個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きとは?個人事業主から法人化した際のメリットも解説!
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公開日:2024年8月
更新日:2024年10月29日
個人事業主から法人化(法人成り)を検討する場合、社会保険手続きに関する知識は必要不可欠です。今回は個人事業主から法人化したときに必要となる社会保険手続きを中心に解説していきます。
個人事業主から法人化(法人成り)した場合に、社会保険の手続きが発生することが多くあります。しかし、一般的な税理士事務所では労務手続きを代行してくれるサービスはなく、社労士に別途依頼する必要があります。
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社会保険とは?
個人事業主から法人化(法人成り)すると、事業主自身も従業員と同様に社会保険に加入する必要があります。社会保険には、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5種類があり、これらは法人として事業を運営する上で必須の公的社会保険制度です。個人事業主から法人化(法人成り)した場合、従業員だけでなく役員も社会保険に加入し、社会保険料の負担が増えることになりますが、病気やケガ、老後のリスクに備えることができるため、社会保険は事業の安定と安心を支える重要な制度です。
個人事業主から法人化(法人成り)した場合は、原則として社会保険手続きを行い加入する義務があります。
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続き解説部
まず、個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きを見る前に、「社会保険とはなにか?」について確認しましょう。
個人事業主から法人化したときの社会保険手続きに関するおすすめ記事
個人事業主から法人化(法人成り)した際の社会保険手続きの前提として、「個人事業主から法人化(法人成り)」とはなんでしょうか?以下の記事では「個人事業主から法人化」の概要について紹介していますので、是非ご覧ください。
法人化とは?個人事業主が会社を設立するメリットやタイミングを解説
健康保険
個人事業主から法人化(法人成り)すると、社会保険への加入が義務化されます。個人事業主から法人化することによって、健康保険に加入することになり、病気やケガで病院にかかる際の医療費の自己負担が軽減されます。個人事業主の時は国民健康保険に加入していた場合が多いですが、個人事業主から法人化(法人成り)すると、企業に勤める従業員と同様に、組合健保や協会けんぽなどの健康保険に加入することになります。このように、個人事業主から法人化することで社会保険の対象範囲が広がり、より手厚い保障を受けられるようになります。
厚生年金保険
個人事業主から法人化(法人成り)すると、事業主自身も厚生年金保険を含む社会保険に加入する義務が生じます。社会保険の中でも厚生年金保険は、個人事業主から法人化(法人成り)した場合に特に重要な要素です。これは、高齢になったとき、病気やケガで障害が残ったとき、または死亡したときに、被保険者やその遺族の生活を支えるための公的社会保険であり、国民年金に上乗せして給付が受けられます。個人事業主から法人化(法人成り)することで、厚生年金保険や健康保険などの社会保険のメリットを享受し、将来のリスクに備えることができます。
介護保険
個人事業主から法人化(法人成り)すると、社会保険への加入が必要となり、その中には介護保険も含まれます。介護保険は、40歳以上の健康保険加入者が対象で、要介護や要支援認定を受けた際に介護費用を軽減する制度です。個人事業主から法人化することで、健康保険と共に介護保険の適用も始まり、将来的に介護が必要になった際のリスクにも備えることができます。このように、社会保険全体が充実するのが、個人事業主から法人化(法人成り)する一つのメリットです。
雇用保険
個人事業主から法人化(法人成り)することで、社会保険への加入が義務付けられます。社会保険には、雇用保険が含まれており、これは失業時の求職者給付や教育訓練給付、育児休業や介護休業の給付金を受けることができる保険です。個人事業主から法人化(法人成り)することで、これらの社会保険制度を利用できるようになり、従業員や自身にとって多くのメリットがあります。
労災保険
個人事業主から法人化(法人成り)する際には、社会保険への加入が必要となります。社会保険には、労災保険も含まれており、これは仕事中や通勤中の病気やケガ、障害、死亡に対して、被保険者やその遺族に必要な給付を行う保険です。個人事業主から法人化(法人成り)することで、労災保険に加入し、従業員や自身を労働災害から守ることができるため、安心して事業運営を行うことができます。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きに関するポイント!
上記の5つの保険をまとめて「広義の社会保険」と呼びます。また、その中でも、厚生年金保険、健康保険、介護保険の3つを「狭義の社会保険」と呼びます。さらに、雇用保険と労災保険はまとめて「労働保険」とも言います。
社会保険は、働く人々とその家族を支える重要な制度です。それぞれの保険の役割を理解し、適切に活用しましょう。
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会社設立後に社会保険はいつから加入すべき?社会保険の加入手続きについても詳細解説!
社会保険加入のメリット
個人事業主から法人化(法人成り)する際には社会保険手続きを行い、加入する必要があります。
人材確保
個人事業主から法人化(法人成り)することで、社会保険に加入できるようになります。社会保険に加入することにより、医療保険の給付や将来の年金など、多くのメリットを享受することができます。社会保険が完備されている企業は、社員にとって大きな安心を提供し、魅力的な企業として認識されるため、求人への応募数増加や採用率の向上にもつながります。個人事業主から法人化(法人成り)し、社会保険を整えることは、企業の信頼性を高める重要なステップです。また、企業への信用度も上がり、従業員の定着率も向上します。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きに関連するおすすめ記事
個人事業主から法人化(法人成り)した際の社会保険手続きのほかに、税理士の費用に関する記事については「税理士へ依頼する際の費用は月いくらが相場?法人の場合について解説!」の記事もおすすめです。
社会保険に加入し、コンプライアンスを遵守することで、人材確保の力を高める必要があります。
従業員の労働生産性向上
個人事業主から法人化(法人成り)する際には、社会保険への加入が重要なステップとなります。社会保険に加入することで、健康保険や厚生年金保険など、従業員にとって大きなメリットが提供されます。社会保険が整備されていない場合、従業員の士気が下がる可能性がありますが、社会保険の加入により、病気や怪我に対する医療費の給付や手当金が支給され、従業員の生活が安定します。このように、社会保険は労働者の健康を守り、労働生産性の向上にも寄与します。社会保険の整備は、求職者に対しても魅力的な企業としてのアピールになり、採用や人材確保の面で大きな利点があります。個人事業主から法人化(法人成り)し、社会保険を完備することで、企業の競争力を強化し、より良いビジネス環境を提供しましょう。
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続き解説部
個人事業主から法人化(法人成り)して社会保険に加入する場合のメリットとデメリットは「加入要件改正となった社会保険。事業主にとってのメリットは?」の記事も参考になります。
社会保険加入のデメリット
個人事業主から法人化(法人成り)する際には、社会保険への加入が重要なポイントとなります。個人事業主は一般的に社会保険に加入しなくてもよいとされることが多いですが、特定の条件下では加入義務が発生します。例えば、労災保険は個人事業主でも原則として強制加入となります。また、個人事業主から法人化(法人成り)することで厚生年金保険や健康保険、雇用保険などの社会保険制度が適用されるようになります。特定の業種や一定以上の従業員数を抱える法人は、社会保険に必須で加入しなければなりません。個人事業主から法人化(法人成り)すると、これらの社会保険に対する義務が発生し、企業としての社会保険手続きを行う必要があります。社会保険の加入は、従業員にとっても企業にとっても大きなメリットとなり、法的な義務を果たすことで企業の信頼性も高まります。
一方、個人事業主から法人化(法人成り)した場合は、労災保険だけでなく、雇用保険、厚生年金保険、健康保険、介護保険への加入が義務付けられます。つまり、個人事業主から法人化すると従業員数にかかわらず、全ての社会保険制度に加入する必要があります。会社は従業員の給料から保険料を天引きし、会社も一定額を負担して保険料を納付します。このため、個人事業主から法人化(法人成り)したことにより新たに社会保険料の負担が発生することになります。
個人事業主から法人化(法人成り)を検討する際には、会社負担分の社会保険料を正確に把握して判断することが重要です。社会保険料は従業員の給料やボーナスに対する一定率で計算されますが、年度ごとに料率が変更される可能性があります。最新の保険料率を確認し、いくら会社が社会保険料を負担するのか、事前に試算を行うことをおすすめします。
個人事業主から法人化(法人成り)し、社会保険手続きを行って加入することはメリットばかりではありません。
メリットとデメリットのバランスを考えて、個人事業主から法人化することを検討しましょう。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きに関連するおすすめ記事
個人事業主から法人化し社会保険手続きを行うときは「法人成りした場合の社会保険についてわかりやすく解説」の記事が参考になります。
個人事業主から法人化(法人成り)した場合の社会保険の概要
個人事業主から法人化(法人成り)して会社を設立する際、注意が必要なのが社会保険手続き(加入の手続き)です。法人は原則として社会保険手続きを行わなければなりません。ここでは、個人事業主から法人化(法人成り)した後の加入時期や費用などの社会保険手続きについて詳しく解説します。
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個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続きの概要① 健康保険と厚生年金保険
個人事業主から法人化(法人成り)した場合の社会保険手続きに、健康保険と厚生年金保険の加入があります。会社設立や新たな加入者が発生した時点から「5日以内」に会社所在地を所轄する年金事務所に届け出を行う必要があります。これは会社の加入と役員(社長)や従業員の加入の両方を指します。
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続きの概要② 労働保険(労災保険と雇用保険)
個人事業主から法人化(法人成り)した場合の社会保険手続きに労働保険の手続きがあります。労働保険は従業員のための保険です。個人事業主から法人化しても、代表者のみの場合や役員のみが従事している場合は加入不要ですが、従業員を雇用する場合は、保険関係成立の手続きを行い、以下の届け出をハローワークに提出する必要があります。
【保険関係成立届】
保険関係が成立した翌日から10日以内に提出する必要があります。
前述した通り、個人事業主から法人化したとしても従業員を雇わない場合は、労災保険への加入が不要になるため、提出は不要です。
【雇用保険適用事業所設置届】
保険関係が成立した翌日から10日以内に登記簿謄本等と一緒に提出しましょう。
個人事業主から法人化して従業員を雇用する場合は、雇用保険への加入も必要になります。
【雇用保険被保険者資格取得届】
個人事業主から法人化(法人成り)し、従業員を雇用した翌月10日までに提出しましょう。
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続きの概要③ 介護保険
介護保険は40歳以上の人が対象で、健康保険に付随しています。健康保険の手続きを行っている場合、追加の社会保険手続きは不要です。
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続きの概要④ 子ども・子育て拠出金
この拠出金は子育て支援に充てられる税金で、全額会社負担です。厚生年金保険料と一緒に徴収されるため、特別な社会保険手続きは不要です。
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続きの概要⑤ 社会保険加入の費用
個人事業主から法人化(法人成り)して社会保険手続きを行い加入することで会社にかかる費用についても理解しておく必要があります。詳細な費用については、各保険の料率や従業員数により異なるため、年金事務所やハローワークで確認することをお勧めします。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険に関連するおすすめ記事
個人事業主から法人化した場合の社会保険手続きの参考記事は「法人化後の社会保険について|いつから必須?費用はいくら?」からご覧ください
個人事業主から法人化(法人成り)した後は速やかに社会保険手続きを行う必要があります。健康保険と厚生年金保険、労働保険の手続きを漏れなく行い、適切な時期に必要な届け出を行うことで、会社運営がスムーズになります。
【参考】個人事業主とは?
個人事業主から法人化(法人成り)した際の社会保険手続きについて解説していますが、そもそも個人事業主とはなんでしょうか?
個人事業主から法人化(法人成り)した際の社会保険手続きを理解する前提知識として、ここで確認しておきましょう。
個人事業主とは、個人で事業を行っている人のことです。事業とは、基本的に「独立」「反復」「継続」の3つの要素をすべて満たしている仕事を指します。これにより、通常は一定の規模や収益を伴うものが事業として認識されます。
独立して仕事をし、それが反復的かつ継続的に行われている場合、その活動は事業とみなされ、個人事業主として認定されます。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きに関連するおすすめ記事
個人事業主から法人化した際の社会保険手続きを理解するうえで、「個人事業主」の定義を正しく理解しておくことは重要になります。個人事業主の詳細な概要は以下の記事がおすすめです。
「個人事業主とは?定義やメリット、開業方法・フリーランスとの違いを解説」
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続きを解説部
サラリーマンの副業などで、一時的に行う仕事は事業とは見なされません。
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個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続き
ここでは個人事業主から法人化した際の具体的な社会保険手続きについて解説します。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続き① 健康保険と厚生年金保険の加入手続き
個人事業主から法人化(法人成り)した場合、健康保険と厚生年金保険に加入するためには、「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を会社本店所在地を管轄する年金事務所に提出する必要があります。
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続き解説部
この際、提出日から遡って90日以内に発行された法人登記簿謄本の原本も提示しなければなりません。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きに関するおすすめ記事
任意適用事業所の手続き
強制適用事業所以外の場合は、「任意適用申請書」を提出し、管轄の年金事務所長の許可を受ける社会保険手続きが必要になります。また、事前に法人番号指定通知書を取得しておくとスムーズです。
従業員の加入手続き
個人事業主から法人化(法人成り)する際には、会社設立時に社会保険の手続きが重要になります。個人事業主から法人化すると、従業員を雇用する場合には「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を提出し、従業員を健康保険と厚生年金保険に加入させる必要があります。また、従業員の家族を被扶養者として社会保険に登録する場合には、「健康保険 被扶養者(異動)届」を提出することも求められます。社会保険の適切な手続きは、個人事業主から法人化後の運営において重要な要素となり、従業員の福利厚生を整えるためにも欠かせません。
SoVa税理士お探しガイド編集部
社会保険の手続きをスポットで社労士に依頼すると社会保険の加入手続き(1人)が1万円~2万円と、高額になるのが一般的です。
会計事務所SoVaの場合は、従業員が何人入社しても29,800円~の月額料金内でご依頼いただけます。
提出方法
提出方法には以下の4つがあります。
・電子申請
・電子媒体(CDまたはDVD)
・郵送
・窓口持参
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きポイント!
個人事業主から法人化した際の社会保険手続きの種類はたくさんあるので、1つ1つ正確に理解しておくことがスムーズに社会保険料手続きを進めるポイントになります。
参考:「社会保険の加入条件とは?手続き方法や提出書類をわかりやすく解説」
提出期限
・「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」:会社設立日から5日以内
・「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」:雇用開始日から5日以内
「被保険者資格取得届」は従業員本人に記入してもらう必要があるため、時間に余裕を持たせるために雇用開始前に手渡すことが推奨されます。この書類には基礎年金番号またはマイナンバーの記入が必要です。
これらの社会保険手続きを適切に行うことで、会社と従業員の社会保険加入がスムーズに進みます。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きに関するおすすめ記事
社会保険手続きのメリット・デメリットも含め、個人事業主から法人化するベストタイミングについては以下の記事がおすすめです。
個人事業主から法人化するタイミングは?メリット・デメリットも徹底解説
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続き② 労災保険の加入手続き
原則として、業種や規模を問わず、個人事業主から法人化(法人成り)したときに一人でも労働者を雇用する場合は労災保険が適用されます。ここでいう労働者とは、「職業の種類を問わず、事業に使用され、賃金を支払われる者」を指し、アルバイトやパートタイマーも含まれます。したがって、個人事業主から法人化(法人成り)して1人でも労働者を雇用する場合、労災保険の加入が必須となります。
労災保険の概要
労災保険(正式名称:労働者災害補償保険)は、労働者が仕事中や通勤途中に起きた事故や病気、障害、死亡に対して保険給付を行う制度です。労災保険の特徴は、業務上や通勤途上の事故が対象である点です。労災保険の補償を受けると、健康保険のような自己負担がなく、さらに休業時の手当も手厚くなります。
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続き解説部
個人事業主から法人化した際の社会保険手続きの1つである労災保険の概要は、厚生労働省のHPを参照してください。
労災保険料の負担
労災保険の保険料は全額事業主が負担します。これは健康保険や厚生年金保険と異なり、労働者の負担がない点が特徴です。
労災保険の加入手続き
個人事業主から法人化(法人成り)する際に、従業員を1人でも雇用する場合には、「労働保険 保険関係成立届」と「労働保険概算保険料申告書」を会社の本店所在地を管轄する労働基準監督署に提出する必要があります。これらの書類には、社会保険に関連する情報が含まれるため、適切な手続きが重要です。
また、提出時には「会社登記簿謄本」や「従業員の賃金台帳」などの添付書類も必要となるため、個人事業主から法人化する際にはこれらの書類も併せて準備しておくことが重要です。社会保険の手続きと合わせて、これらの準備を整えることで、スムーズな法人運営が可能となります。
概算保険料の計算
「労働保険概算保険料申告書」には、年度の初日(4月1日)から年度末(3月31日)までに雇用する従業員の賃金総額の見込額に保険料率を掛けて計算した概算保険料を記入します。保険料は前払いで納付し、翌年度に精算します。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きに関連するおすすめ記事
個人事業主から法人化した際の社会保険手続きの1つである概算保険料申告書の概要はこちらの記事がおすすめです。
「労働保険概算保険料申告書とは? 書き方や計算方法を徹底解説!」
提出期限
・「労働保険 保険関係成立届」と「労働保険概算保険料申告書」:従業員の雇用開始日の翌日から10日以内
・概算保険料の納付:保険関係成立の日から50日以内
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個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続き③ 雇用保険の加入手続き
個人事業主から法人化(法人成り)する際に、「1人起業」で従業員を雇わない場合、雇用保険への加入は不要ですが、従業員を1人でも雇用すると、雇用保険の適用事業者となり、社会保険の一環として加入が必要になります。社会保険の中でも、雇用保険は労働者の生活を守るための重要なセーフティーネットとして機能します。個人事業主から法人化し、従業員を雇用することで、雇用保険だけでなく、健康保険や厚生年金保険など、他の社会保険の手続きも必要になるため、個人事業主から法人化に伴う社会保険の適切な管理が求められます。
雇用保険の制度概要
個人事業主から法人化(法人成り)する際、雇用保険は重要な社会保険の一部として考慮する必要があります。雇用保険は、失業者や教育訓練を受ける方に対して失業給付などを支給する制度であり、政府が管轄する強制保険です。個人事業主から法人化すると、労働者を雇用する事業は原則として雇用保険の適用対象となります。したがって、個人事業主から法人化することで、雇用保険を含む社会保険の適切な管理が求められることになります。
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続き解説部
雇用保険の概要はこちらの記事を参考にしましょう。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きで気をつけておきたい注意点
ここでいう労働者とは、週20時間以上働き、31日以上の雇用が見込まれる人を指します。
雇用保険の給付内容は以下の通りです
・失業給付
・技能習得手当
・疾病手当
・就業促進手当
・教育訓練給付金
・育児休業給付金
雇用保険料は事業主と労働者がそれぞれ負担します。負担割合は業種によって異なります。
雇用保険の加入手続き
社会保険手続きの一環で雇用保険に加入するためには、まず労災保険に加入する必要があります。これは「労働保険 保険関係成立届」の控えが必要となるためです。
雇用保険の加入手続きには、以下の書類を会社本店の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。
・雇用保険適用事業所設置届
・雇用保険被保険者資格取得届の全員分
・労働保険 保険関係成立届の控え
・会社登記簿謄本(発行3カ月以内の原本)
・法人税確定申告書別表一
・労働者名簿
・出勤簿またはタイムカード
・労働者賃金台帳
・パートタイマーの雇用契約書または雇入通知書
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きに関するポイント!
個人事業主から法人化(法人成り)した場合、社会保険手続きに加えて、労働保険の手続きが必要になることがあります。この際、統一様式を利用すると手続きがスムーズに進みます。統一様式とは、会社設立や事業開始に伴う以下の3つの社会保険手続きを、1つのフォームで一度に行える便利な書式です。
・労働保険の保険関係成立届
・雇用保険適用事業所設置届
・健康保険・厚生年金保険新規適用届
これらの手続きを統一様式でまとめて行うことで、手続きが効率化されることが期待されます。
参考:「フリーランス・個人事業主から法人化したとき必要な社会保険の加入手続き」
提出期限と注意点
個人事業主から法人化(法人成り)し、従業員を雇用した場合、雇用保険の加入手続きの期限は、雇用した月の翌月10日までです。手続きが完了すると、「雇用保険被保険者証」と「雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」が交付されます。交付された書類は会社で保管しておきましょう。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きで気をつけておきたい注意点
雇用保険の加入を怠ると、雇用保険法83条1号により、懲役6カ月以下もしくは罰金30万円が科せられる可能性がありますので注意が必要です。
個人事業主から法人化(法人成り)するメリット
個人事業主から法人化メリット① 信用力が上がる
個人事業主から法人化(法人成り)する際には、社会保険の加入手続きが重要なポイントとなります。法人を設立する際には、社名や住所、資本金などの情報を法務局に提出して登記しなければなりません。この登記情報は誰でも閲覧可能で、法人としての責任が発生し、社会的な信用度が向上します。
また、個人事業主から法人化(法人成り)すると、社会保険の制度が適用されるようになります。これには、健康保険や厚生年金保険などの社会保険が含まれ、法人として従業員の社会保険を適切に管理する必要があります。個人事業主から法人化することで、社会保険に基づく各種保険料の支払い義務が生じるため、これに伴う手続きや管理も必要です。
個人事業主では社会保険の適用が限られることがありますが、個人事業主から法人化(法人成り)によって社会保険の適用範囲が広がり、社員に対する保障が強化されます。これにより、取引先や顧客からの信頼が高まり、事業の拡大や新たな取引機会を得るための大きなメリットがもたらされるでしょう。
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続き解説部
個人事業主から法人化(法人成り)したときの詳細なメリットは「個人事業主から法人化するメリット・デメリットや最適なタイミングとは」も参考にしてください。
個人事業主から法人化(法人成り)のメリット② 節税対策
個人事業主から法人化すると、個人事業主とは異なる種類の税金が課されることになり、経費として認められる範囲が広がるため、節税効果を得られる場合があります。
個人事業主は手軽に事業を始められ、税金の申告も比較的簡単です。しかし、事業が成長し所得が増えると、個人事業主に課される所得税率は法人に課される法人税率よりも高くなることが多く、個人事業主から法人化した方が節税になる可能性が高くなるケースが多々あります。
課税所得が800万円以上の場合、節税のために個人事業主から法人化を検討するのがおすすめです。
理由は、個人事業主としての所得税と法人としての法人税を比較すると、課税所得800万円ではほぼ同じ税額になりますが、それを超えると法人税の方が税負担が軽くなるからです。
【具体例】
・個人事業主の場合
800万円(課税所得)×23%(税率)− 63.6万円(控除額)=120.4万円(所得税額)
・法人の場合
800万円(課税所得)×15%(税率)=120万円(法人税額)
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個人事業主から法人化(法人成り)のメリット③ 赤字を繰り越せる
事業を行っていて赤字になった場合に、その赤字を繰り越せる期間が個人事業主と法人では異なります。ここでは、個人事業主と法人の相違点に着目していきます。
個人事業主の場合
青色申告を行っている個人事業主は、その年に発生した損失(赤字)を翌年以降3年間繰り越すことができます。
また、白色申告をしている場合、変動所得(例えば著作権使用料などの大きく変動する収入)や被災した事業用資産の損失のみ、青色申告と同じように3年間繰り越すことができます。
法人の場合
青色申告をしている法人は、欠損金(赤字)が発生した事業年度の翌年度以降に欠損金を繰り越すことができます。繰り越せる期間は10年です。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きで気をつけておきたい注意点
平成30年4月1日前に開始した事業年度において発生した欠損金額の繰越期間は9年になります。
白色申告をしている法人の場合、災害損失欠損金のみ繰り越すことができます。
個人事業主および法人が赤字を繰り越すためには、赤字が発生した年(事業年度)から控除を受ける年(事業年度)まで、赤字額を記載した書類(例えば所得税確定申告書 第四表(損失申告用)や法人税別表七など)を連続して提出しているという要件を満たす必要があります。
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続き解説部
個人事業主が法人化(法人成り)した場合の詳細は青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(国税庁を参照してください。
個人事業主から法人化(法人成り)のメリット④ 責任範囲が限定される
個人事業主と法人では責任範囲が大きく異なります。
個人事業の場合
個人事業は、個人が自己責任で事業を行う形態です。例えば、事業のために借りた借金は、個人の借金と同じ扱いになります。そのため、事業が失敗し、債務が残った場合には、事業用以外の個人財産も含めて、全ての財産を使って債務を返済する必要があります。
法人の場合
個人事業主から法人化(法人成り)することで、法人は法律上認められた独立した人格を持つ存在として事業を行うことができます。法人として事業を行う場合、契約などの法的な行為は法人自体が行い、法人が事業のために借りた借金も法人の債務となります。このため、法人が倒産しても債務の返済義務は法人の資産に限定され、経営者や出資者の個人財産には影響しません。加えて、個人事業主から法人化(法人成り)することで、社会保険の適用範囲も拡大します。法人として社会保険に加入することにより、健康保険や厚生年金保険などの保険制度が適用され、従業員や経営者自身の福利厚生が強化されます。社会保険の加入は、法人の社会的信頼を高めるとともに、従業員に対する保障を充実させるため、個人事業主から法人化(法人成り)の大きなメリットの一つです。
出資者の責任は、出資額の範囲内に限られる有限責任となるため、安心して事業に取り組むことができます。
個人事業主から法人化(法人成り)したときの社会保険手続きに関連するおすすめ記事
個人事業主から法人化した際の社会保険手続きに関連して、個人保証をした際の注意点などは「法人化のメリット ~ 有限責任」を参考にしてみましょう。
有限責任とは?
「有限責任」とは、企業が倒産した際に出資者が出資した金額以上の責任を負わない制度です。この仕組みは、大規模な事業展開時に出資者が巨額の負債を負うリスクを軽減するために設けられました。
【株式会社の有限責任】
個人事業主から法人化(法人成り)する際、株式会社として設立する場合、株主は株式を購入して出資し、その株式の価値までしか責任を負いません。株式会社として個人事業主から法人化することで、社会保険の適用が必要になりますが、個人事業主から法人化(法人成り)することにより社会保険制度を整備することができます。例えば、会社が倒産しても、株主は持っている株式の価値を失うだけで、それ以上の負債を負うことはありません。これは、個人事業主から法人化(法人成り)することによって得られる有限責任のメリットの一部です。
社会保険に加入することで、従業員や経営者自身に対する健康保険や厚生年金保険などの保障が強化され、個人事業主から法人化の過程で社会保険制度の整備も求められます。このように、個人事業主から法人化(法人成り)することで、リスクを限定できる有限責任の制度を享受しながら、社会保険制度の適用を受けることが可能になります。これにより、投資家や従業員に対しても安心感を提供し、企業の経済活動の活性化につながります。
個人事業主から法人化(法人成り)後の社会保険手続き解説部
個人事業主の「無限責任」との違いなどは「法人における有限責任と無限責任の違いを解説」を参考にしてみましょう。
まとめ
今回は個人事業主から法人化(法人成り)した場合の社会保険手続きを中心に解説しました。個人事業主から法人化(法人成り)し、社会保険手続きを行って社会保険に加入することには、多くのメリットが存在します。社会保険に加入することで、従業員や経営者自身の健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの保障が充実し、より良い福利厚生が提供できます。これにより、従業員の安心感が高まり、企業の社会的信頼も向上します。
しかし、一方で個人事業主から法人化(法人成り)する際には、一部の社会保険料を会社が負担しなければならないというデメリットも存在します。社会保険料の負担が企業の経済的な負担となる可能性があるため、十分に理解した上で個人事業主から法人化の決定を行うことが重要です。個人事業主から法人化を検討する際は、社会保険の詳細な手続きとその影響をよく確認し、メリットとデメリットを総合的に評価することが求められます。
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