一人社長でも会社設立時には社会保険は必要?手続きや必要書類を解説!
一人社長で会社を設立する際、社会保険の加入が必要かどうか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか?一人社長の場合でも、社会保険の加入は法律で義務付けられており、会社設立時には社会保険の手続きを行うことが求められます。従業員がいないケースでも、一人社長が社会保険に加入しなければならない理由や、必要な手続きについてしっかりと理解しておくことが大切です。
本記事では、一人社長の会社設立時に社会保険がなぜ必要なのか、具体的な手続きの流れと必要書類について詳しく解説します。一人社長が社会保険に加入することで得られるメリットや注意点についても紹介しているので、社会保険手続きを行う際の参考にしてください。
一人社長が社会保険に加入することで、事業運営がスムーズになり、会社としての信用を高めることにも繋がります。社会保険の加入義務を理解し、正しい手続きを行うことで、一人社長として会社を安定的に運営するための基盤を築きましょう。この記事を参考にして、一人社長でもしっかりと社会保険手続きを行い、安心して会社経営を始めてください!社会保険の手続きは一人社長にとっても欠かせない重要なステップですので、必要な情報をしっかり確認し、適切に対応しましょう。
目次
一人社長でも会社設立時に社会保険への加入は必要?
そもそも社会保険とは、厚生年金、健康保険、介護保険、労災保険、雇用保険などの公的保険全般を指す総称です。特に「健康保険と厚生年金」のみを指して狭義に用いられることもあります。
一人社長であっても会社設立後、健康保険法第3条や厚生年金保険法第9条などの法令に基づいて、以下の社会保険への加入が義務付けられています。
- 健康保険
- 厚生年金
また、労災保険や雇用保険については、従業員が一人でもいれば加入が義務付けられているため、会社設立時の状況によって加入が必要な社会保険の範囲が変わります。
一人社長で会社設立をして、社会保険への未加入が発覚した場合、最悪のケースでは過去2年分の社会保険料(延滞金を含む)を徴収されたり、罰則を受ける可能性があります。
ここがポイント!
それぞれの社会保険制度の仕組みや実際にかかるコストを理解し、会社設立時の社会保険加入漏れや未加入によるリスクを防ぎましょう。
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一人社長で会社設立するメリット
一人社長で従業員を雇わない場合でも、会社設立するには費用と手間がかかるというデメリットがあります。しかし、会社設立にはそれを上回るメリットもあります。
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一人社長で会社設立するメリット①:節税の可能性が広がる
個人事業主も青色申告事業者であれば様々な節税対策ができます。たとえば、3年間の損失繰越がありますし、経費の計上なども可能です。しかし、一人社長で会社設立した場合、損失繰越は最大9年まで可能です。また、規定をしっかり作ることで、出張旅費や社宅などの節税対策が可能になります。
SoVa税理士ガイド編集部
会社設立をして年間売上が800万円を超えると、この節税効果はさらに大きくなり、企業規模が大きくなるにつれて節税効果も増していきます。
一人社長で会社設立するメリット②:融資を受けやすくなる
個人事業主の多くは、事業用の口座と個人の口座を分けていません。しかし、一人社長で会社設立をした場合は、明確に区別する必要があります。これにより、事業資金が明確になり、一人社長として会社設立をしているほうが個人事業主よりも、金融機関から融資をうけやすくなります。
一人社長で会社設立するメリット③:責任の範囲が明確になる
個人事業主は、事業で発生した損失の全責任を負わなければなりません。しかし、一人社長で会社設立をした場合、事業で発生した損失は会社の責任範囲に限定されます。会社の責任は会社設立時に積んだ「資本金」までとなります。
一人社長で会社設立するメリット④:信用度が向上する
パートナー企業から見ると、事業とプライベートの境界が曖昧な個人事業主よりも、会社設立をした一人社長の方が信頼性が高く感じられます。信用度が上がることで、「融資を受けやすくなる」「仕事の依頼を受けやすくなる」といったプラスの循環が生まれます。
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一人社長で会社設立する際の注意点
一人社長で会社設立する際の注意点①:社会保険料負担
一人会社を会社設立すると、社会保険料が高くなることがあります。一人社長で会社設立すると、健康保険法や厚生年金法が適用され、社会保険に加入する義務が発生するためです。もし一人社長が役員報酬を受け取らない、または非常に低い報酬を設定している場合は、国民健康保険や国民年金に引き続き加入することが可能です。
SoVa税理士ガイド編集部
しかし、それ以外の場合は国民健康保険や国民年金から脱退し、新たな社会保険に加入する必要があります。これにより、会社と個人の両方が支払う社会保険料の総額が増加します。
一人社長で会社設立する際の注意点②:国民健康保険から協会けんぽへの移行
一人社長で会社設立をする場合、健康保険については、国民健康保険から全国健康保険協会(通称協会けんぽ)に加入するのが一般的です。協会けんぽに加入すると、個人の負担額は一見すると減少しますが、会社も保険料を負担するため、結果的には一人社長で会社設立をしたほうが国民健康保険の保険料よりも高額になることが多いです。国民健康保険の保険料は市区町村によって異なりますが、例えば年収500万円(月収約42万円)の場合、保険料は約30,000円です。一方、協会けんぽの場合、会社と個人が負担する全額は約41,000円になります。
一人社長で会社設立する際の注意点③:国民年金から厚生年金への移行
一人社長で会社設立をする場合、年金に関しては、国民年金を脱退し、厚生年金に加入することになります。国民年金の保険料は2021年度の場合で約16,000円ですが、厚生年金の保険料は月収に応じて変動します。たとえば、月収約42万円のケースでは、会社と個人が負担する全額は約75,000円です。
SoVa税理士お探しガイド編集部
ただし、厚生年金の保険料が高くなる分、将来受け取れる年金額も増えるため、一人社長で会社設立をしたほうが長期的には有利になることがあります。
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会社設立時は一人社長でも社会保険加入が必須!手続きの流れ・必要書類を解説!
会社設立時に一人社長が社会保険にはいる方法は?
社会保険は、健康保険、厚生年金保険、労働保険(労災保険と雇用保険)などを指す総称です。ここで「など」としているのは、介護保険など他の保険も含まれるためです。ここでは、一人社長として会社設立する際の健康保険、厚生年金保険、労働保険の加入手続きについて解説していきます。
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【健康保険・厚生年金保険編】一人社長の社会保険加入手続き・必要書類
一人社長として会社設立して登記が完了したら、健康保険と厚生年金保険の手続きを一括して行います。これらの社会保険は、会社単位で適用されます。
法律により、次の事業所には厚生年金保険と健康保険の加入が義務付けられています。
- 事業主のみの場合を含む常時従業員を使用する法人事業所
- 常時5人以上の従業員がいる個人事業所(工場や商店など)
そのため、一人社長で会社設立した場合であっても、法人はすべて健康保険と厚生年金保険の被保険者となります(原則70歳以上の人は健康保険のみの加入となります)。
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健康保険・厚生年金保険新規適用届
健康保険および厚生年金保険を適用する事業を開始した場合、事業主はその事実発生後5日以内に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を年金事務所に提出しなければなりません。この届は、新たに健康保険および厚生年金保険の適用事業所になることを知らせるものです。
提出時には以下の書類が必要です。
- 法人(商業)登記簿謄本
- 法人番号指定通知書のコピー
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
新たに健康保険および厚生年金保険に加入すべき者が生じた場合、事業主はその事実発生後5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出します。この届により、一人社長を含む従業員が被保険者となります。一定の要件を満たす場合には、添付書類が必要です。
健康保険被扶養者(異動)届
被保険者の家族を扶養に入れる際は、その事実発生後5日以内に「健康保険被扶養者(異動)届」を事業主経由で提出します。
被扶養者の範囲は以下の通りです(特例を除き、日本国内に住所を有する者)。
- 配偶者
- 子、孫および兄弟姉妹
- 父母、祖父母など直系尊属
- その他三親等以内の親族(同居要件あり)
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【雇用保険編】一人社長の社会保険加入手続き・必要書類
一人社長で会社設立をして従業員がいない場合、労働保険(労災保険および雇用保険)には加入しません。労働保険は労働者のための保険であり、一人社長である経営者には適用されないためです。労働保険は、アルバイトも含め従業員を一人でも雇用した場合に適用されます。
雇用保険とは
雇用保険は、労働者の雇用安定や就職促進のため、失業者や教育訓練を受ける人に失業給付を支給する制度です。また、失業の予防や雇用状態の改善、労働者の能力向上などの事業も行っています。
雇用保険関係の届を提出する前に、「保険関係成立届」を労働基準監督署に提出する必要があります。雇用保険に関する届の提出には、この届の受理印が押された控えが必要です。
雇用保険適用事務所設置届
会社設立後、常用労働者を雇用すると「雇用保険適用事業所」となり、労働者を雇用保険に加入させる義務が生じます。この際、提出が義務付けられるのが「雇用保険適用事務所設置届」です。
以下の条件を満たす従業員がいる場合、パートやアルバイトも含め雇用保険に加入する必要があります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがあること
この届出は、労働者を雇用した日の翌日から10日以内に公共職業安定所に提出し、事務所が雇用保険適用事務所であることを知らせます。
雇用保険被保険者資格取得届
会社設立後、従業員を雇用し、雇用保険に加入すべき従業員がいる場合、「雇用保険被保険者資格取得届」を資格取得日の翌月の10日までに公共職業安定所に提出します。保険加入時だけでなく、従業員の異動時にも提出が必要です。
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一人会社のメリットは?社会保険はどうなる?
【労災保険編】一人社長の社会保険加入手続き・必要書類
労災保険(労働者災害補償保険)は、従業員が業務上や通勤途上でケガや病気になった場合に保険給付を行い、その従業員や家族を守るものです。一人社長で会社設立した場合でも、業種によっては特別加入が可能です。
保険関係成立届
労働保険の適用事業に該当する場合、まず「労働保険の保険関係成立届」を労働基準監督署または公共職業安定所に提出します。この届は、保険関係が成立した日の翌日から10日以内に提出します。
労働保険概算保険料申告書
保険関係成立届を提出した場合、その年度分の労働保険料を概算で申告納付します。この申告書は保険関係が成立した日の翌日から50日以内に提出し、労働保険の概算保険料を納付します。
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一人社長が会社設立時に社会保険に加入しない場合はどうなるのか
法人であれば、一人社長で会社設立した場合でも社会保険への加入が義務付けられています。社会保険への加入義務を怠り、加入要請や警告を無視し続けると、最終的には多額の社会保険料を請求され、会社経営に大きな影響を与える可能性があります。では、具体的に社会保険に未加入である場合、どのような事態が起こるでしょうか?
年金事務所からの加入要請
年金事務所などは、国税庁の情報を基に給与の支払実態から加入状況を把握しており、社会保険未加入の事業所に対する指導を強化しています。社会保険未加入の事業所には、年金事務所から電話などで加入指導が行われます。この時点で加入要件を満たしている事業所は、速やかに社会保険加入の手続きを行うべきです。
警告文書の送付
加入要請に応じない事業所には、さらに警告文書が送付され、訪問指導が行われることもあります。これにより、社会保険への加入が強く求められます。
立入検査の実施と強制加入
最終的には、職員による立ち入り検査が実施され、被保険者資格の有無が確認されます。職員の判断により、強制的に社会保険に加入させられます。立入検査では、健康保険、厚生年金保険、労働保険に関する領収書や賃金台帳、労働者名簿などの提示が求められます。
事業主は立入検査に対して「受忍義務」があるため、職員の質問に必ず対応しなければなりません。過去に遡って社会保険料を支払うことになり、最大で2年間遡ることもあります。このような事態を避けるためには、一人社長で会社設立した場合であっても、加入要請が通知された段階で速やかに加入手続きを行うことが重要です。この段階であれば、過去の分の社会保険料まで請求されることはありません。
助成金の受給ができない
事業主には、雇用関係の助成金が多数あります。雇用調整助成金や産業雇用安定助成金、労働移動支援助成金などがあり、支給要件を満たせば従業員のための費用が支援されます。これらの助成金は返済不要ですが、受給要件として雇用保険適用事業所であることが求められます。雇用保険に未加入のままだと助成金を受けられません。このように、社会保険に加入しないことは事業主にも従業員にもデメリットがあります。
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まとめ
一人社長として会社設立する際にも、社会保険への加入が必須です。さらに、将来的に従業員を雇用する場合は、雇用保険と労災保険にも加入する必要があります。
会社設立後に社会保険に未加入のままでいると、罰則を受けるだけでなく、従業員との信頼関係や会社の信用も失う可能性があります。
会社設立時に加入が義務付けられている健康保険や厚生年金などの社会保険に加え、従業員を雇用する際に必要となる雇用保険や労災保険の加入手続きに必要な書類についても解説しました。
一人社長であっても会社設立時には多くの手続きが求められますが、社会保険に関する手続きを正確に理解し、迅速に進めることが重要です。
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