役員報酬の社会保険料について徹底解説!役員の社会保険加入要件も紹介
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公開日:2024年8月
更新日:2024年11月28日
今回は役員報酬の社会保険料を中心に解説していきます。
役員報酬の社会保険料が発生する要件は通常の社員の要件と異なっていたり、社員の社会保険料には含まれていたものが、役員報酬の社会保険料には含まれないものもあるため注意が必要です。
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目次
役員報酬の社会保険料が発生する要件とは
ここでは役員報酬の社会保険料が発生する要件について解説します。
役員報酬の社会保険料が発生するかは、専ら役員報酬を支払っているか否かで決まります。
役員報酬の社会保険料に関連するおすすめ記事
役員報酬の社会保険料に関連して、社会保険の加入要件は以下の記事がおすすめです。
「会社役員の社会保険は義務?加入条件や取り扱いを解説」
役員の社会保険加入要件
まず、役員報酬の社会保険料が発生する要件を見る前に、役員の社会保険加入要件について確認しましょう。
結論、会社の役員については、社員のように労働時間や賃金の扱いがないため、明確な社会保険の加入要件はありません。
代表取締役などの会社の代表であるか、役員報酬の有無、非常勤役員か常勤役員かによって、加入が必要かどうかが決まります。
しかし、代表取締役など法人の代表者が役員報酬を受け取っている場合は、社会保険に加入する必要があります。常勤の取締役も同様に、役員報酬がある場合は社会保険の対象です。
ただし、役員報酬がない場合は加入対象外となります。つまり役員報酬の社会保険料は0になります。
役員報酬の社会保険料ガイド
社会保険料は一般的に役員報酬から徴収(天引き)されて会社が納めますが、役員報酬がないと、保険料を徴収することができないため、役員報酬の社会保険料は0になります。
「役員報酬ゼロの場合社会保険の加入はどうなる?」
役員報酬の社会保険料に関連するおすすめ記事
社会保険の加入要件を確認しておくことは、役員報酬の社会保険料が発生するかを判断するのに有効なので以下の記事も是非参照してみましょう。
「会社役員の社会保険は義務?加入条件や取り扱いを解説」
【参考】社員の場合の加入要件
役員報酬の決定においては、役員報酬に関連する社会保険の加入条件についても理解しておくことが重要です。役員報酬に関する社会保険の加入条件は次の通りです。
まず、常に雇用されている従業員の役員報酬が正社員の4分の3以上の週の労働時間と月の労働日数を満たす場合、社会保険への加入が義務付けられます。この条件は、役員報酬の額に関わらず適用されます。また、パートタイムやアルバイトとして働く場合も、役員報酬の条件に応じて社会保険への加入対象となります。
役員報酬の設定や支給が、社会保険の加入要件に影響を与えることがあるため、役員報酬と社会保険の関係を理解しておくことは重要です。具体的には、「正社員の労働時間・日数の4分の3以上で働く場合」の役員報酬額に応じて、社会保険への加入が必要です。
さらに、役員報酬が正社員の4分の3未満であっても、特定の条件を満たす場合には社会保険に加入する必要があります。役員報酬がこの条件に適合するかどうかを確認することが、適切な社会保険への加入と役員報酬の設定に繋がります。
・週20時間以上働くこと
・雇用期間が2ヵ月を超える見込みがあること
・月額賃金が8.8万円以上であること
・学生でないこと(定時制や夜間学習者は除く)
・従業員数101人以上の事業所に勤めていること
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役員報酬の社会保険料に関連して気をつけておきたい注意点
令和4年10月に、加入要件として「1年以上の勤務見込み」が削除され、さらに事業所規模の適用範囲も拡大されました。従業員数が2024年10月には51人以上の事業所にも社会保険が適用されるため、今後の変更にも注意が必要です。
「令和4年10月からの短時間労働者の適用拡大・育児休業等期間中の社会保険料免除要件の見直し等について」
役員に社会保険の加入義務はあるのか
役員報酬の社会保険料について理解するうえで、まずは「役員に社会保険の加入義務はあるのか」について解説します。
合わせて読みたい「合同会社の役員報酬の決め方」に関するおすすめ記事
合同会社の役員報酬の決め方とは?決め方の注意点や、役員報酬の相場についても解説!
会社の役員について、代表取締役や常勤役員の場合、役員報酬が支払われている限り、社会保険への加入義務があります。つまり、役員報酬の社会保険料が発生することになります。
役員報酬の社会保険料ガイド
報酬が極めて少なく社会保険料が納付できない場合は、適用対象外となる可能性があります。
役員報酬の社会保険料に関連して気をつけておきたい注意点
一方、非常勤の役員については、役員報酬が支払われていたとしても、社会保険への加入義務は発生しません。つまり、非常勤の役員の場合には、役員報酬の社会保険料が発生しないということです。
常勤・非常勤の判断基準として、以下の要素が考慮されます。
・会社に定期的に出勤しているか
・他に多くの役職を兼ねていないか
・役員会議などに出席しているか
・他の役員との連絡調整や、従業員に対する指示・監督を行っているか
・会社内で意見を述べる立場にとどまらず、実際の業務に関与しているか
・報酬が業務の内容や必要な費用に見合ったものであるかどうか
社会保険の加入要件の判断に役員報酬金額は関係ない
社会保険(健康保険・厚生年金保険)では、役員が被保険者とならないケースにおいて、報酬の金額は関係ありません。つまり、役員報酬がいくらであっても、それだけで社会保険に加入しない基準が設けられているわけではありません。したがって、役員報酬の金額によって、役員報酬の社会保険料は発生するか否かが一意に決まらないということです。
役員報酬の社会保険料ガイド
労働の対価として報酬を受け取っていない場合には、「適用事業所で使用されている者」とはみなされず、被保険者には該当しません。
注意すべき点として、健康保険法における「被扶養者」の認定基準で使われる「生計維持関係」とは、別の概念です。混同しないようにしましょう。参考として、「生計維持関係」の基準を以下に示します。
役員報酬の社会保険料に関連するおすすめ記事
非常勤役員の役員報酬額が、役員報酬の社会保険料の発生に関係しないことに関する記事で以下のものがおすすめです。
「「非常勤役員」の報酬はいくらまでにすれば、社会保険に加入しなくてもよいのですかとの質問への回答」
1. 認定対象者が被保険者と同じ世帯に属している場合
認定対象者の年収が130万円未満(60歳以上は180万円未満)であり、かつ、原則として被保険者の年収の半分未満であること。
2. 認定対象者が同じ世帯に属していない場合
認定対象者の年収が130万円未満(60歳以上は180万円未満)であり、被保険者からの援助額よりも少ない収入であること。
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役員報酬の適正額はいくら?税理士に相談するメリットについても解説
社員から役員に就任した場合の社会保険料
基本的に、社員も役員も健康保険や厚生年金保険の適用を受けますが、役員報酬に関する社会保険の取り扱いには違いがあります。役員報酬が健康保険や厚生年金保険の対象となる一方で、労災保険や雇用保険については異なる取り扱いがされます。
具体的には、役員報酬に関連する社会保険料は、健康保険および厚生年金保険には発生しますが、役員報酬に対する労災保険や雇用保険は原則として発生しません。役員は会社との委任関係にあり、雇用保険の適用外とされることが一般的です(ただし、兼務役員などの例外があります)。また、役員報酬に関連する労災保険も特別に加入しない限り適用されません。
要するに、役員報酬に関しては健康保険や厚生年金保険の社会保険料が発生するものの、役員報酬に基づく労災保険や雇用保険の社会保険料は基本的に発生しないことになります。
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社員から役員への昇進時の手続き
社員が役員に昇進しても、健康保険や厚生年金保険の適用は変わりません。そのため、昇進後も特別な手続きは不要です。ただし、役員報酬が大幅に増える場合、後述する「随時改定」の手続きが必要になることがあります。
前述した通り、健康保険・厚生年金保険の役員報酬の社会保険料は発生しますが、労災保険や雇用保険に関する役員報酬の社会保険料は基本的に発生しないということになります。
雇用保険の資格喪失手続き
社員から役員に昇進すると、役員報酬に関連する雇用保険の適用が外れるため、雇用保険の資格喪失手続きが必要になります。この役員報酬に関連する資格喪失手続きは、役員就任の前日に行う必要があります。また、役員報酬に基づく労災保険も役員に対しては適用外となるため、別途の手続きは不要です。
要するに、役員報酬に関する雇用保険の資格喪失手続きが役員就任前に必要であり、役員報酬に関連する労災保険についても適用外となるため、追加の手続きは必要ありません。
随時改定手続きについて
「役員報酬の社会保険料」解説部
随時改訂手続きの詳細については、日本年金機構のHPをご覧ください。
役員就任後に役員報酬が大幅に増加し、標準報酬月額が2等級以上変動した場合、この役員報酬の変動は随時改定の対象となります。具体的には、役員報酬の変更を反映させるために、管轄の年金事務所に「月額変更届」を提出する必要があります。この手続きにより、役員報酬の社会保険料も役員報酬の増加に応じて変わることになります。
要するに、役員報酬が変更された場合、役員報酬の社会保険料も随時改定が行われるため、適切な手続きを忘れずに実施することが重要です。
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兼務役員の役員報酬と社会保険料について
役員と雇用保険の関係
基本的に、役員は雇用保険の対象外であり、被保険者にはなりません。ただし、役員と労働者の役割を兼任している場合(例: 取締役工場長、取締役総務部長など)は、例外として雇用保険に加入することがあります。このような役員を「兼務役員」と呼び、兼務役員雇用実態証明書をハローワークに提出する必要があります。
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兼務役員の判断基準
兼務役員として認められるかどうかは、肩書だけではなく、労働者としての実態に基づいて判断されます。以下の要件を満たす場合、兼務役員とみなされます。
判断基準① 業務執行権や代表権を持たないこと
業務執行権や代表権を持つ役員は、会社の指揮命令を受けないため、労働者とはみなされません。肩書だけでなく、実際に業務執行権や代表権があるかどうかが重要です。
判断基準② 労働者としての給与が役員報酬より高いこと
労働者としての給与が役員報酬よりも多い場合、労働者性が強いと判断されます。特に、労働時間に応じて給与が支払われたり、欠勤控除が適用される場合は、労働者性が認められやすいです。
判断基準③ 業務の拘束性があること
労働者は会社の指揮命令のもとで働くため、役員としての自由な裁量権が制限され、会社によって勤務時間や仕事の進め方が管理されていることが労働者性の判断材料となります。
判断基準④ 就業規則の適用を受けること
通常、役員には就業規則は適用されませんが、他の労働者と同様に就業規則の適用を受け、労務を提供している場合は、労働者としての性質が強いとされます。
役員報酬の社会保険料に関連するおすすめ記事
役員になると役員報酬の社会保険料が発生することや、手続きも必要となるため、以下の記事を参考に理解を深めておきましょう。
「役員になった場合の雇用保険の喪失や、社会保険関連の手続きを解説」
執行役員の役員報酬と社会保険料
委任契約の執行役員は労働者ではないため、労働保険や社会保険の適用外ですが、取締役としての執行役員は、労働者性を持つ場合に限り、労働保険や社会保険の対象となります。役員の役割や契約形態に応じた保険の適用について理解し、適切な手続きを行うことが重要です。
役員報酬の社会保険料に関連するおすすめ記事
執行役員は役員ではないため、役員報酬の社会保険料は発生しません。執行役員の社会保険については以下の記事がおすすめです。
「執行役員の社会保険・雇用保険はどうなる?」
役員報酬の社会保険料に関連するポイント!
「執行役員」という名前には「役員」という言葉が含まれていますが、会社法で定められた法定役員ではありません。通常、会社と契約を結ぶ役員とは異なり、執行役員は従業員と同じ雇用契約を結びます。また、執行役員が受け取る報酬も、役員報酬ではなく、従業員と同様の給与となります。 したがって、役員報酬の社会保険料ではなく、従業員として社会保険料が発生することになります。
「執行役員とは?取締役との違いや設置するメリットを解説」
委任契約での執行役員の役員報酬と社会保険料
委任契約の形で執行役員を任命している場合、その役員は労働者とは見なされません。したがって、労働保険や社会保険の対象外となります。委任契約は、役員が会社の指揮命令下にあるわけではなく、独立した契約関係にあるため、保険の適用にはなりません。
したがって、役員報酬の社会保険料は発生しません。
取締役としての執行役員の役員報酬と社会保険料
一方、取締役としての役員報酬を受け取りながら執行役員の役割も兼ねている場合、役員報酬に関する取り扱いは異なります。この場合、役員報酬を受け取る役員は、役員としての業務に加えて、労働者としての実態を持つことがあります。そのため、役員報酬を支給される役員は、労働保険への加入対象となる可能性があり、社会保険の加入対象にもなります。
具体的には、役員報酬が労働保険に基づく要件を満たす場合、役員報酬を受け取る役員は労働保険に加入することができ、また社会保険の加入対象にもなります。役員報酬が労働者としての実態に基づくため、役員報酬と労働保険の関係、さらに社会保険への加入条件も考慮する必要があります。
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まとめ
今回は役員報酬の社会保険料を中心に解説しました。
役員報酬の社会保険料が発生するのかは、役員がどの社会保険に加入すべきで、どの社会保険に加入できないのかを理解しておく必要があります。
気をつけておきたい注意点
また、同じ役員でも、常勤か非常勤かなどの条件によっても役員報酬の社会保険料が変わってくるため注意が必要です。
役員報酬の社会保険料に関するおすすめ参考記事:会社役員の社保加入は義務? 役員報酬が支払われる会社役員に関する取扱い、手続きや保険料など、役立つポイントをわかりやすく解説
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