する場合があります。
当初申告した所得金額が更正され、その結果として隠ぺいや仮装による不正所得が所得金額の50%を超えた場合、青色申告者としての承認が取り消しされます。ただし、不正所得金額が500万円未満の場合は除きます。例えば、更正後の所得金額が1000万円で、そのうち不正所得金額が500万円を超える場合が該当します。
ただし、法人が過去7年間の申告で青色申告の承認取り消しを受けておらず、隠ぺいや仮装による不正所得金額が500万円未満で、今後の法人による申告が適正に行われると期待されると判断された場合場合は、青色申告の承認取り消しが見送られるケースがあります。
法人の青色申告の取り消し要因③ 欠損金額を減額更生
欠損金額の減額更正が行われ、その結果、減少した欠損金額の中で不正所得が当初申告した欠損金額の50%を超えた場合も、青色申告者としての承認が取り消しされます。例えば、当初申告で欠損金額が2000万円であったものが更正により1000万円に減少し、その減少した欠損金額のうち不正欠損金額が500万円を超える場合が該当します。
法人の青色申告の取り消し要因④ 記帳が不正確
帳簿書類の記載が不十分で、法令に基づく推計によらなければ法人の正確な所得金額を計算できない場合、青色申告者としての承認が取り消しになることがあります。これは、法人に勤務する会計の初心者が不適切な記帳をした場合に起こり得るものです。記載不備を避けるためには、事前に税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
法人に会計帳簿が適切に作成・保管されていても、その内容に虚偽が含まれている場合、法人が正しい申告と納税を行ったことにはなりません。法人売上を隠したり、架空の法人の経費を計上したりすることで、課税対象となる所得を大幅に圧縮することが可能です。
法人の青色申告取り消し対策室
税理士の選び方にはコツがいくつかあります。税理士の選び方のポイントを解説した以下の記事も参考にしながら税理士を選びましょう。
「節税に強い税理士の選び方は?選び方のポイントや必要な準備を解説!」
法人の青色申告が取り消しになる要因に関連するポイント!
飲食店の現金売上が詳しくチェックされたり、発行者や宛名が不明確な領収書が確認されたりするのです。特に、偽装や隠ぺいの規模が大きく、納税額に大きな影響を与える場合には、青色申告の承認が取り消しになることがあります。
「青色申告が取り消し処分にあわないために知っておくべき基礎知識」
法人の青色申告が取り消しになる要因に関連する参考知識
正しい納税額が分からない場合、推計課税が行われる可能性もあります。
推計課税とは、税務調査の際に税額を推定して決定する方法のことです。帳簿が不正確な法人や、税務調査に非協力的な法人に対して、税務署がこの制度を利用して課税額を決定することができます。
「推計課税はなぜ適用される?対策法を徹底解説!」
法人の青色申告の取り消し要因⑤ 2期連続で無申告または期限後申告
法人が2期連続で確定申告をしなかったり、期限後に申告を行ったりすると、青色申告の承認が取り消しになります。この結果、2年目以降の期間については青色申告ができなくなります。
ただし、この青色申告の取り消しは法人税法に基づくものであるため、法人のみに適用され、個人事業主には適用されないことに注意しましょう。
法人の青色申告取り消し対策室
詳細については国税庁のホームページ「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」で確認するようにしましょう。
法人の青色申告の取り消し要因⑥ 悪質な帳簿作成をおこなったとき
上記の青色申告が取り消しになる要因②および③に該当しない場合でも、法人の帳簿記録や申告書の提出状況などから明らかに悪質であると判断された場合、青色申告者としての承認が取り消しになります。具体的には、法人などによる二重帳簿などの非常に悪質な行為が認定された場合が「悪質」であると判断される可能性があります。
【二重帳簿とは?】
法人の財務諸表の表示形式は目的に応じて変更しても問題ありませんが、複数の会計帳簿を用意することは「二重帳簿」として厳しく禁止されています。二重帳簿とは、法人が一つの事実に対して複数の帳簿を作成することを指します。
二重帳簿が禁止されている理由は、法人が異なる目的で帳簿を使い分けることによって信頼性が損なわれるからです。法人は、株主や投資家、金融機関には利益を大きく見せたい一方、税務署には利益を抑えて納税額を少なくしたいという気持ちがあるため、二重帳簿を作成したくなる場合があります。
もし二重帳簿が禁止されていなければ、法人などは株主向けと税務署向けで異なる内容の決算書を作成することが可能になります。これを認めると、財務諸表や税申告書類、そして会計そのものの信頼性が大きく失われるため、二重帳簿は単一性の原則に基づき厳しく禁止されています。
ただし、財務諸表と税申告書類で利益額が異なっていても、元の記録が同じであれば問題ありません。この場合、二重帳簿には該当しません。
法人の青色申告が取り消しになる要因に関連するおすすめ記事
単一性の原則については以下の記事が理解するのにおすすめです。
「単一性の原則とは?形式多元や二重帳簿についてもわかりやすく解説!」
法人青色申告の取り消し要因⑦ 電子帳簿保存法のデータ保存要件に反する場合
個人事業主や法人が青色申告の承認を取り消しされる場合の一つに、電子帳簿保存法の要件を守っていないことが挙げられます。
電子帳簿保存法は、帳簿や書類を電子的に保存する際の要件を定めた法律です。たとえば、請求書や領収書などを電子取引でやり取りした場合、そのデータを保存することが義務付けられています。ただし、電子データでの帳簿保存(電子帳簿等保存)や、紙の帳簿をスキャンして保存すること(スキャナ保存)は義務ではありません。
しかし、電子帳簿保存法の要件を満たさなかったからといって、すぐに青色申告の承認が取り消しされるわけではありません。印刷した書類の保存や管理状況を確認し、今後の改善の可能性などを総合的に判断した上で、対応が検討されます。
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法人が青色申告をするメリットとは?青色申告の手続きの仕方も解説!
法人青色申告の取り消し要因⑧ 管財中の破産法人
確定申告や予納申告を怠ると、青色申告の承認が取り消されることがあります。特に、破産手続き中の法人は確定申告を忘れがちで、その結果、承認が取り消されやすくなります。破産法人にとって最も大きな不利益は、「欠損金の繰戻還付を受けられなくなる」という点ですので、十分に注意が必要です。
法人の青色申告取り消し対策室
取り消し要因のまとまった概要に関しては「青色申告が取り消しとなる場合」を参考にしましょう。
青色申告を取り消しされた場合の影響は?
法人の青色申告が取り消しになったときの影響① 赤字の繰り越しができなくなる
法人が青色申告を行うと、今年の法人の赤字を翌年以降の所得から差し引くことができる制度があります。個人事業主の場合、赤字を最長3年間繰り越すことができ、法人の場合は最長9年間繰り越すことができます。一方、白色申告では、法人が今年赤字でも翌年に黒字が出ると、その年の税金を支払う必要があります。しかし、青色申告を利用すれば、翌年の黒字から今年の赤字を差し引くことができるため、翌年度の税金を軽減できます。この制度を「純損失の繰越控除」と呼びます。
例えば、1年目に300万円の赤字があり、2年目から4年目までそれぞれ100万円の黒字が出た場合、1年目の所得は-300万円、2年目は-200万円、3年目は-100万円、4年目は0円となります。これにより、どの年も所得税はかからなくなります。
特に法人より個人事業主は、開業直後に黒字を出すのが難しいことが多いです。青色申告を利用すれば、事業が軌道に乗り黒字が出た際に、初期の赤字と相殺できるため、法人の節税メリットを得ることができます。
法人の青色申告が取り消しになる要因に関連するおすすめ記事
青色申告のメリットとデメリットをまとめた「青色申告と白色申告の違いとは?メリットとデメリットをわかりやすく解説」がおすすめです。
法人の青色申告が取り消しになったときの影響② 少額減価償却資産の特例を受けられない
法人の青色申告が取り消しになったときのデメリットとして、少額減価償却資産の特例を受けられない点があります。
少額減価償却資産の特例とは、「取得金額が30万円未満の減価償却資産については、購入した年に全額を経費として計上できる」という制度です。
通常、法人などが所有する自動車や建物などの固定資産は時間とともに価値が下がり、これを「減価償却資産」として扱います。減価償却資産は、取得金額を複数年にわたって分割し、法人の経費として計上します。
少額減価償却資産の特例は、青色申告を利用する中小企業者や個人事業主が対象です。この特例は所得税および法人税に適用されます。
対象となるのは、2006年4月1日から2024年3月31日までに購入した減価償却資産です。ただし、経費として計上できるのは年間で「300万円まで」と定められているため、注意が必要です。
法人の青色申告取り消し対策室
詳しくは中小企業庁のホームページ「少額減価償却資産の特例」を参照しましょう。
法人で取り消しされた青色申告は再申請できる?
青色申告の承認を法人が取り消しされた場合でも、二度と青色申告ができないというわけではありません。青色申告の再申請の手続きをしっかりと行うことで、再度青色申告の承認が認められることもあります。ここでは、青色申告も再申請について詳しく解説していきます。
法人が青色申告の承認が取り消しになった場合でも、再び青色申告の承認を受けることが可能です。
例えば、法人が2期連続で期限後申告を行った場合、本店所在地の税務署から「青色申告の承認の取消通知書」が届きますが、1期だけ遅れた場合は青色申告の承認が取り消しになるわけではありません。つまり、2期連続で遅れると、青色申告の承認が取り消しになります。
この場合、1期目の申告は青色申告のまま維持されますが、2期目の申告は青色申告が取り消しになり、白色申告になります。
再び青色申告を希望する場合は、「青色申告の承認申請書」を提出して再承認を受ける必要があります。ただし、青色申告の取り消し通知から1年間は申請書の再提出ができないため注意が必要です。
例えば、3月決算の法人が平成30年3月期と平成31年3月期に連続で期限後申告を行い、令和2年1月に「青色申告の承認取り消し通知書」を受け取った場合、令和3年3月に再提出し、令和4年3月期から青色申告の再承認を受けることができます。このため、少なくとも3期は白色申告となり、青色申告の特典を受けることができません。
法人の青色申告が取り消しになる要因に関するおすすめ記事
青色申告の承認が取り消しされた後の再申請手続きについては以下の記事がおすすめです。
「青色申告が取消された場合の再申請の方法とは!?」
青色申告の承認取り消しと再申請、そして青色申告の再承認の流れをまとめると例えば以下のような流れになります。
決算期 | 申告状況 | 承認 |
平成30年3月期 | 期限後申告 | 青色申告 |
平成31年3月期 | 期限後申告 | 白色申告 |
令和02年3月期 | 期限内申告 | 白色申告、取消通知書 |
令和03年3月期 | 期限内申告 | 白色申告、承認申請書再提出 |
令和04年3月期 | 期限内申告 | 青色申告 |
まとめ
今回は主に法人が青色申告の承認を取り消しになる原因と、法人が青色申告の取り消しされることによる影響について解説しました。前述した通り、法人で青色申告を一度取り消しになったとしても、再度青色申告の申請をすれば再び青色申告の承認を得る可能性があります。しかし、できる限り
青色申告の取り消し要因となる事象を避けることに努め、健全な法人経営ができるように心がけましょう。
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