マイクロ法人を夫婦で設立するメリット・デメリット|役員報酬・社会保険・扶養の決め方

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公開日:2026年7月

更新日:2026年7月21日

マイクロ法人を夫婦で設立すれば、夫婦それぞれに役員報酬を支払うことで所得を分散したり、世帯全体の社会保険料を見直したりできる可能性があります。個人事業主として一定の所得がある夫婦にとって、マイクロ法人と個人事業主を組み合わせる「二刀流」は、税金や社会保険料を調整する方法の一つです。

一方、マイクロ法人を夫婦で作れば、誰でも節税できるわけではありません。夫婦2人とも役員にすると2人分の社会保険料が発生する場合があり、配偶者を扶養に入れた方が世帯手取りを多く残せるケースもあります。また、配偶者に役員報酬を支払うには、実際に会社の経営や業務へ関与していることが必要です。

「マイクロ法人 夫婦」で情報を探している方は、節税額だけでなく、夫婦の役割、役員報酬、社会保険、扶養、法人維持費をまとめて比較しましょう。

この記事では、マイクロ法人を夫婦で設立するメリット・デメリットをはじめ、役員報酬の決め方、社会保険への加入、配偶者の扶養、個人事業主との二刀流について詳しく解説します。

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目次

  1. マイクロ法人を夫婦で設立するべき?4つの運営パターンを比較
    1. 夫婦2人とも役員になるパターン
    2. 夫婦の一方だけが役員になり、もう一方を扶養に入れるパターン
    3. 一方を役員、もう一方を従業員にするパターン
    4. 個人事業主とマイクロ法人を夫婦で分担するパターン
  2. マイクロ法人を夫婦で設立するメリット
    1. マイクロ法人を夫婦で設立するメリット①:役員報酬を夫婦に分散して世帯の税負担を調整できる
    2. マイクロ法人を夫婦で設立するメリット②:社会保険料を世帯単位で見直せる
    3. マイクロ法人を夫婦で設立するメリット③:配偶者が担当する業務に法人から報酬を支払える
    4. マイクロ法人を夫婦で設立するメリット④:夫婦で業務を分担し、事業を継続しやすくなる
  3. マイクロ法人を夫婦で運営する際の役員報酬・社会保険・扶養の決め方
    1. 役員報酬は法人税ではなく世帯手取りから逆算する
    2. 夫婦2人とも社会保険に入るケースと入らないケース
    3. 税金上の扶養と社会保険上の扶養を分けて考える
    4. 配偶者への役員報酬は勤務実態と金額の妥当性が必要
    5. 会社員を続けながら役員になる場合は二以上事業所勤務に注意する
  4. マイクロ法人と個人事業主を夫婦で二刀流する際の注意点
    1. 注意点①:個人と法人の事業内容・契約主体・売上を明確に分ける
    2. 注意点②:法人給与と青色事業専従者給与を比較する
    3. 注意点③:夫婦間や個人・法人間のお金を混同しない
    4. 注意点④:夫婦それぞれがマイクロ法人を作るべきか検討する
  5. マイクロ法人を夫婦で設立する費用・手順
    1. 株式会社と合同会社の設立費用を比較する
    2. 法人設立後に発生する年間維持費
    3. 夫婦でマイクロ法人を設立する手順
  6. マイクロ法人を夫婦で設立する際のQ&A
    1. Q.夫婦2人ともマイクロ法人の役員になる必要はありますか?
    2. Q.マイクロ法人から配偶者に役員報酬を支払えますか?
    3. Q.配偶者を社会保険の扶養に入れたままにできますか?
    4. Q.夫婦の役員報酬はいくらにすれば得ですか?
    5. Q.会社員の妻や夫でもマイクロ法人の役員になれますか?
    6. Q.夫婦で個人事業主とマイクロ法人を二刀流できますか?
    7. Q.夫婦それぞれがマイクロ法人を設立した方が得ですか?
  7. まとめ|マイクロ法人を夫婦で設立するなら世帯手取りで比較しよう

マイクロ法人を夫婦で設立するべき?4つの運営パターンを比較

マイクロ法人とは、一般的に、代表者やその家族などの少人数で運営される小規模な法人を指します。「マイクロ法人」という法律上の会社形態があるわけではなく、株式会社や合同会社として設立した小規模法人をマイクロ法人と呼ぶのが一般的です。

マイクロ法人を夫婦で設立するといっても、必ず夫婦2人とも役員になるわけではありません。夫婦の働き方や収入状況に応じて、主に次の4つの運営パターンが考えられます。

運営パターン向いている夫婦主な注意点
夫婦2人とも役員になる2人とも経営判断や主要業務を担当する2人分の役員報酬と社会保険を検討する
一方だけが役員になる一方が中心となって事業を行うもう一方の扶養や業務実態を確認する
一方を従業員にする指揮命令関係のもとで業務を担当する役員と従業員の実態を明確にする
個人事業と法人を分担する夫婦で異なる事業を行っている売上・契約・経費を明確に区分する

マイクロ法人を夫婦で運営するときは、最初に「誰を役員にするか」ではなく、「夫婦がそれぞれ何を担当するか」を決めることが重要です。

夫婦2人とも役員になるパターン

夫婦2人が会社の経営判断に関わり、それぞれ営業、制作、経理、総務などの重要な業務を担当する場合は、夫婦2人とも役員にする方法があります。

株式会社であれば、一方を代表取締役、もう一方を取締役にする形が一般的です。合同会社では、夫婦2人を社員として出資者にし、一方または双方を業務執行社員や代表社員にできます。

マイクロ法人を夫婦2人で経営することで、一方が営業やサービス提供を担当し、もう一方が経理や顧客対応を担当するなど、役割を分担しやすくなります。また、代表者が病気や事故で業務を行えなくなった場合でも、もう一方が会社運営を継続しやすい点はメリットです。

ただし、夫婦2人とも役員報酬を受け取り、マイクロ法人と常用的な使用関係が認められる場合は、原則として夫婦それぞれが社会保険の被保険者になります。法人は事業主だけの場合を含めて厚生年金保険の適用事業所となり、適用事業所で働いて労務の対償として報酬を受ける人は被保険者になるのが基本です。

SoVa税理士ガイド編集部

所得分散による税負担の軽減だけを見て夫婦2人を役員にすると、社会保険料の増加によって世帯手取りが減る可能性があります。

夫婦の一方だけが役員になり、もう一方を扶養に入れるパターン

マイクロ法人の事業を主に夫または妻の一方が行う場合は、事業を担当する側だけを役員にし、もう一方を社会保険上の扶養に入れる方法があります。

例えば、夫がマイクロ法人の代表者として役員報酬を受け取り、妻の収入が少ない場合、要件を満たせば妻を健康保険の被扶養者、国民年金の第3号被保険者にできる可能性があります。

健康保険の被扶養者となるには、原則として年間収入が130万円未満で、被保険者によって主に生計を維持されていることなどが必要です。同居している場合は、原則として被扶養者の収入が被保険者の収入の半分未満であることも確認されます。

気をつけておきたい注意点

税理士
        _依頼_おすすめの注意点

ただし、配偶者がマイクロ法人で恒常的に働いているにもかかわらず、役員報酬や給与をまったく支給せず、形式上だけ扶養に入れる設計には注意が必要です。

配偶者がどの程度会社の業務に関与するのか、継続的に勤務するのか、報酬を受け取るべき役割を担っているのかを整理したうえで、扶養の可否を判断する必要があります。

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一方を役員、もう一方を従業員にするパターン

マイクロ法人を夫婦で運営する場合、一方を代表者や役員、もう一方を従業員にすることも可能です。

例えば、夫が代表取締役として経営判断を行い、妻が決められた勤務時間に経理事務を行う場合は、妻を従業員として雇用する形が考えられます。

SoVa税理士お探しガイド編集部

従業員として雇用すれば、役員報酬ではなく給与を支給するため、会社の業績や勤務状況に応じて給与額を調整しやすくなります。

ただし、形式上は従業員でも、実際には経営判断に参加し、会社の重要事項を決定している場合は、税務上の役員に該当する可能性があります。反対に、登記上の役員であっても、雇用保険や労働保険では一般の従業員と同じ扱いになるとは限りません。

夫婦でマイクロ法人を設立して配偶者を従業員にする場合は、雇用契約書、勤務時間、担当業務、給与額、出勤記録などを整え、役員との違いを説明できるようにしておきましょう。

個人事業主とマイクロ法人を夫婦で分担するパターン

夫婦のどちらかが個人事業主として事業を続け、もう一方がマイクロ法人を運営する方法もあります。

例えば、夫が個人事業主としてコンサルティング事業を続け、妻がマイクロ法人でWeb制作やバックオフィス支援を行うといった形です。事業内容や顧客、契約主体が明確に分かれていれば、夫婦で個人事業とマイクロ法人を分担できます。

一方、実態は同じ事業であるにもかかわらず、税負担を抑える目的だけで売上を夫婦や法人へ振り分けると、売上の帰属が問題になる可能性があります。

夫婦でマイクロ法人を設立する方法に関するおすすめ記事

マイクロ法人と個人事業主を夫婦で運営するときは、少なくとも以下を分ける必要があります。

  • 契約書と請求書の名義
  • 売上の入金口座
  • 仕入れや外注費などの経費
  • 顧客との連絡窓口
  • 事業用の設備やソフトウェア
  • 帳簿と証憑書類

夫婦間で業務を委託する場合も、契約内容、報酬額、業務内容、成果物を明確にしておくことが重要です。

マイクロ法人を夫婦で設立するメリット

マイクロ法人を夫婦で設立する主なメリットは、夫婦に所得を分散できること、世帯単位で社会保険を検討できること、配偶者の業務に対して適切な報酬を支給できることです。

ただし、マイクロ法人を夫婦で設立しただけで節税になるわけではありません。それぞれのメリットが、法人設立費用や維持費を上回るかを確認する必要があります。

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マイクロ法人を夫婦で設立するメリット①:役員報酬を夫婦に分散して世帯の税負担を調整できる

日本の所得税は、所得が高くなるほど税率が上がる超過累進税率です。そのため、1人に所得が集中するより、夫婦それぞれに適正な役員報酬を支払った方が、世帯全体の所得税負担を抑えられることがあります。

例えば、代表者1人だけに高額な役員報酬を支給するのではなく、実際に業務を担当する配偶者にも役員報酬を支給すれば、所得を夫婦へ分散できます。夫婦それぞれが給与所得控除や基礎控除を利用できる点も、所得分散の効果につながります。

ただし、所得税が減っても、夫婦2人分の社会保険料や住民税が増えれば、世帯手取りが増えるとは限りません。

SoVa税理士ガイド編集部

夫婦でマイクロ法人を設立する方法について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

おすすめ記事:夫婦でマイクロ法人を2人経営!失敗しないための5つの注意点と設立手続き

マイクロ法人を夫婦で設立する際は、次の金額を合計して比較する必要があります。

  • 夫婦それぞれの所得税と住民税
  • 法人税、法人事業税、法人住民税
  • 夫婦それぞれの社会保険料
  • 会社が負担する社会保険料
  • 法人の年間維持費
  • 個人事業主として支払う税金や国民健康保険料

単に「所得分散で所得税がいくら減るか」ではなく、最終的な世帯手取りがいくら残るかで判断しましょう。

マイクロ法人を夫婦で設立するメリット②:社会保険料を世帯単位で見直せる

個人事業主の場合、原則として国民健康保険と国民年金に加入します。国民健康保険料は世帯所得や自治体などによって変わり、扶養という考え方がありません。そのため、夫婦がそれぞれ国民健康保険に加入している場合は、夫婦双方に負担が発生します。

一方、マイクロ法人を設立して役員が健康保険・厚生年金保険へ加入し、配偶者が被扶養者の要件を満たせば、配偶者自身の健康保険料や国民年金保険料の負担が発生しない場合があります。

これが、マイクロ法人を夫婦で活用する代表的なメリットです。

ただし、社会保険料は役員報酬そのものではなく、標準報酬月額を基礎に計算します。厚生年金の標準報酬月額は1等級の8万8,000円から設定され、保険料は会社と被保険者が折半します。

ここがポイント!

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そのため、役員報酬を月4万円や5万円に設定しても、厚生年金保険料がその金額へ単純に保険料率を掛けた金額になるわけではありません。また、会社負担分の社会保険料も法人の支出になります。

マイクロ法人の役員報酬を低くすれば社会保険料を抑えやすくなりますが、将来受け取る厚生年金の報酬比例部分も小さくなります。現在の負担だけでなく、将来の年金額も踏まえて判断することが必要です。

マイクロ法人を夫婦で設立するメリット③:配偶者が担当する業務に法人から報酬を支払える

夫婦でマイクロ法人を運営し、配偶者が経理、総務、営業、顧客対応などを担当している場合、法人から役員報酬または給与を支払えます。

個人事業主が生計を一にする配偶者へ支払う給与は、原則としてそのまま必要経費にできません。青色申告者が一定の要件を満たし、青色事業専従者給与に関する届出を行った場合などに限り、相当な金額を必要経費へ算入できます。

法人の場合も、配偶者へ自由な金額を支払って経費にできるわけではありませんが、実際の職務に応じて適正な役員報酬や給与を設定できます。

SoVa税理士お探しガイド編集部

配偶者への報酬額を決めるときは、以下のような資料を残しておくと、金額の根拠を説明しやすくなります。

  • 担当する業務の内容
  • 勤務日数や勤務時間
  • 保有する資格や経験
  • 売上や利益への貢献度
  • 同程度の業務を外注した場合の相場
  • 他の従業員に支払う給与とのバランス

「配偶者だから報酬を支払う」のではなく、「会社の業務を担当した対価として報酬を支払う」という考え方が必要です。

マイクロ法人を夫婦で設立するメリット④:夫婦で業務を分担し、事業を継続しやすくなる

マイクロ法人を夫婦で設立するメリットは、節税や社会保険だけではありません。

夫婦の一方が営業やサービス提供に集中し、もう一方が経理、請求、契約管理、顧客対応などを担当すれば、代表者1人に業務が集中するのを防げます。

また、夫婦で会社の財務状況や顧客情報を共有していれば、どちらかが病気や事故で業務を続けられなくなった場合でも、事業を継続しやすくなります。

ただし、夫婦だからといって、役割や権限を曖昧にしてよいわけではありません。

夫婦でマイクロ法人を設立する方法に関するおすすめ記事

夫婦でマイクロ法人を設立する段階で、次の事項を決めておくとトラブルを防ぎやすくなります。

  • 代表者をどちらにするか
  • 株式や合同会社の持分をどう分けるか
  • 契約や支払いの最終決裁者
  • 会社口座や会計ソフトの管理権限
  • 利益を会社に残すか役員報酬で受け取るか
  • どちらかが退任する場合の手続き
  • 離婚や死亡時の株式・持分の扱い

マイクロ法人を夫婦で長く運営するには、税務だけでなく、夫婦間の経営ルールまで整えることが重要です。

マイクロ法人を夫婦で運営する際の役員報酬・社会保険・扶養の決め方

マイクロ法人を夫婦で設立する際に、特に慎重な判断が必要なのが役員報酬、社会保険、扶養です。

役員報酬をいくらにするかによって、法人の利益、夫婦の所得税、住民税、社会保険料、配偶者控除などが変わります。役員報酬だけを単独で決めず、世帯全体の収支から逆算しましょう。

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マイクロ法人の決算は自分でできる?税理士なしで自分でやる手順を解説!

本記事では、マイクロ法人の決算を自分で行う際に知っておくべき基本知識から、具体的な手順、注意点までを解説します。大きなミスを防ぎ、安全にマイクロ法人の決算を乗り越えられるよう、しっかりと知識を身につけていきましょう。

役員報酬は法人税ではなく世帯手取りから逆算する

マイクロ法人の役員報酬を高くすると、法人の経費が増えるため法人利益は減少します。一方、役員個人の給与所得が増え、所得税、住民税、社会保険料の負担が大きくなります。

反対に役員報酬を低くすると、個人側の税金や社会保険料は抑えやすくなりますが、法人に利益が残り、法人税等の負担が増える場合があります。また、生活費として個人へ移せる金額も少なくなります。

SoVa税理士ガイド編集部

夫婦でマイクロ法人を設立する方法について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

おすすめ記事:夫婦で個人事業主になるなら?専従者・ダブル開業・法人化の考え方

そのため、マイクロ法人を夫婦で運営する場合は、次の順番で役員報酬を検討します。

①法人の年間売上と必要経費を予測する

②夫婦それぞれが担当する業務を整理する

③個人事業から得る所得を確認する

④必要な生活費を確認する

⑤夫婦の社会保険加入と扶養を検討する

⑥法人と個人の税金を試算する

⑦法人維持費を差し引いた世帯手取りを比較する

インターネット上では「マイクロ法人の役員報酬は月4万5,000円が最適」といった情報も見られます。しかし、すべての夫婦に共通する最適な役員報酬はありません。

居住地、年齢、健康保険料率、介護保険の対象、個人事業所得、配偶者の収入、扶養家族の人数によって結果は変わります。

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夫婦2人とも社会保険に入るケースと入らないケース

株式会社や合同会社などの法人は、事業主だけの場合を含めて、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。

ただし、「マイクロ法人を夫婦で設立したら、必ず夫婦2人とも社会保険に入る」という意味ではありません。

夫婦それぞれが被保険者になるかは、主に以下の実態から判断されます。

  • 法人で継続的に勤務しているか
  • 労務の対価として報酬を受け取っているか
  • 常勤役員か非常勤役員か
  • 会社の経営や業務にどの程度関与しているか
  • 他社で社会保険に加入しているか

夫婦2人とも常勤役員として業務を行い、役員報酬を受け取っている場合は、2人とも社会保険へ加入するのが基本です。

一方、配偶者が無報酬の非常勤役員で、実際の勤務状況も限定的であれば、被保険者に該当しない可能性があります。ただし、登記上の肩書きや報酬の有無だけで決まるわけではありません。

ここがポイント!

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マイクロ法人を夫婦で設立するときは、年金事務所や社会保険労務士へ勤務実態を説明し、加入要否を確認することが大切です。

税金上の扶養と社会保険上の扶養を分けて考える

マイクロ法人を夫婦で設立する際は、「扶養」という言葉を一括りにしないよう注意しましょう。

税金上の扶養には、配偶者控除や配偶者特別控除があります。一方、社会保険上の扶養は、健康保険の被扶養者と国民年金第3号被保険者に関する制度です。

2026年分の所得税では、同一生計配偶者の合計所得金額要件が62万円以下へ引き上げられ、収入が給与だけの場合は給与収入136万円以下が目安となります。配偶者特別控除の対象となる配偶者は、合計所得金額62万円超133万円以下、給与収入のみの場合は136万円超207万円以下が範囲です。

一方、社会保険上の被扶養者となるための収入要件は、原則として年間収入130万円未満です。税金上の136万円という基準と、社会保険上の130万円という基準は一致しません。

SoVa税理士ガイド編集部

つまり、配偶者控除を受けられても、社会保険の扶養から外れるケースがあります。反対に、社会保険上の扶養に入っていても、配偶者の所得状況によって税金上の控除額が変わる場合があります。

また、税金上は「所得」で判定するのに対し、社会保険では将来の年間収入見込みを基準に判定する点も違います。

マイクロ法人を夫婦で運営するときは、税金上の扶養と社会保険上の扶養を別々に確認しましょう。

配偶者への役員報酬は勤務実態と金額の妥当性が必要

夫婦でマイクロ法人を設立すれば、配偶者に役員報酬を支給できます。ただし、役員報酬を会社の損金へ算入するには、定期同額給与などの要件を満たす必要があります。

定期同額給与とは、原則として毎月一定の時期に同額を支給する役員給与です。通常の改定は、事業年度開始の日から3か月以内に行う必要があります。また、定期同額給与などに該当していても、不相当に高額な部分は損金に算入されません。

例えば、配偶者が月数時間の簡単な事務しか行っていないにもかかわらず、毎月50万円の役員報酬を支給すると、業務内容に対して高額だと判断される可能性があります。

反対に、配偶者が営業、経理、人事、顧客対応を継続的に担当し、会社運営に大きく貢献している場合は、その職務に応じた役員報酬を検討できます。

役員報酬を決定したら、株主総会議事録や社員同意書などを作成し、決定過程を記録しておきましょう。

会社員を続けながら役員になる場合は二以上事業所勤務に注意する

マイクロ法人を夫婦で設立するケースでは、夫婦の一方または双方が会社員を続けながら、マイクロ法人の役員になることがあります。

他社で社会保険に加入している人が、マイクロ法人でも常用的な使用関係にあり、社会保険の被保険者になる場合は、二以上事業所勤務に該当する可能性があります。

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マイクロ法人の設立で社会保険料を軽減!役員報酬と社会保険の関係を解説

マイクロ法人の設立には費用がかかり、手続きも複雑です。マイクロ法人の社会保険料や所得税における節税のメリットだけでなく、デメリットも把握してビジネスの運営形態を検討しましょう。

二以上事業所勤務では、勤務先とマイクロ法人の報酬月額を合算して標準報酬月額を決定し、それぞれの事業所の報酬額に応じて保険料を按分します。該当した場合は、原則として事実発生から10日以内に「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。

SoVa税理士ガイド編集部

会社員の夫または妻をマイクロ法人の役員にして、少額の役員報酬を支給すれば、その報酬だけを基準に安い社会保険へ切り替えられるとは限りません。

また、勤務先の就業規則で副業や法人役員への就任が制限されている場合もあります。マイクロ法人を夫婦で設立する前に、勤務先の副業規定、競業避止義務、秘密保持義務も確認しましょう。

マイクロ法人と個人事業主を夫婦で二刀流する際の注意点

マイクロ法人と個人事業主の二刀流は、個人事業で利益を得ながら、マイクロ法人から役員報酬を受け取る運営方法です。

夫婦で二刀流を行う場合は、個人事業と法人を分担したり、夫婦の一方が個人事業主、もう一方がマイクロ法人の代表者になったりする形が考えられます。

ただし、個人事業とマイクロ法人は法律上も税務上も別の事業者です。夫婦や家族であっても、お金や取引を自由に混同してよいわけではありません。

注意点①:個人と法人の事業内容・契約主体・売上を明確に分ける

個人事業主とマイクロ法人を夫婦で二刀流する場合、誰が契約を締結し、誰がサービスを提供し、誰が売上を受け取るのかを明確にします。

同じ顧客に対する同じ業務を、月によって個人事業の売上にしたり、マイクロ法人の売上にしたりする運用は避けるべきです。

夫婦でマイクロ法人を設立する方法に関するおすすめ記事

個人事業とマイクロ法人の事業を分ける際は、以下のような基準を設けます。

  • サービスや商品の種類
  • 対象となる顧客
  • 契約書や利用規約
  • 業務を担当する人
  • 使用する設備やシステム
  • 請求書の発行者
  • 売上の入金口座

例えば、個人事業ではライティング業務、マイクロ法人ではWebサイト運営を行うなど、第三者から見ても事業の違いが分かる状態にするのが理想です。

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注意点②:法人給与と青色事業専従者給与を比較する

配偶者へ給与を支払うためだけに、必ずしもマイクロ法人を設立する必要はありません。

青色申告をしている個人事業主は、一定の要件を満たす配偶者や親族へ青色事業専従者給与を支払い、相当と認められる金額を必要経費にできる場合があります。

気をつけておきたい注意点

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ただし、青色事業専従者として給与の支払いを受けた配偶者は、税金上の同一生計配偶者や扶養親族にはなれません。また、「専らその事業に従事していること」が必要なため、他の仕事との兼業状況によっては要件を満たさない可能性があります。

マイクロ法人から配偶者へ給与や役員報酬を支払う方法と、青色事業専従者給与を利用する方法は、以下の点で比較しましょう。

  • 法人設立費用と年間維持費
  • 配偶者の勤務時間と業務内容
  • 社会保険への加入
  • 税金上の配偶者控除
  • 個人事業と法人の利益
  • 給与計算や年末調整の負担
  • 将来の退職金設計

夫婦への所得分散だけが目的であれば、マイクロ法人を設立しなくても、青色事業専従者給与で目的を実現できる場合があります。

注意点③:夫婦間や個人・法人間のお金を混同しない

マイクロ法人は、夫婦個人とは別の法人格を持つ存在です。会社口座のお金を夫婦の生活費として自由に引き出すことはできません。

法人から個人へお金を移す場合は、役員報酬、給与、経費精算、配当、貸付金の返済など、移動の理由を明確にする必要があります。

SoVa税理士ガイド編集部

特に注意したいのは、夫婦の生活費や個人事業の支払いを、マイクロ法人の口座やクレジットカードから支払うケースです。

個人の支出を法人の経費として処理すると、税務調査で否認される可能性があります。法人が役員の個人的な支出を立て替えた場合は、役員貸付金などとして処理しなければならないこともあります。

マイクロ法人を夫婦で運営するときは、法人用、個人事業用、生活用の口座とカードを分けましょう。

注意点④:夫婦それぞれがマイクロ法人を作るべきか検討する

夫婦それぞれに個人事業所得がある場合、夫婦が1社のマイクロ法人を共同で運営する方法だけでなく、夫婦それぞれが1社ずつ法人を作る方法も考えられます。

ただし、法人を2社作れば、設立費用、法人住民税、決算申告、会計ソフト、社会保険手続きなども原則として2社分発生します。

ここがポイント!

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事業が明確に異なり、それぞれに一定の売上や利益がある場合は、2社に分ける合理性があります。一方、節税目的だけで2社を作ると、維持費や事務負担が節税効果を上回る可能性があります。

夫婦で1社にするか、夫婦それぞれがマイクロ法人を作るかは、次の点で判断しましょう。

  • 事業内容が独立しているか
  • 顧客や契約を分けられるか
  • それぞれに法人化するだけの利益があるか
  • 2社分の維持費を負担できるか
  • 経理や決算を2社分行えるか
  • 将来事業を売却・承継する可能性があるか

一般的には、最初から2社を作るより、1社で事業を運営し、売上や事業規模が拡大してから分社化を検討する方が管理しやすいでしょう。

マイクロ法人を夫婦で設立する費用・手順

マイクロ法人を夫婦で設立する際は、節税効果だけでなく、設立費用、年間維持費、事務負担まで確認する必要があります。

法人は利益が少ない年や赤字の年でも、一定の税金や申告費用が発生します。夫婦の社会保険料が増える場合もあるため、設立前のシミュレーションが欠かせません。

株式会社と合同会社の設立費用を比較する

マイクロ法人を夫婦で設立する場合、株式会社または合同会社を選ぶのが一般的です。株式会社の設立登記にかかる登録免許税は、資本金の額に1,000分の7を掛けた金額で、計算額が15万円未満の場合は15万円です。

さらに、株式会社では定款認証手数料が発生します。資本金の額などによって1万5,000円から5万円となり、紙の定款を作成する場合は原則として4万円の収入印紙も必要です。電子定款であれば、この印紙代はかかりません。

合同会社の設立登記にかかる登録免許税は最低6万円で、定款認証も不要です。

SoVa税理士ガイド編集部

そのため、設立時の費用を抑えたいマイクロ法人では合同会社が選ばれやすい傾向があります。一方、株式会社は、取引先からの認知度、株式による資本構成、将来の出資受け入れなどでメリットがあります。

夫婦だけで小規模に運営する予定であれば合同会社、対外的な信用や事業拡大を重視するなら株式会社が候補になります。

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この記事では実際にマイクロ法人化を行った後に「思ったようなメリットが得られなかった」「税務手続きが複雑でかえって後悔した」といった声について解説します。

法人設立後に発生する年間維持費

マイクロ法人を夫婦で設立した後は、売上がなくても一定の維持費が発生します。

主な維持費は次のとおりです。

  • 法人住民税の均等割
  • 会計ソフトの利用料
  • 法人税申告書の作成費用
  • 給与計算や年末調整の費用
  • 社会保険の手続き費用
  • 税理士や社会保険労務士への報酬
  • 法人口座や各種サービスの利用料

法人住民税の均等割は、所得が赤字でも原則として発生します。金額は所在地、資本金等の額、従業者数によって異なりますが、小規模法人では年7万円程度となるケースが一般的です。法人住民税には、利益に応じて計算する法人税割と、利益にかかわらず発生する均等割があります。

税理士へ決算申告を依頼する場合は、顧問契約の有無や取引量によって費用が変わります。また、夫婦2人分の給与計算や社会保険手続きを依頼すると、別途費用が発生することがあります。

SoVa税理士ガイド編集部

マイクロ法人を夫婦で設立する前に、「設立費用」だけでなく「毎年いくらかかるか」を確認しておきましょう。

夫婦でマイクロ法人を設立する手順

夫婦でマイクロ法人を設立する基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 夫婦の役割と事業内容を決める
  2. 株式会社または合同会社を選ぶ
  3. 代表者、役員、出資割合を決める
  4. 商号、本店所在地、資本金、事業目的を決める
  5. 定款を作成する
  6. 資本金を払い込む
  7. 法務局へ設立登記を申請する
  8. 税務署や自治体へ設立届を提出する
  9. 年金事務所で社会保険手続きを行う
  10. 役員報酬、給与計算、経理体制を整える

特に重要なのは、会社設立後に役員報酬を検討するのではなく、設立前から夫婦の役割、社会保険、扶養、個人事業所得を確認しておくことです。

SoVa税理士ガイド編集部

夫婦でマイクロ法人を設立する方法について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

おすすめ記事:個人の法人の二刀流で大幅節税!?マイクロ法人ってなに!?

役員報酬を決めてから、配偶者が扶養から外れることや、夫婦2人分の社会保険料が発生することに気づくと、設立後の資金計画が崩れる可能性があります。

マイクロ法人を夫婦で設立する際のQ&A

マイクロ法人を夫婦で設立するときは、役員の人数、配偶者への役員報酬、社会保険上の扶養など、さまざまな疑問が生じます。

ここでは、「マイクロ法人 夫婦」に関して特に多い質問へ回答します。

夫婦でマイクロ法人を設立する方法に関するおすすめ記事

Q.夫婦2人ともマイクロ法人の役員になる必要はありますか?

夫婦でマイクロ法人を設立しても、夫婦2人とも役員になる必要はありません。

一方だけを代表者や役員とし、もう一方を従業員にしたり、社会保険上の扶養に入れたりすることも可能です。実際の業務内容と経営への関与度に応じて決めましょう。

Q.マイクロ法人から配偶者に役員報酬を支払えますか?

配偶者が実際に会社の経営や業務を担当していれば、マイクロ法人から役員報酬を支払えます。

夫婦でマイクロ法人を設立する方法に関するおすすめ記事:【完全ガイド】マイクロ法人を2人で設立!夫婦・親子での始め方から節税メリットまで徹底解説

ただし、役員報酬を損金へ算入するには定期同額給与などの要件を満たす必要があります。業務内容に対して不相当に高額な部分は、損金として認められない可能性があるため注意しましょう。

Q.配偶者を社会保険の扶養に入れたままにできますか?

配偶者の年間収入見込みや勤務実態などが要件を満たせば、社会保険の扶養に入れられる可能性があります。

SoVa税理士ガイド編集部

原則的な収入要件は年間130万円未満ですが、配偶者がマイクロ法人で常勤役員として勤務し、社会保険の被保険者となる場合は、扶養に入れません。報酬額だけでなく、勤務実態も含めて判断されます。

Q.夫婦の役員報酬はいくらにすれば得ですか?

マイクロ法人を夫婦で運営する際の役員報酬に、すべての世帯へ共通する最適額はありません。

法人利益、個人事業所得、夫婦の年齢、社会保険料率、扶養人数、必要な生活費によって適正額は変わります。法人税だけでなく、夫婦の税金、社会保険料、法人負担分を含めた世帯手取りで比較しましょう。

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マイクロ法人は税理士に依頼すべき?会社設立からおすすめの税理士の選び方解説

この記事ではマイクロ法人の設立に関して税理士に依頼すべきか否かについて解説するとともに、マイクロ法人の会社設立に関しておすすめの税理士の選び方を紹介しています。

Q.会社員の妻や夫でもマイクロ法人の役員になれますか?

会社員の妻や夫でも、マイクロ法人の役員になることは可能です。

ただし、勤務先の副業規定や競業避止義務を確認する必要があります。勤務先とマイクロ法人の両方で社会保険の被保険者になる場合は、二以上事業所勤務の手続きが必要になる可能性があります。

Q.夫婦で個人事業主とマイクロ法人を二刀流できますか?

夫婦で個人事業主とマイクロ法人を二刀流することは可能です。

SoVa税理士ガイド編集部

ただし、個人事業と法人の契約、売上、経費、入金口座、請求書を明確に分ける必要があります。同じ取引の売上を、税負担に応じて恣意的に個人と法人へ振り分ける運用は避けましょう。

Q.夫婦それぞれがマイクロ法人を設立した方が得ですか?

夫婦それぞれが独立した事業を行い、各事業に一定の売上や利益がある場合は、1人1社のマイクロ法人を設立する選択肢があります。

ただし、法人住民税、決算申告、会計ソフト、社会保険手続きなどが2社分発生します。夫婦で1社を運営する場合と、2社を設立する場合の年間コストを比較して判断しましょう。

まとめ|マイクロ法人を夫婦で設立するなら世帯手取りで比較しよう

マイクロ法人を夫婦で設立すると、夫婦それぞれに適正な役員報酬を支払い、所得を分散できる可能性があります。また、個人事業主として国民健康保険と国民年金に加入している夫婦であれば、マイクロ法人の社会保険へ切り替え、配偶者を扶養に入れることで、世帯全体の社会保険料を見直せるケースもあります。

一方、マイクロ法人を夫婦で作れば、必ず節税できるわけではありません。夫婦2人とも役員として社会保険へ加入すると、2人分の保険料が発生します。配偶者に役員報酬を支払う場合は、実際の勤務内容と報酬額の妥当性も必要です。

夫婦でマイクロ法人を設立する方法に関するおすすめ記事

マイクロ法人を夫婦で設立するか判断するときは、以下の項目をまとめて比較しましょう。

  • 夫婦の個人事業所得
  • 法人の売上と利益
  • 夫婦それぞれの役員報酬
  • 所得税、住民税、法人税
  • 個人負担と法人負担を合わせた社会保険料
  • 税金上と社会保険上の扶養
  • 法人設立費用と年間維持費
  • 給与計算、決算申告、社会保険手続きの負担

重要なのは、税金だけを減らすことではなく、法人維持費を差し引いた後に、夫婦の世帯手取りが増えるかどうかです。

マイクロ法人を夫婦で設立する場合は、顧問料の安さだけで専門家を選ばず、法人と個人の税務、役員報酬、社会保険、扶養、給与計算、経理まで一体的に相談できるかを確認しましょう。設立前に複数の運営パターンを比較することで、マイクロ法人を作った後に社会保険料や事務負担が想定以上に増える失敗を防ぎやすくなります。

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【監修】株式会社SoVa 編集局長

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