税理士の専門分野と具体的に依頼できる業務について解説
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公開日:2024年4月
更新日:2024年11月21日
「税理士」と聞くと税金の専門家というイメージを持つかもしれません。確かに税理士は税理士法に基づいて、税務代理業務や税務書類の作成を独占業務とする専門家ですが、実は税理士はそれ以外にも、起業支援や資金調達支援、経営アドバイスの提供など多岐にサービスを提供することができます。
この記事では税理士の専門分野と依頼できる業務の具体例、税理士の得意分野について紹介します。
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目次
税理士とは
税理士は、税理士法に基づいて付与される国家資格を持つ専門家であり、税務代理業務や税務書類の作成などを行います。
税理士法には、税理士でなければ行えない「独占業務」が定められており、これには①税務代理業務、②税務書類の作成業務、③税務相談業務の3つが含まれます。これらの業務は税理士にしか許されていないため、専門的な知識が要求される重要な職務です。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
税理士の独占業務については以下の参考になるかと思います。
おすすめ記事:税理士とは
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税理士と公認会計士との違い
多くの人が税理士と公認会計士の違いについて疑問を持っています。両者は「お金に関する専門家」という共通のイメージを持つため、その違いが明確ではないことが原因でしょう。
税理士と公認会計士の主な違いは、それぞれが持つ「独占業務」にあります。税理士の独占業務は①税務代理業務、②税務書類の作成業務、③税務相談業務です。これに対して、公認会計士の独占業務は「監査業務」であり、これは会社の決算書が正しく作成されているかをチェックし、監査報告書を発行して監査意見を表明する業務です。税理士は税務を専門分野とし、公認会計士は監査を専門分野とします。
上場企業や一部の大企業は、法的に決算書の公認会計士による監査を受けることが義務付けられています。また、公認会計士は税理士登録も可能であり、公認会計士・税理士として活動する例も多いですが、税理士が公認会計士業務を行うには、公認会計士の試験に合格する必要があります。
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税理士になる方法
税理士になる一般的な方法は、税理士試験に合格することですが、法的に税理士資格が付与されると、税理士業務を行えるようになります。
① 税理士試験合格者
年に1度実施される税理士試験に合格すると、税理士資格を取得できます。
1度に全科目(5科目)を受験して一括合格する必要はなく、1科目あたり60%以上の点数を取れればその科目は合格となり、合格した科目を積み上げて最終的に5科目合格となった時点で最終合格となります。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
税理士になるには、試験合格後に2年以上の実務経験が必要です。
おすすめ記事:税理士になるために必要な「実務経験」とは?転職に有利な積み方も確認
② 試験免除(大学院出身)
大学院で修士課程を修了し、かつ税法に関する研究論文で国税審議会の認定を受けた場合、税法科目3科目のうち2科目が免除されます。
また、会計学に関する研究論文で、国税審議会の認定を受けた場合、会計学科目2科目のうち1科目が免除されます。
③ 試験免除(国税職員など)
税務官公署職員で一定の勤続年数がある場合、税法に関する科目などが免除されます。
④ 弁護士
弁護士は、弁護士業務以外の税理士の業務も行うことができます。
⑤ 公認会計士
公認会計士が税理士会に登録すると、税理士業務を行うことができます。
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税理士の3つの独占業務とは
税理士は、実際にはさらに多岐にわたる業務を行っていますが、その中でも3つの業務が独占業務とされています。
① 税務代理業務
法律で定められた期限までに税務署などに提出しなければならない書類を、納税者の代理として税理士が提出できます。
② 税務書類の作成業務
所得税や消費税、法人税などの確定申告書類や、年末調整、法定調書の作成支援代理を行います。
③ 税務相談業務
納税者からの税法に関する相談を受け、税金計算の支援を行います。この業務は、税理士でないと行うことができません。
これらの業務は、税理士法第2条で明記され、税理士資格を持つ者にしか行えない独占業務とされています。したがって、これらの業務を無資格の者が無償で行うことは法律違反となります。
税理士の独占業務を税理士以外がおこなった場合の罰則
法律違反で「懲役最大2年または100万円以下の罰金」が科される可能性があり、報酬受け取りの有無にかかわらず、適用されます。
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税理士にも得意な分野の業務・専門性がある
税理士の業務の専門分野は医師と似ている
税理士にも得意な分野や専門分野はありますが、それらは医師が専門分野を持つことと似ています。
医師にもさまざまな専門分野が存在します。街の医院の看板を見れば、内科を専門としていたり、外科を専門としていたりするなど診療科目が多岐にわたることがわかります。また、特定の診療科を専門分野とする大規模な病院も存在します。
おすすめ記事:顧問税理士とは?顧問契約する意義や業務内容、料金目安を解説
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SoVa税理士お探しガイド編集部
ただし顧税務においても同様で、所得税、法人税、相続税、消費税などさまざまな税金があります。
そして、税理士もそれぞれの経歴や試験の選択科目などによって、得意分野や不得意分野があります。「この税金は得意だが、この税金は苦手かもしれない」といったイメージです。そのため、すべての分野について同じ経験を持っている税理士は少なく、それぞれが専門分野を持っています。
おすすめ記事:税理士の仕事内容
税理士の業務の領域は広い
税金の種類が多様であるだけでなく、同じ種類の税金でもさらに細分化された専門分野が存在します。
例えば、法人税には以下のような特徴があります。これにより、「公益法人専門」「海外取引専門」「建築業専門」などといった専門を掲げる事務所が生まれます。
・一般事業会社と公益法人では計算方法や課税対象が異なる場合がある
・海外取引が多い企業の場合、語学の知識だけでなく、海外取引に関連する税法規定を理解する必要がある
・業種によっては、業界の取引慣行や規制に詳しいことが必要
これらの要因により、税理士事務所は特定の分野に特化することがあります。
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税理士の専門分野は経験に依存する
税理士業務の専門分野における得意分野と不得意分野の濃淡は、彼らの経歴によっても影響を受けます。
❶ 税理士資格取得までの過程
a 税理士試験合格者:税理士試験は税法科目が選択制であり、所得税法や法人税法などを含む3科目に合格する必要があります。しかし、全ての科目に合格した者は稀であり、選択した科目は得意分野となります。
b 税務署出身者:税務署での経験により、個人課税部門や法人課税部門など特定の分野に特化した知識や経験を得ます。退官後も同様の分野での活動が多いため、他の分野に対する知識や経験が不足する場合があります。
c 大学院出身者:大学院では特定の分野を深く研究するため、その分野に関する知識が豊富ですが、他の分野に対する知識や経験が不足している場合があります。
d 弁護士出身者:税務争訟などの分野で活躍する弁護士もいますが、一般的に税務計算などの業務に関する知識や経験が不足する可能性があります。
e 公認会計士出身者:公認会計士試験では法人税が中心ですが、他の税金に関する知識や経験が不足する場合があります。
❷ 実務経験の経過
税理士の多くは、他の税理士事務所や企業の経理部署で経験を積んでから独立します。この際、経験した業務の分野が得意分野となり、それ以外の分野が不得意となる傾向があります。
ここがポイント!
以上のように、税理士の経歴は税理士の専門分野や得意分野に影響を与えます。
おすすめ記事:税理士にも得意・不得意がある!自社に合った分野の税理士を探すには
税理士の具体的な専門分野と業務内容
月次顧問業務
月次顧問業務は、税理士業務の中核とも言えるものです。顧問契約を結び、会社や個人事業主の経営に関する様々な相談に応じます。記帳代行業務から引き受け、経理全般の業務を担当することもあります。また、経理体制の構築や事業計画の策定のような業務まで支援する税理士もいます。
事業計画策定は、経営者と共に会社の将来の方針を決める重要な業務です。この業務を行う際には、将来の収益と費用の見積もりが必要ですが、決算書の数字を詳細に検討する必要があります。
経営者だけで事業計画を作成すると、感情的な要素が入り込み、数値が曖昧になることがあります。一方、税理士は客観的な立場から数字を分析し、アドバイスを提供できます。中小企業では、顧問税理士が月次の経営会議に参加し、経理面の問題や損益状況、資金繰りなどについて報告することもあります。投資計画や財務計画を確認し、経営計画を修正することもあります。
株式公開を準備している会社では、内部の経営管理能力を向上させるために、経営部門が経理処理を行えるよう支援したり、経営企画部門が予算管理を行うようサポートしたりすることもあります。
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法人の税務申告業務
法人の決算申告や相続申告、年末調整、法定調書、償却資産税などの申告業務は、税理士の独占業務の一部です。
決算書の数字を分析することで、会社の強みや弱み、今後の方向性などを把握することができます。税理士は税務申告の際に作成される決算書を分析し、適切なアドバイスを行うことがあります。
具体的には、前期からの資産と負債の推移を見て、会社の事業活動や収益性、資金繰りの健全性を評価します。これによって、会社の経営状況や課題を把握し、適切な対策を提案することができます。
経理指導・自計化
経営状態をリアルタイムで把握し、経営分析を行うためには、経理作業を税務署に丸投げするのではなく、自社で経理を行うことが必要です。
経理体制の構築や自計化の指導を行う際に、クラウド会計などのIT導入サポート業務を行うこともあります。従来の会計ソフトでは、通帳を1行ずつ確認し、勘定科目や日付などを手作業で入力する必要がありましたが、クラウド会計を導入すると、銀行やクレジットカードの明細が自動的に反映されます。これにより、作業の自動化が可能となり、人件費などのコストダウンが実現します。
おすすめ記事:税理士の仕事内容を分かりやすく簡単に解説!
給与計算・年末調整
税理士が給与計算業務や年末調整に関する業務を請け負うケースは一般的です。
給与計算業務や年末調整業務は会社の経理処理の重要な部分であり、個人情報にも関わるため、社内の従業員に任せるよりも、外部に一括して依頼することが多いです。給与計算は、給与の締め日から支給日までの間に計算を終え、その数値を会社に通知します。一部の場合では、税理士が振込手続きも行うことがあります。
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税務調査立ち会い
税務調査は、所得税や法人税、相続税などの申告に関する確認を行う調査であり、税理士の重要な業務の一つです。
通常、税務調査は3年から5年に1度の頻度で行われますが、一部の会社は毎年対象となる場合もありますし、10年間税務調査の対象とならない場合もあります。
調査の対象は主に会社ですが、個人事業主の場合でも所得税や相続税の申告が大規模な場合には調査の対象となることがあります。
税務調査の結果に不服がある場合は、「不服申し立て」という裁判制度を利用することができます。この際、弁護士を代理人として依頼しますが、税法の頻繁な改正により、弁護士だけでは対応が難しいことから、税理士には「補佐人」としての資格が与えられています。補佐人として任命された税理士は、弁護士とともに裁判に参加し、訴訟を進めます。
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起業支援
個人事業主として開業する場合は、税務署への届出や青色申告承認申請書の提出などが必要ですが、通常税理士の支援は必須ではありません。しかし、会社を設立する場合には、税理士の支援を受けることでスムーズに手続きを進めることができます。
税理士が提供する起業支援には、設立手続きのサポートや各種届出の支援、事業計画の策定や開業資金の調達支援、起業時の経理事務の支援などが含まれます。
会社を設立する際には、定款の作成・認証や登記など多くの手続きが必要です。また、資本金の額や決算期なども検討する必要があります。これらの要素は税負担にも影響を与えます。税理士に相談することで、税金に関するメリットやデメリットを考慮しながら最適な方針を決定することができます。
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SoVa税理士お探しガイド編集部
税理士に相談することで、例えば青色申告の有無や役員報酬の設定など、税制上の重要なポイントを見逃すことなく、最適な起業戦略を立てることができます。結果として、設立後の税負担を軽減させることが可能となります。
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資金調達支援
補助金や助成金の申請や、銀行などの金融機関からの融資、ベンチャーキャピタルなどからの出資に関するアドバイスは、税理士に相談することができます。
補助金や助成金は、事業者に返済不要の資金を提供する制度であり、国や自治体がその支給を行います。申請には一定の条件や手続きが必要であり、財務数値や事業計画書の作成が求められることがあります。このような申請作業や財務数値の算出、事業計画書の作成について、税理士がサポートを提供しています。
さらに、銀行からの融資やベンチャーキャピタルからの出資を受ける際には、様々な書類の提出が必要です。決算書や資金繰り表、試算表などの作成も、税理士に相談することで効率的に行うことができます。税理士は、これらの書類作成や財務プランニングに関する専門知識を持ち合わせており、適切なアドバイスを提供することができます。
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認定支援機関業務
平成24年に施行された「中小企業経営力強化支援法」には、経営不振企業のサポートを行う専門家を認定する仕組みが導入されました。これが「経営革新等支援機関」制度です。
「経営革新等支援機関」に登録すると、税理士は中小企業を支援するために必要な知識を活用し、事業再生業務を行うことができます。また、金融支援や創業支援、ものづくり企業の支援なども行うことがあります。この制度を通じて、中小企業の経営力強化や事業の発展を支援することが期待されています。
M&A・事業承継サポート
経営者の高齢化が進む中、事業の承継が次世代に移されないケースが増加しています。政府はさまざまな支援策を提供していますが、まだ多くの経営者が取り組んでいません。しかし、事業の承継を考慮せずに経営者が突然の状況に陥った場合、相続トラブルや会社経営への影響が起こるリスクがあります。そのため、事業の承継については早めに税理士に相談し、中長期的な計画を立てることが必要です。
M&Aに関しては、会社が乗っ取られるというイメージがあるかもしれませんが、中小企業のM&Aのほとんどは友好的なものです。M&Aでは、事業内容や財務状況、市場価値の査定が必要ですが、査定方法を誤ると会社を安売りしてしまう可能性があります。しかし、税理士が客観性と確実性を重視して税務上の時価に基づいて査定すれば、将来の価値を見越して適切な査定が可能です。最近では、M&Aを専門に扱う税理士も増えています。
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まとめ
この記事では税理士に依頼できる業務や税理士の専門分野、税理士の経歴ごとの得意分野や不得意分野について紹介してきました。
この記事で解説してきたとおり、税理士にも多様性がありそれぞれ特徴がありますので、自社の状況に適した税理士を探すことをおすすめします。
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